2020年2月19日 (水)

椿姫~大村博美さん

後日記載します。

2020年2月17日 (月)

ラ・ボエーム~鷲尾麻衣さん~甲府市

後日記載します。

2020年2月14日 (金)

大槻孝志さん&小林由佳さん in HAKUJU

後日記載します。

2020年2月12日 (水)

ミレッラ・フレーニさんを悼む

後日記載します。

2020年2月 8日 (土)

清水 梢さん&小倉貴久子さん~シューベルティアーデ

後日記載します。

2020年2月 2日 (日)

NHK「SONGS」~鬼束ちひろさん~気取りを排した全身全霊という魅力

2月1日放送のNHK「SONGS」は鬼束ちひろさん。
2000年8月にリリースされた鬼束ちひろさんの「月光」は衝撃的な歌だった。
歌詞に「腐敗した世界」という言葉があること自体、前代未聞だったと思う。
かろうじてこれに近いインパクトの歌詞を幾つか挙げるなら、1968年にザ・タイガースが歌った「廃墟の鳩」にある「人はだれも悪いことを覚えすぎたこの世界」とか、中島みゆきさんによる1994年の「空と君のあいだに」にある「君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる」とかだが、それでも「腐敗」という単語のインパクトには及ばない。
クラシックだと、不協和音を連続させることで「音楽は美しい」に挑戦した「春の祭典」の登場を連想する。
あるいは、戦後間もない1946年、東京音楽学校(現・東京芸大)に赴任した伊福部昭さんが、学生だった黛敏郎や芥川也寸志らを前にして、「定評のある美しか認めない人を私は軽蔑する」というアンドレ・ジイドの言葉引用して、独自の美学、音楽論を展開されたという逸話を連想させる。「既存概念の否定」という挑発、挑戦。

「月光」は単語だけでなく、歌全体としてもとても難しい。私はとても歌えない。
カラオケが好きな女優の吉田羊さんは「月光」を歌うとき「全身全霊で歌う」という。吉田さんの「月光」も一度ぜひ聴いてみたい。
そして、いみじくも吉田羊さんが言うこの「全身全霊」こそ、鬼束ちひろさんにおける重要なキーワードだろう。実際、今回の番組のインタビューの中でも「全開全力」という言葉とともに「全身全霊」という言葉も出てきた。
鬼束さんの歌は小手先、口先では歌えない歌だ。小賢しい表面的な繕いや、皮相な技巧では表現できない歌。魂から歌いあげることでしか表現できない歌。気取りを排し、飾らずに全てを晒(さら)すことでしか表現できない歌。そういう「全身全霊」が求められる歌。
それが鬼束ちひろさんの歌であり、それが彼女の魅力なのだと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=iyw6-KVmgow

参考~「廃墟の鳩」
https://www.youtube.com/watch?v=XAurvAW_zHs

2020年1月21日 (火)

高価な楽器という神話~TBS番組イタリア人職人VS日本人職人~アーヨさんも評価

昨年の番組で、長野県松本市のヴァイオリン製作者 井筒信一さんの楽器が、クレモナ産のヴァイオリンに評価勝ちして話題になったが、同じ趣向のTBSの番組として1月20日夜、「メイドインジャパン!イタリアVS日本代表!!本場と炎の三番勝負」と題されて、ワイン、ヴァイオリン、ピザの3つにおいて、それぞれイタリア人職人による商品(製品)と日本人職人製作によるものの「対決」番組が放送された。
どちらがイタリアもの日本もの、ということを伏せて、6人のイタリア人が品定めし、より良いと思ったほうに1票投じる、という内容。
最初はワインで、イタリアワインに4票、山梨県産赤ワインは2票で負けたものの、日本産に投じた2人はイタリア人ソムリエだった。6人に共通していたのは山梨産はまろやかで飲みやすい、イタリア産は苦みのあるコク(たぶんツウ好みという感じ)だったかと思う。
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そして、次はヴァイオリン。
日本代表は前回と同じく松本市に工房を構える職人=井筒信一さんの楽器で200万円のもの。「対戦相手」はなんと、サンタ・チェチーリア音楽院に厳重に保管され、保管だけでなく、演奏でも使われている現役というストラディバリウス。10億円とのこと。10億円のストラディバリウス対200万円の井筒さん製作の楽器による「対決」だ。それ自体、井筒さんは感激していた。
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さて、視聴者にも伏せられて演奏された楽器だが、私は最初に演奏されたものは輝かしい音でソリスト好み的、と感じ、後のモノは音の芯にブレが無く、品とバランスが良いので、合奏向きかな、と感じた。
6人に共通していた感想も、最初のは強く輝かしく躍動感があり、後のは、芯がありバランスが良く、中音域と低音域でも優れている、という言及だったと思う。
答えは最初のが井筒さん製作。後のがストラディバリウス。結果的には4票:2票でストラドに軍配が味がったが、ゲストの芸能人たちは2票入ったことを絶賛し、何より、井筒さん自身が「ストラディバリウスと競えること自体に感激」した上に2票も入ったことに大満足されていた。
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しかも、この井筒さんが獲得した2票だが、一人は80代のプロ奏者でアーヨさんと名乗っていたから、あの元イ・ムジチのフェリックス・アーヨさんだと思う。サンタ・チェチーリアで教えていたこともあるから、間違いないと思う。アーヨさんは井筒製とは知らず「素晴らしい楽器だ」と絶賛して選んだ。ストラドではなく。ちなみにもう一人は40代の妊婦さんで、「(最初の楽器が奏されると)お腹の子が喜んだの」と言ったのも印象的な言及(評価)だった。
ちなみに私事だし、値段のランクが違って申し訳ないが、1年位前に池袋の楽器店で、300万円のヴァイオリンと80万円のヴァイオリンを試し弾きさせていただいたことがあったが、私が気に入ったのは値段とか関係なく、80万円のほうだった。
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高価だから良い楽器、かどうかは別問題、ということ。というか、結局「相性」だ。好みの問題。聴く側としては音色や質感等が重要だし、弾き手としては、それに加えて、フィット感や反応等の気に入り度=相性が肝心で重要な判断基準となる。私が自分で持ってみて、弓で弾いて、音色も含めて気に入ったのは300万円のヴァイオリンではなく、80万円のものだった。
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もちろん、一般論で言っても、やはり、ストラディバリウスやガルネリウスは素晴らしいと思う。けれど、それを誰が(どういうレベルで)弾くか、とか、どういう響のホールで弾くか、どういう曲を弾くか等々で、一概には単純には言えない微妙な問題(受け止める側の評価の違い)が生じるだろうことは言うまでもないし、それこそが楽器と奏者と音楽における相関関係の「妙」だし、それこそが音楽の不思議であり素晴らしさだ、と思う。
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ちなみに、3品目のピザでは、5:1でナポリの職人に軍配。でも、金沢のはナント冷凍ピザで、これには等のナポリ職人も驚いていた。これはワインもヴァイオリンも同じで、「勝った」とはいえ、イタリア人製作(保管)者たちも、「日本産」をとても褒めていた。
https://www.youtube.com/watch?v=FiyYmk1985g

https://izutsu-violin.com/

2020年1月13日 (月)

歌劇「紅天女」が投げかけるもの~ごった煮のエンタ性の成功作品

1月13日午後、オーチャードホールで日本オペラ協会公演の歌劇「紅天女」を観た。スーパーオペラ~ガラスの仮面より~とするこの新作オペラは、漫画家の美内すずえさん原作のコミック「ガラスの仮面」の作中劇「紅天女」をオペラ化したもので、主催する日本オペラ協会の役員でもある歌手の郡愛子さんが、美内さんにオペラ化の企画を持ち掛け、了承を得て自らが総監督として臨んだ作品で、寺嶋民哉さんが作曲した。

11日から15日までの下記のダブルキャストによる5日連続公演。全三幕合計3時間を要する作品だが、この日のホールはほぼ満席で、関心の強さが見てとれた。指揮は園田隆一郎さん。管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団。

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石笛や二十五絃箏といった和楽器が色々な場面で効果的に使われるが、ハープ、グロッケンシュピール等の特殊楽器やコールアングレを含む西洋楽器たるオーケストラでも、金管の咆哮も含めて存分に演奏される曲。日本音階と西洋音階。歌舞伎的要素もあるかと思えば、オペラとしての楷書的なアリアもしっかりあるが、それだけでなく、場面によってはミュージカル的な解放感ある歌い回しの曲が印象的に歌われる。要するに「ごった煮」の徹底だけれども、では「失敗しているか?」と問われるなら、「成功している」。結果的に、これはこれまでの日本作曲家による多くの新作オペラへのアンチテーゼと言えるかもしれない。作曲した寺嶋さんはそんなことは思っていないだろうけれど。

これまで、日本オペラ協会は、能・歌舞伎などの古典芸能や近現代文学をモティーフとした50以上のオペラを創出してきたといい、私はその全部を知っているわけではないけれど、この「紅天女」は観る者、聴く者の心を確実につかむ作品だと確信する。

物語の展開(進行)は時代的要素と、時空を超えた要素が交差する難しさもあるので、進行自体は洗練されていないかもしれない。しかし、歌とオケの力がそれをカヴァーする。この作品の成功は出演者の全ての力演の賜物である。2人の主演者については後述する。

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日本人作曲家によるオペラの潮流(傾向)には2つに分かれている感がある。1つは、妙に深刻ぶった難解な物語設定をし、自分の作曲技巧を自己満足的に、独善的に提示したいがために、オケパートも歌パートにも、無調性の中にムリヤリ日本語を押し込め難所を散りばめるだけで、結局何を表したいのか理解できない新作オペラ。

もう1つは、それとは全く逆に、あっけらかんとした調性西洋音階の中、甘ったるい童謡のような歌が連続するだけの、ひどく幼稚な新作オペラ。その2つに。

また、いずれも場合の共通した難しさとしては、西洋音階にしても、日本音階にしても、その中に日本語を当てはめていく際の不自然さを、如何にクリアさせるか、より自然な口語に近い発音として成立されるか、という点がある。

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しかし、今回、この「紅天女」は、和洋折衷ではありながらも、これらについて、1つの解答を提示したように思う。楽器も調性も、気取って難解を装うことなどせず、ボヤかすことなく、堂々と場面ごとにいずれかの要素を出す。アリアにしても、先述のとおり、いわゆるオペラ的なアリアに加え、場面によっては、ほとんどミュージカルナンバーを想わせるような解放感ある曲想を用いることで、これまでの和製オペラの難点であった日本語による歌物語を自然な音楽として提示することに成功したのだ。

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過去の多くの和製オペラに無かった、あるいは多分それを敢えて否定してきた「エンタ性」がこの作品にはあり、それこそが、この作品の大衆性とそれによる成功を決定付けている。

聴衆に媚びを売る、というのではない、その必要もない。しかし、聴衆を置き去りにしていく作品では後世に残るはずはない。これまでの多くの和製オペラは「聴衆を遠ざけるほどに置き去りにしてきた」そういう作品が多いように思う。実際、ここ20年内に作曲された創作オペラで、再演された作品がいくつあるのか?ごく少数に限定されているはずだ。

オペラは芸術であると言う以前に、エンターテインメントである、という大前提を忘れた現代オペラが多すぎる感がある。

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聴衆を甘く見てはいけない。媚びとは無縁の、真に製作者と演奏者の誠実さから生み出されるエンタ性、大衆性を、聴衆は「本物」として感じとり、受け入れることはできるのだ。

この「紅天女」は正に真の意味での大衆性、エンタ性を有した秀作である。久しぶりの「これからも何度も観たい聴きたい和製オペラ」に出会えた、そういう喜びと感慨を覚える作品である。

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作曲した寺嶋民哉さんは初めて知った人だが、石笛の効果的に用いた点や、弦を薄い音で、まるで笙のように和風に響かせたかと思うと、金管と打楽器をふんだんに奏させもするし、コールアングレやファゴットで印象的な旋律を歌わせるなど、大した力量で驚いた。こんなに力量ある作曲家がいたとは知らなかった。今後も楽しみにしたい。

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仏師・一真を歌われた山本康寛さんは、偶然最近面識を得る機会があったが、歌声は初めての拝聴だと思う。明るいトーンで、声量と情感豊かに歌う正統派テナー、という感じがして素晴らしかった。これからも何度も聴きたいテナーだと、魅了された。

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主役である紅天女と阿古夜を歌い演じた小林沙羅さんは、これまで多くの新作日本歌曲やオペラを歌ってきた。中村裕美さんの歌曲。千住明さんや三枝成彰さん、二宮玲子さんのオペラ等々。それだけに、今回の役は正に適役だし、現時点での、これまで出演された和製オペラの集大成的な完成度で聴かせてくれた。どう褒めても褒め足りない。

紅天女と阿古夜では、それぞれにおいてトーンを変えていたし、それぞれに複数ある長大なアリアも、「完全に自分の歌」として堂々と歌い演じ終えた。その力量にあらためて感服する。

沙羅さんと親しくさせていただいていることを、この日ほど誇らしく思えた事はない。日本のクラシック界におけるスター街道を走っている感は既にあるが、私にとっても沙羅さんは大スターだ。

なお、会場では指揮者の井上道義さんと沙羅さんのお父様を見かけた。これはいつものこと。

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他の出演者も本当に総じて良かったが、主役以外のアリアで心に残ったのは、第三幕で伊賀の局=この日はメゾの丹呉由利子さんが「行かないで、あなた」と歌うアリア。

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指揮者の園田さんと東京フィルに大きな拍手を送りたい。

馬場紀雄さんの演出も、オペラとしては狭いステージを効率的に、色彩の妙を巧みに使って素敵な演出をされていた。さとうさぶろうさんによる衣装は特に紅天女における数種の衣装が美しかった。

とにかく、今後も何度も観たい聴きたい新作オペラだ。

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原作・脚本・監修:美内すずえ

作曲:寺嶋民哉

総監督:郡 愛子

演出:馬場紀雄

特別演出振付:梅若実玄祥

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出演

指揮:園田隆一郎

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

合唱:日本オペラ協会

石笛:横澤 和也

二十五弦筝:中井 智弥

ソリスト

       1月11日、13日15日/ 12日、14日

阿古夜×紅天女 : 小林 沙羅  /  笠松 はる

仏師・一真   : 山本 康寛  /  海道 弘昭

帝        : 杉尾 真吾  /  山田 大智

伊賀の局    : 丹呉由利子  /  長島 由佳

楠木正義    : 岡  昭宏  /  金沢  平

藤原照房    : 渡辺  康  /  前川 健生

長老       : 三浦 克次  /  中村  靖

お豊       : 松原 広美  /  きのしたひろこ

楠木正勝    : 斎木 智弥  /  曽我 雄一

こだま     : 飯嶋 幸子  /  栗林瑛利子

しじま     : 古澤真紀子  /  杉山 由紀

お頭      : 普久原武学  /  龍 進一郎

お滝      : 鈴木美也子  /  佐藤 恵利

久蔵(旅芸人)  : 馬場 大輝  /  望月 一平

権左(旅芸人)  : 嶋田 言一  /  脇坂  和

クズマ     : 照屋 篤紀  /  清水  実

https://www.jof.or.jp/performance/nrml/2001_kurenai.html

2020年1月11日 (土)

アウローラ管弦楽団の「アレクサンドル・ネフスキー」

比較的最近まで、プロコフィエフが嫌いだったが、今は結構好き。嫌いな時期にも、例外的に関心がある曲が幾つかあったが、カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」はその1つで、CDだけでなく、スコアも持っている。

今日11日午後、すみだトリフォニーホールで、アウローラ管弦楽団の第22回定期演奏会を聴いた。指揮は田部井 剛さん。プログラムは、その「アレクサンドル・ネフスキー」とチャイコフスキーの交響曲第4番。

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オケは2009年に結成され、以来、ロシア音楽を中心に活動するというユニークなコンセプトを持つ。もっとも、他にもロシアものを主体とするアマオケはあるけれども。このオケを聴くのは2回目で、以前は2013年に、タネーエフという作曲家の小品と、マーラーの「大地の歌」を演奏したコンサートを聴いた。

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合唱団は2002年に結成された混声合唱団コール・ミレニアム。この合唱団の拝聴も2回目で、前回は、昨年7月に杉並公会堂でバッハのロ短調ミサを演奏したのを聴き、とても良かった旨、ブログにも書いた。各パートの人数バランスが~前回同様~比較的良い合唱団で、今回はソプラノが29名、アルトが24名、テノールが16名、バスが21名。

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「アレクサンドル・ネフスキー」を生で聴いたのは初めてなので、とても楽しめた。ただ、ロシア語という難しい問題が合唱団には存在していた。私はロシア語での歌は、「ヴォルガの舟歌」を少し勉強したことがあるくらいで、合唱で歌ったことはないから事情はよく解らないが、特に前半では、ロシア語にしては発声(発音)が「浅くて薄い」感じがした。しかし、終曲での合唱は~不明瞭感は残りながらも~全体として高揚感のある、壮大、雄大で、いかにもロシア的な雰囲気がよく出ていたと思う。

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この曲、この演奏をミューザ川崎で聴きたかった。ミューザ川崎だったら、もっと合唱の響が客席に届いただろうな、と、想像する。この点は残念だった。

オケも含めて、すみだトリフォニーは音響的に問題がある。たぶん、天井が比較的低いことが関係しているのかもしれない。ステージ上はともかく、客席まで音がストレートに向かってくる、という感じがあまりしない。

私は某合唱団在籍時代、このホールのステージで歌ったこともあるが、狭いし、音響的にも感心しなかった。

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メゾのソロは平井淳子さんで、平井さんを聴くのは久しぶりだけれど、ロシア語的な陰影と彫琢ある深い声でとても良かった。また、登場の際に、ステージを暗くして、指揮者横に着いたときにスポットライトを当てる、という演出がオペラチックでとても良かった。

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それにしてもユニークな曲。プロコフィエフ独特のトーンとオーケストレーション。特に打楽器の活躍する迫力あるバーバリズムは面白い。プロコフィエフ作品の中でも、とりわけ異色な傑作だと思う。

お疲れ様でした。

なお、所用のため。後半のチャイコフスキーは聴かずに会場を後にさせていただいた。

2020年1月10日 (金)

佐藤優子さんリサイタルだけどオペラ~圧巻の「ルチア」

先月5日、紀尾井ホールでの砂川涼子さんのリサイタルにおける「アンコール」は、バリトンの上江隼人さんとのデュオにより、ヴェルディの「椿姫」第二幕第一場のヴィオレッタとジェルモンの二重唱が歌われ、およそ「アンコール」と言うより、ステージ第三部と言える様な、まるで本当のオペラの一場面を見るかのような充実した内容と企画で、大いに驚き、感動したのだった。

1月10日夜、同じく紀尾井ホールで開催されたソプラノ歌手 佐藤優子さんのリサイタルでは、前半は歌曲をソロで歌う、普通のスタイルだったが、休憩後の後半第2部では、テノールの古橋郷平さんと、バリトンの上江隼人さんをゲストに招き、ドニゼッティのオペラ「ランメルモールのルチア」が抜粋のかたちで上演された。

そう、これはもう「リサイタル」というより、「ミニオペラ公演」と言ってよい内容で、素敵な企画だったし、極めて充実した圧巻と言える内容だった。

偶然であるにしても、先月の砂川涼子さんといい、今回の佐藤優子さんといい、もしかしたら今後も、こうした、単独ソロだけではない、ミニオペラ公演的な要素も加え持ったリサイタルが増えていくかもしれない、そう感じさせる連続したリサイタルだった。

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佐藤優子さんは2016年1月からイタリア・ヴェローナに留学中で、この日は、その留学のきっかけである「五島記念文化賞オペラ新人賞研修成果発表」としてのリサイタル。たぶん彼女自身、初のソロリサイタルだと思う。

ピアノは服部容子さんで、終始素晴らしい流麗な技術と、エレガントで温かなトーンで本公演を支えた。

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演奏曲は以下のとおりだが、度胸の良さはいつもながらで、とても初リサイタルとは思えない感じで、少なくとも見た目では、まったく緊張もしていない(アガってなどいない)ような 堂々たるステージだった。

佐藤さんの強みは、声のコントロールの見事さにあると思う。曖昧さの皆無な巧みなコロラトゥーラ技巧。前半の8つの歌曲中、6つはそうした要素の歌だったが、もっとも私は、そうした彼女の「強み」は承知しているし、昨年8月の「二期会サマーコンサート」で聴いたときに、留学前にも一段とパワーアップした力量を確認できていたので、今回はむしろ、前半では2つの抒情的な歌、ドニゼッティの「一滴の涙」と、ヴェルディの「私は安らぎを失い」での感情移入、しっとり感にこそ感じ入ったのだった。佐藤さんの新しい面を発見した気分になった。

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後半は冒頭に記載したとおり、佐藤さんのほか、賛助出演として2人の歌手が加わっての「ルチア」の抜粋公演。ルチアが佐藤さん、エドガルドが古橋郷平さん、エンリーコが上江隼人さん。

演出・構成は十川 稔さんで、紀尾井ホールのステージ正面奥を、主に照明による色彩や抽象的な絵柄、あるいは月の画像~偶然、ホールに向かうこの夜は完全なまでの満月だった!~といった、シンプルにして印象的な、好感の持てる演出がなされた。

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テノールの古橋郷平さんは、先月の合唱団 鯨の定演で、ベートーヴェンのハ長調ミサのソロを歌っていただいたばかり。バリトンの上江隼人さんは、先述のとおり、先月の砂川涼子さんとのデュオや、今月3日のNHKニューイヤーオペラコンサートでも、テレビでだが、充実の歌声を拝聴したばかり。

古橋さんの声は、エドガルドという役柄にとても似合うと思った。素晴らしかった。上江さんの充実感も見事。

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そして何と言っても佐藤さんのルチアは実に見事で、特に最後の有名な、長大な難曲の「狂乱のアリア」が圧巻の充実した名唱で、盛大な拍手と歓声を受けた。

全員でのカーテンコール後に、初めてマイクを握り、挨拶したが、それも落ち着いて、とても立派だった。素晴らしい初リサイタルを心から祝いたい。

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終演後のロビーには佐藤さんだけでなく、上江さんも出て来られたので。私は「先日の砂川さんとのアンコールのデュオも感動しました」と伝えて、挨拶した。

古橋さんは楽屋にいらっしゃるようだったので、「Staff Only」というドアにかかる掲示を軽く無視して入り、「先日、合唱団 鯨でお世話になった伊藤です。エドガルドのイメージと古橋さんの声がピタリと合う感じで素晴らしかったです」と伝え、挨拶してから帰途に着いた。

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演奏曲

第1部

1.ロッシーニ「約束」

2.ロッシーニ「フィレンツェの花売り娘」

3.ベッリーニ「マリコーニア、優しい妖精よ」

4.ベッリーニ「私の偶像よ」

5.ドニゼッティ「ジプシーの女」

6.ドニゼッティ「一滴の涙」

7.ヴェルディ「私は安らぎを失い」

8.ヴェルディ「ストルネッロ」

 (休憩)

第2部

ドニゼッティ オペラ『ランメルモールのルチア』抜粋~演出・構成=十川 稔

~ルチア=佐藤優子、エドガルド=古橋郷平、エンリーコ=上江隼人~

1.「静かなる夜…昔この泉で」 by 佐藤さん

2.「ルチア、すまない このような時間に」 by 佐藤さん&古橋さん

3.ピアノソロで、リスト作曲「ルチアの主題によるワルツ」

4.「こちらへ来なさい、ルチア」 by 佐藤さん&上江さん

5.「恐ろしい夜だ、私の運命のように!」 by 古橋さん&上江さん

6.「あの方の優しい声がこの胸に響き」(狂乱のアリア) by 佐藤さ

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