2017年11月19日 (日)

田部京子さんピアノ・リサイタル~シューベルトの命日に

2017年11月18日 (土)

カウフマン~3万8千円はあり得ない

カルロス・ゴーンは何をしていたのか?責任は無いのか?

2017年11月17日 (金)

LA VOCE vol.4

2017年11月 5日 (日)

俊友会管弦楽団 札幌第九特別演奏会に参加して

2017年10月14日 (土)

神奈川フィル~武満徹「系図」とR・シュトラウス「英雄の生涯」

久しぶりに神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会を
14日午後、横浜みなとみらいホールで聴いた。第333回定演。
指揮は常任指揮者の川瀬賢太郎さん。
曲が良いので、売出し早々に購入してあった。

前半が武満徹の系図“Family Tree”
 -若い人たちのための音楽詩-。

休憩後の後半は、
リヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。
ヴァイオリン・ソロは同オケ第1コンサートマスターの
﨑谷直人さん。

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武満さんの「系図」は、これまで都内で演奏された演奏のうち、
過去3回ライブで聴いてきている。
晩年の明るく親しみやすい曲想とトーン。
少女による谷川俊太郎さんの詩「はだか」からの6つの詩の
ナレーション。
聴くたびになぜか熱い思いが毎回込み上げて来る。
なぜかという理由は自分でも解らない。

ニューヨーク・フィル創立125周年の委嘱作
「ノヴェンバー・ステップス」から25年、
創立150周年の委嘱作品。テーマは「家族」だった。

きっかけはズービン・メータから、
「子供のための(向けの)音楽を書く気はないか?」と打診
されたことだったという。1992年に作曲され、
12歳から15歳くらいの少女を想定したナレーションにより、
楽曲の中で語られていく、というスタイルをとっている。

世界初演は1995年4月に、スラットキン指揮のもちろん
ニューヨーク・フィル&サラ・ヒックスのナレーション。

日本での放送初演は同年5月、岩城宏之さん指揮のN響、
当時高校生だった遠野凪子さん。
ステージ初演は同年9月、小澤征爾さん指揮の
サイトウキネン&遠野凪子さんにより演奏され、
そのときのものが、レイブ・レコーディングされて発売された。
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美しく明るい調性で透明感と温かさ穏やかさに
満ちているが、オーケストレーションは実は大きい。
弦のハーモニクスの多用はいつもながらだし、
グロッケンシュピールやビブラフォン等の打楽器の多用も
いつものとおりなのだが、決定的に違うのは
トーンの明るさと温かさだ。

基本的には10代の女性を起用する演奏が多いが、
岩城宏之さんは後年、吉行和子さんを起用したりもした。

この日は1997年9月生まれなので20歳になったばかりの
タレントでモデルの唐田えりかさん。

初演した遠野さんの抑揚ある感情を込めたナレーションが
印象的だったが、昨今起用されるナレーターは、控え目で
抑制された単一のトーンで語る傾向がある。
この日の唐田さんもそうだった。

けれど、「おとうさん」における「ずっと生きていて」の部分や、
「おかあさん」における
 「私とも話しをして欲しい。帰って来て欲しい、今すぐ。
  泣いててもいいから。怒っててもいいから」
の部分では感情が出ていて、
彼女自身の両親に対する思いが出ていたのかもしれない
とさえ感じた。

オケは十分美しく、女性の首席ホルン奏者によるソロも
素敵だった。
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なお、 武満徹 系図 フロイデブログ
でグーグル検索していただくと、私がライブで聴いた以下の
3つの演奏会の感想が上位3つ続けて出てくるので、
興味があればご覧ください。

2008年1月18日の沼尻竜典指揮、都響&水谷妃里(ゆり)
2016年1月30日の山田和樹指揮、日本フィル&上白石萌歌
2016年8月27日の浅野亮介指揮、アンサンブル・フリーEAST
                       &浜辺美波
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さて、休憩後の後半は、「英雄の生涯」。
言うまでもなく難易度の高いハデな曲だが、
R・シュトラウスは室内楽的な細やかなオーケストレーションを
たくさん散りばめてもいる。

川瀬さんは冒頭や中間部(434小節から)の4分の3拍子
による行進曲調の部分ではキビキビと速めのテンポで
進めたかとおもうと、
その前後やエンディングの向かう部分でのゆったりとした
曲想の部分では遅めのテンポと言ってようほど穏やかな
表現に徹するなど、「メリハリの良い演奏」だった。
好演である。

コンマス﨑谷さんによるソロは、物語での妻=女性という
設定を踏まえての繊細でエレガントな演奏を基本としていた。
むろん低弦でのスフォルッツァンド等での迫力も十分で
見事な演奏だった。

私事になるが、私が活動しているオケの指導に昨年数回、
﨑谷先生に来ていただいた。
全く偶然だが、明日15日午前の練習にも久しぶりに来場して
指導していただけるとのことで、楽しみだ。

ご参考
デュトワ指揮N響1997年6月
https://www.youtube.com/watch?v=Tz2KIhHXrQ4

スラットキン指揮N響2016年4月
https://www.youtube.com/watch?v=sZ7N9QKNnuw

2017年10月13日 (金)

田中彩子さん ソプラノリサイタル2107紀尾井

田中彩子さんソプラノリサイタル~ガラスの繊細さと無垢な羽

田中彩子さんは不思議な魅力を持った人だ。
声質が細く軽いので、1つのリサイタルで歌う曲数は少なめで、
声量が特別あるわけではないので劇的で長大なアリア等も
まず歌わない。
それでも着実に道を開きつつあり(それもウィーンで!)、
日本における3回目となるツァーでも人気上昇中なのは、
ある種典型的な稀なほどの美人ということだけではないと想う。

TBS「情熱大陸」が取り上げたことが
 ~ピアニスト反田恭平さんがそうだったように~
人気を大きく後押ししたことは確かだろうけれど。

12日夜、今年の国内ツァーの東京公演をこれまでと同じく
紀尾井ホールで聴いた。
今回は2枚目のCDリリースにもちなんでの
「美しきウィーンとコロラトゥーラ」と題したリサイタル。

前半は新CDのお披露目という内容だったが、
今回は特にそれとは無縁な後半の選曲が、
彼女の特性が良く出た個性的なプログラムで、
2年前の初回からピアノと進行役を務める作曲家の
加藤昌則(まさのり)さんによる編曲もステキで、
過去2回にも増して印象的なコンサートだった。

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私は初回から紀尾井で聴いていて今回3年連続なので、
彼女の「トークの状況」はむろん承知済みが、
初めてライブを聴かれた方は、あのシャベリにさぞ驚くだろう。
了解済みのファンからすると、
「今初めて来場されたかたは、どう思っているのだろう?」
と心配になるほどの「不得手」さ。

加藤昌則さんによるフォローが無いと、進行自体が
危ぶまれるかもしれないスリル感?

内心、加藤さんに「あまりトークを交えないほうが良いのでは?」
と言いたくなる気持ちもある中、以前にも増して、
加藤さんは敢えてトークを増やしている感があり、それにより
田中さんも以前よりよく話すようになっている。

「危険なまでの?ギャップ」だが、今回は
最後の「春の声」が終わったときの大きな拍手と歓声、
アンコール後のカーテンコールでのそれ、そして
終演後のサイン会の行列を見て安心した。
老若男女、特に女性が多いのが良かった。
過去最多の行列。ファンを確実に増加させている。 

彼女のタドタドしい不得手なシャベリにさえ、聴衆には、
「都会の喧騒や汚れに染まっていない無垢さ」を見て取る
のかもしれないし、そうしたことさえ、結果として
聴衆に興味を持たせてしまう、不思議な魅力が彼女には有る。
正に「田中彩子ワールド全開のコンサート」。

男女を問わず「守ってあげたい系」と思わせてしまう、
ガラスのように繊細な声の歌姫。

それにトークが不得手と言っても、短い言葉ながら、
「ウィーンでは街路で演奏する人は多いが、全体として静か。
 日本のお店(例として某大手家電店の名を出してしまったが)
 のような音楽をかけたままの(うるさい)店は無い」、

「ウィーンの3拍子が均等でないのは踊る際の、
 ステップによる体重移動による(力点の移動による)
 3拍子だから」など、
本質を突いた発言はされていた。

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ガラスの工芸品の様な繊細さ。
あるいは絹織物の様な佇(たたず)まい。
あるいは、フワフワと飛翔する羽毛のような自在さ、軽やかさ。

コロラトゥーラという技巧を凝らした歌と歌い回しで勝負している
のに、実は無垢なまでに自由で天衣無縫に歌うスタイル。

それでも今の時点の彼女の歌唱力(技術)を
「優秀な同業者」が聴いたら、
たぶん感想は「いろいろ」と想像できるが、
少なくとも彼女は、今抱えているであろう弱点も含めて、
それも自身の個性として自分を信じて歌っている、
ということが伝わってくる歌唱と言える。

敢えて体操競技に例えるなら、
彼女は「個人総合」の優勝を目指す歌手ではなく、
あくまでも「種目別」で勝負する歌手だと思う。
よって、個人総合的観点からの意見や批評は
彼女にはあまり当てはまらないだろう。

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とはいえ、誰にでもあるだろう課題に今後向き合っていく場合、
ずっと今のスタイルで彼女が押し通して良いのか、
押し通して行けるのか、という問題は存在するだろう。
例えば(一般論)だけれども、中音域が多い曲をどう歌うか、
とか、声量を求められる曲をどう歌うか、等々、
今後、彼女が直面し、克服し、修得していくかもしれない
幾つかの点に関して、どう変わっていくか、
あるいは変わらない(部分を残したまま)で行くか、
想像すると興味は一層強まる。

加藤さんが明かした、新アルバムのレコーディングの際の
エピソードでの
「同じ曲でも繰り返しリハをすると、良い意味で
 毎回違うように歌う」として、
ピアニストに合わせることよりも、むしろその時々の
情感に任せて歌うスタンスが1つのヒントになるかも
しれないが、その点に関する変化の有無も含めて、
今後が楽しみだ。
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終演後のサイン会は先述のとおり、過去2回以上の
多くの人がならんだ。
私は幸い田中さんとFBで友人になっていただいているので、
前回のとき、田中さんから「あっ」と気づいていただいたし、
今回も私を見るや「いつもどうも」という感じで挨拶を交わした。

1年に1回しかお会いしていないのに、
まるで月1回くらい会っているように接することができるのは
フェイスブックのおかげでもある。
FB恐るべし、FBありがたし、というところ。

なお、加藤さんには「漫才のようで面白かったです」と伝えた。
前後するが、前半で加藤さんがソロを演奏した
グアスタヴィーノのソナチネ第1楽章は、「枯葉」のような
哀愁感のあるカンツォーネ風のステキな曲だった。

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曲目
1.モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
2.J・シュトラウス2世「美しき青きドナウ」
3.フリース(伝モーツァルト)「子守歌」
4.モーツァルト「アレルヤ」(エクスルターテ・ユピラーテより)
5.ピアノ独奏 グアスタヴィーノ「ソナチネ」より第1楽章
5.シューベルト「アヴェ。マリア」
6.ロジャース「サウンド・オブ・ミュージック」
7.J・シュトラウス2世「ウィーンの森の物語」

(休憩)

8.ベートーヴェン「豊穣の夢~エリーゼのためにより~」
9.アリャビエフ「夜鳴うぐいす」
10.モシュコフスキ「愛しの小さな夜鳴うぐいす」
11.パガニーニ「カプリース第24番」
12.パガニーニ「愛しき人よ」(ヴァイオリン協奏曲第24番第2楽章より)
13.J・シュトラウス2世「春の声」
アンコール「エーデルワイス」(日本語)
http://j-two.co.jp/ayakotanaka/archives/708
http://j-two.co.jp/ayakotanaka/

2017年10月 9日 (月)

ミサ・ソレムニス~明治学院バッハ・アカデミー

バッハ研究で有名な樋口隆一さんが2000年に
バッハ没後250年を記念して設立された
明治学院バッハ・アカデミー合唱団と同合奏団による
ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」を9日夜、
サントリーホールで聴いた。

直接的には樋口先生と最近フェイスブックで知り合えたことと、
ソプラノソロで鷲尾麻衣さんが出演されるということは
あったが、なんと言っても偉大な曲だし、
CDでも最近は聴いておらず、ライブに至っては何年ぶりか
思い出せない位だから楽しみにしていた。
指揮は樋口隆一さんご自身。

曲はこの1曲だけで、「キリエ」と「グローリア」を演奏後、
休憩に入り、その後、「クレド」以下を演奏するというスタイル。

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冒頭からゆったりと一歩一歩落ち着いて堂々と歩む演奏だが、
オケは古楽器主体の室内管弦楽団だし、
合唱団もソプラノ20名、アルト13名、テノール9名、
バス18名の合計60名の合唱団だから、
演奏規模自体においても室内楽的な要素が主体となる演奏
になるが、それは単に人数的(規模的)な要因だけでなく、
樋口先生が丁寧で温かな質感をもってじっくりと創って
いった結果とも言えるだろう。

とはいえ、もちろんこの人数で、この曲を演奏するのは
相当な「冒険」でもある。
実際、前半の2曲、特にニ長調の壮大な「グローリア」では
合唱の声がオケに埋もれてしまう場面が散見された。

これは、合唱団の配置が通常の縦割りのパート配置ではなく、
前列にソプラノ、次いでアルト、テノール、最後列にバス
というように横一列の配置にしたことも関係はしたように想える。

樋口さんは音の広がり意識されたのかもしれないが、その分、
声の厚みは薄れた感じはした。
縦配置のほうが良かったとは言わないが、少なくとも
縦配置での演奏「も」聴いてみたかったと思うのが
正直な気持ち。
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それでも、長大な「クレド」の一部や、ヴァイオリン・ソロと
掛け合う「ベネディクトゥス」(サンクトゥス)~桐山さんの
ソロはとても良かった~最後の「アニュス・デイ」の多くの場面
では曲想自体に室内楽を志向する様な要素があるので、
そうした場面での合唱はとても美しく柔らかく響いていた。

ただ、全体としてはバスが(18人と人数比率が高いもかかわらず)
あまり聴こえてこなかったのは残念だったし、
ソプラノの発声も(横ならびの関係からか)個々の声の
立ち上がりの遅れが聴こえたり、
女声2部で「pacem」と降りて来るところ(「アニュス・デイ」の
135~138小節、同245~248小節)などは柔らかくて美しい
のだが、もう少し「芯」のある(良い意味での緊張感のある)声
のほうが望ましいと想えるなど、
発声において改善、向上の余地は多々あると感じた。

壮麗な威厳ある演奏を期待した人には違う色合いだった
だろうが、合唱において「室内楽的なミサ・ソレムニス」という
独特の良さが出た演奏だったと思う。
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ソロは皆さん良かったが、特にソプラノの鷲尾さんは
贔屓目抜きに、伸び伸びと輝かしいまでの声で
素晴らしかったし、大ベテランの寺谷さんの余裕ある声、
端正なエルウィスさん、風格ある河野さんなど、
個性がそのまま出た歌唱だった。

オケを対抗配置としたことのマイナス面は特に感じないだけでなく、
とても優秀なオケだと感心した。申し分ない演奏。
・・・・・・・・・・・・・

それにしても何と言う曲だろう!
壮大さだけでなく、オケと合唱の兼ね合いにおける室内楽的要素、
木管における室内楽的要素、ティンパニの斬新な扱い、
金管も効果的に使うなど、ベートーヴェンは色々な場面で
「仕掛け」を作っている。
ある意味現代的とも言えるし、交響曲の書法というより、
晩年の弦楽四重奏の書法に似ているとも想える。

なんと言っても合唱の難しさは、当然ながら第九の合唱の
比ではなく、長大さだけでなく難易度においても
第九の百倍、いや500倍は難しいだろう。

第九とともに偉大な曲、というより、
第九とは別次元の偉大な曲、と言うべきかと思う。
いわば、別の山脈にある、それぞれの最高峰と言うべきか。

第九をたくさん振ったフルトヴェングラーでさえ、
「ミサ・ソレムニス」は極力避けていたと言われているが、
解る気がする。

この点からも、少人数での未だ歴史の浅い室内合唱団が
この曲に挑んだ意味は大きいし、何よりも団員自身が
多くの収穫、課題を得た演奏だったに違いないと想像する。
お疲れ様でした!

なお、終演後、楽屋におじゃまし、樋口先生にご挨拶し、
鷲尾さんとも挨拶して、ツーショット写真を撮らせていただいた
ほか、寺谷さんは、私が活動するオケが2006年に
第九を演奏した際、ソリストとして歌っていただいたので、
寺谷先生にその旨お伝えし、ご挨拶した次第。

あと、余談ですが、池辺晋一郎さんも来場されていた。
翌日、樋口さんから、「学生時代からの友人」と聞かされた。

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ソプラノ 鷲尾麻衣
メゾ・ソプラノ 寺谷千枝子
テノール ジョン・エルウィス
バリトン 河野克典
コンサートマスター 桐山建志

演歌について~「北の宿から」の歌詞を批判した淡谷のり子さん~それとは関係なく、「昭和枯れすゝき」は名曲

 「北の宿から」に関する淡谷のり子さんの批判

昔、演歌は嫌いだった。
今ではカラオケのレパートリーの5分の1近くを占めるまでに
至っているかもしれないが。

嫌いだった理由は浪花節的な点というより、
「耐える女のイメージ」に代表されるような、
女心をいかにも男が知り尽くしているかのように書く男の
勝手な歌詞の傲慢さが気に入らなかったことも、
その1つだと思っている。

当時私が感じていたことを同じ様に感じられてそれを端的に
批判的に語ったのが故・淡谷のり子さんで、淡谷さんは生前、
都はるみさんが歌った「北の宿から」の一節(作詞=阿久悠)
についてこう言ったことがあった。

 「着てはもらえぬセーターを、寒さこらえて編んでます、って、
  バカじゃないの」

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昭和枯れすゝき~8日テレ東「歌謡史に輝く100曲」を見て

さて、それはそれとして、さくらと一郎(初代)の2人が歌った
「昭和枯れすゝき」は、曲も歌い回し等の全てにおいて
インパクトがあった。

名曲だと思うし、あらためてじっくり聴くと
2人が数小節(フレーズ)単位で上のパートと下のパートを
入れ替えて歌っているのが興味深い。

フォークソングを含め、デュオの場合の多くは大抵、
上か下かの役割は固定して歌うことが多い。
しかし、この2人は固定せず、上下のパートを交替しながら歌う
という、そうした点の特徴を出すことにも配慮して歌っていた
ことに改めて感心する。
https://www.youtube.com/watch?v=Sh_9Eu4lR9A

2017年10月 7日 (土)

マタイ受難曲~合唱団「鯨」創立50周年記念第69回定期演奏会

1967年12月に故・芥川也寸志さんによって設立、命名
された合唱団「鯨」による「マタイ受難曲」を7日午後、
東京芸術劇場大ホールで拝聴した。

「鯨」を拝聴したのは初めて。また、CDも含めて
「マタイ」を聴いたのも久しぶりだが、夜のOBオケの練習と
それに先立つ、来年以降の選曲や指揮者等の検討をメイン
としたパートリーダー会議の関係で、全曲は聴けず、
第1部全曲と休憩後の第2部が始まって数曲までしか
聴けなかったが、それでも満足度は大きい。

今更ながらにあらためて偉大な曲だと深く感じ入った。
死ぬまでに一度は歌いたい曲、とさえ思った。
長大さにたじろいでいる場合ではない。人生は短いのだから。

演奏でまず言及しなければならないのが
福音史家(エヴァンゲリスト)の畑 儀文(よしふみ)さん。
私的にはこの役の理想的な最高の声。
これ以上考えられないくらいエヴァンゲリストに相応しい
素晴らしい美声。

イエス役の多田羅迪夫さんもさすがと言うべき魅力的な声。
アルトの栗林朋子さんもこれぞバッハのアルトと思えるほどの
印象的な声と歌唱。
テノールの望月哲也さん、ソプラノの松原有奈さん、
バスの宇野徹哉さんもそれぞれの端正に歌われ、
立派だった。

今回初めて拝聴した昔から有名な「鯨」の今回の出演人数は、
ソプラノ45名、アルト41名、テノール19名、バス27名の、
合計132名。
テノールが少ないのは多くの日本の合唱団で見られる現象だが、
それにもかかわらず、この団のテナーパートは
とりわけ美しかった。

第27曲b「稲妻も雷鳴も」のフーガの迫力は見事。
ただ、第1曲合唱の最後の和音が
dur(長調)なのだかmoll(短調)なのだかはっきりしない、
ぼやけた和音になったのは気になった。
第1テナーか第2アルト(または両パート)のGisの音が
低すぎたのだろう。

2群に分かれるオケの、1993年に発足した
クライネス・コンツェルトハウス管弦楽団は「鯨」との共演は
8年連続8回目とのこと。
質感の美しい優秀なオケ。
プログラムのヴィオラに長谷川弥生さんの名がある。
チェロの長谷川陽子さんのお姉さん。

指揮は1980年からこの合唱団の常任指揮者を務めている
黒岩英臣さん。「鯨とのマタイ」は今回で4回目とのこと。
冒頭から劇場的なドラマとしての熱い演奏で開始。
今年75歳の黒岩さんは敬虔なクリスチャンで、
外見は気品を感じさせる紳士的な指揮者だが、
結構「熱い演奏」をされることは実は昔から知っていた。

私事になるが、1980年、大学3年次、大学混声合唱団の
学生指揮者をやらせていただいたとき、
オケとの合同曲を振っていただいた(ヴェルディ「聖歌四篇」)。
あのころの黒岩さんは修道院生活から現世に復帰
(1976年)してまだ4年しか経っていないころだった。
あれ以来、お話はしていないが、
機会があればご挨拶しに行きたい。

なお、プログラムの終わり近くに、参加団員全員の
一言コメントが掲載されていて面白い。幾つか挙げると、

ソプラノAさん「鯨入団初演がマタイ、今回が最後のマタイです」
Oさん「二度目のマタイ。今回は暗譜に挑戦しようと思う」
Hさん「7歳で始めた合唱、たくさんの思いを込めて歌います」
Fさん「マタイを聴いて入団を決意、夢のマタイに挑戦」
Yさん「マタイを聴いて入団。さて雷鳴は、終曲の安らぎは…」

アルトKさん「数十曲歌ってきた中でマタイが一番(受)難曲です」
Sさん「深い安息のうちに眠る亡き母に捧げるマタイの調べ」
Tさん「マタイを歌って退団でき鯨に感謝、末永く栄光あれ!」
Hさん「悲しい出来事の多い昨今、心に響くマタイを」

テノールUさん「終曲の美しさに涙、この感動を皆に届けたい」

バスOさん「2000年のマタイで入団、二度目の至福」
Kさん「早逝した永遠の旅人、息子に祈りを込めて…」
Sさん「今は亡き友と歌う受難曲、バッハのマタイ」
Tさん「今年失った2人の友にこの歌を届けたい」
Fさん「56年ぶりのマタイ。ボーイソプラノはバスに」等々。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出演者
指揮 黒岩英臣
畑 儀文   テノール(福音史家)
多田羅迪夫  バス(イエス)
松原有奈   ソプラノ(アリア、女中Ⅰ、ピラトの妻)
栗林朋子   アルト(アリア、女中Ⅱ、証人Ⅰ)
望月哲也   テノール(アリア、証人Ⅱ、祭司長Ⅰ)
宇野徹哉   バス(アリア、ユダ、ペテロ、ピラト、
            大祭司、祭司長Ⅱ)
クライネス・コンツェルトハウス管弦楽団
ゆりがおか児童合唱団 合唱指揮(指導)藤井大輔
合唱団 鯨 合唱指揮(指導)松村 努
http://kujira.org/

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