2019年10月 6日 (日)

映画 蜜蜂と遠雷~競争物語にしておらず聴衆の前で演奏できる喜びが描かれていて素晴らしい~大推薦です

恩田陸さんの直木賞受賞作品の映画化。音楽雑誌「ショパン」10月号の表紙を、音楽家ではなく、4人の俳優が飾ったほどの話題作。原作を読んでいないので、「競争物語だとしたら陳腐な内容だろうな」と想像しただけでなく、「クラシックに詳しくない人が見て、コンクール(の世界)イコールがクラシック音楽、と誤解されたら嫌だな」とまで思いながら、期待せずに映画館に行ったのだが、想像とは全く違うテイスト、内容で、とても良かった。主役の4人の参加者がそれぞれの思いや、状況を抱えながら、音楽に向き合っていくという内容が良い。要するに全くコンクール コンクールしていない、ギスギスした内容でないのが良い。

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コンクールにおいてはライバルであるにもかかわらず、亡き母への思いから脱しきれない松岡茉優さん演じる栄伝亜夜を、19歳の新人 鈴鹿央士さん演じる風間塵がさりげなく勇気づける関係性、その栄伝は、コンクールで再会した幼馴染、森崎ウィンさん演じるマサルを本選前にサポートするという関係性が良い。3人のレベルの域に達していないという設定の、松坂桃李さん演じる高島明石を含めた4人のそれぞれの会話から見えてくる、同じコンクールに参加した者にしか解らないであろう不思議な友情の設定も素敵だ。

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二次予選での課題曲「春と修羅」(実際の作曲者は藤倉大さん)の最後に置かれた各自が自由に演奏してよいというカデンツァに関しての展開が特に面白く、4人各様のカデンツァが演奏されるのだが、考えてみれば、マサルのセリフにもあるように、過去の作曲家の多くは「コンポーザーピアニスト」であって、作曲しないピアニストの隆盛は19世紀後半以降のものだろう。演奏は本来的に各人の独自性であるという点を考えれば、即興を含めた各人のカデンツァ=個性の発露とも言えるのだ。

シーンとしては、松岡茉優=栄伝亜夜と、鈴鹿央士=風間塵による「月の光」→ポップ調→「月光」もう一度「月の光」の場面が良い。恋でも生まれるのでは、というような雰囲気の。

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そして、本選に残った3人における、共鳴による感性の交換から生まれる友情にも似た関係性が素敵だ。本選でのコンチェルト演奏。マサルによるプロコフィエフの2番、風間塵によるバルトークの3番、ラストでの栄伝亜夜によるプロコフィエフの3番、それぞれの演奏の何とカッコイイことか。

「世界は音楽に満ちている」、「最終的にはピアノがどのくらい好きか、音楽がどのくらい好きか」~これが若者たちの原点でもある。

「世界中で自分たった一人しかいなくてもピアノを弾く」くらい好きだけど、「コンクールというより何より、聴衆の前で演奏できる喜び」が描かれていて素敵だ。

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4人の俳優が演奏するシーンで実際に演奏したのは、松岡茉優演じる栄伝亜夜は河村尚子さん、松坂桃李演じる高島明石は福間洸太朗さん、森崎ウィン演じるマサルは金子三勇士さん、鈴鹿央士演じる風間塵は先日チャイコフスキー国際コンクールで2位になった藤田真央さん、と、実際に活躍している若手ピアニストであることや、各俳優と奏者との個別対談や、各組ごとでのCDリリースもされるなども含めて、大きな話題となっている。

https://www.youtube.com/watch?v=b9z6NcS5Wwc

https://mitsubachi-enrai-movie.jp/

 

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ご参考

フェイスブックで映画「蜜蜂と遠雷」に関する3人の感想を拝読して

フェイスブックに投稿された「蜜蜂と遠雷」の原作も読んでいるという3人の、同映画鑑賞後の感想を拝読した。タイムラインに投じていた男性のYさんと女性のKさんは、映画作品として楽しめた、と好意的に書かれていたが、某音楽サイトに投じていた女性は「コンクールのリアルが描かれてないので残念」とガッカリ調の内容だった。

3人目の人に対する私の意見はこうだ。「コンクールのリアルが映画で描けるわけないので、私は別物=ファンタジーとして十分楽しんだ。コンクールのリアルを体験したいのなら、コンクールの会場に行くか、ドキュメンタリーフィルムを観ればよいだけのことなので」

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雑誌ショパン10月号

https://www.chopin.co.jp/month.html

 

紀子さまと映画鑑賞

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191002-00000385-oric-ent

 

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松坂桃李、事務所との“戦い”を告白 松岡茉優「大丈夫ですか!?」  映画「蜜蜂と遠雷」完成披露イベント

https://www.youtube.com/watch?v=9VzXLxq1BDM

 

松岡茉優、天才ピアニスト役は「挑戦というより闘い」

https://www.youtube.com/watch?v=leexrtx3TB0

2019年10月 1日 (火)

映画 レディ・マエストロ~偏見と闘った女性指揮者~強くお薦めします

圧倒され感動する映画。強くお薦めします。冒頭、メンゲルベルグ(もちろん現代の俳優が演じる)指揮のマーラーの4番で開始。劇場スタッフとして働くヒロインは、なんとかしてその演奏を聴きたいと画策する。その冒頭シーンからして「指揮者になりたい」という強い思いが全編に溢れ、圧倒され、観ているこちらも胸が熱くなり、時代と空間を超えて応援したくなる。

「女なんか指揮者になれない」。今の時代から見ればアホみたいな偏見だが、当時はごく普通に音楽界に存在した差別(というより)偏見だった。クリスタイン・デ・ブラーン演じる映画の主役、実在して1929年にはベルリン・フィルも振ったアントニア・ブリコは、立ちはだかる偏見、差別による拒絶に諦めずに何度も挑み、どんどん強くなっていくのだが、あのくらい強くないと、とてもじゃないけど、指揮者になれなかったのだろうな、とよく解る展開。メンゲルベルグの推薦により、カール・ムックの指導でチャンスをつかんでいく。劇中、シュヴァイツァー博士の言葉とか、ハッとさせられる名言、書き留めておきたくなる言葉も幾つか出てくる。

しかし、彼女は迷いが皆無というのではなかった。指揮者への思いの中、不幸な生い立ちを知って煩悶し、過去を知ろうとする感情に揺すぶられ、また、恋愛感情も生じ、歩んで行こうとする道を迷わせたりもする。それでも彼女は最終的には「指揮者になりたい。なる」を貫く。

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考えてみれば、ピアノもヴァイオリンも、当時も今も男性以上に巧く演奏する女性はゴマンといた(いる)のに、おかしな話だ。「統率力」云々というのだろうが、女性に統率力が無いなんて、それこそ偏見に過ぎない。

オケにしても、ベルリン・フィルが女性団員を入団させてからまだ20年位だろうし、ウィーン・フィルなんぞ、つい10年位まで「女性団員は要らない」と平然と公言してきたのだ。欧州のオケでさえ、そんな感じなのだから、いわんや当時、女性で「指揮者になりたい」と言明したら笑われるだけで(そういうシーンあり)、挙句に果ては「結婚して子供を産んだほうがよい」(そういうシーンもある)などと、今なら大変なハラスメントになることを言われかねなかったわけだ。

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劇中、女性差別だけでなく、いわゆる性同一性障害の問題も提示される。彼女を強く支えてくれた一人、ロビンに関する秘密が明らかにされる場面では、ちょっと泣ける。感動する。

ラストの「臨時のイス」のシーンは、冒頭と重なり、とても良かった。

「音楽をやりたい、指揮者になりたい」という強い思いが全編に溢れる。彼女のパワーと勇気を知って感動し、才能だけではなく、「一途でなければ音楽家にはなれない」ことをあらためて教えてくれる素晴らしい映画。大推薦の映画作品だ。

https://www.youtube.com/watch?v=DPGS0zjRk8Y

2019年9月28日 (土)

なつぞらロス

後日記載します。

2019年9月27日 (金)

TVより

後日記載します。

2019年4月14日 (日)

この半年で観た映画 その26

昨年の10月12日に、この半年で観た映画 その25として、
2018年4月~2018年9月に劇場やDVDで観た映画の
感想を書いたのに続き、それ以降の
2018年9月~2019年3月に観た映画の感想を
シリーズの26として感想を記したい。
なお、これまで同様、既に単独でブログに書いたものは
「○月○日のブログに記載のとおり」、とだけにしたい。

2019年3月11日 (月)

傑作だったTVドラマ3年A組~今から皆さんは、人質です

感動的な傑作TVドラマだった。
このワンクールで断トツに優れていただけでなく、
ここ数年のスパンの中でも、極めて内容の充実した、
最も優れた物語だったと思う。見事な内容と展開だった。

設定は大胆だが、毎回二転三転する意外性満載な
展開構成の中で、毎回、生徒一人ひとりにスポットを当て、
その生徒が置かれ抱えた状況や悩み、葛藤などの闇と
思いを開かせ、打開していく教師、というヒューマンな
最も大事な要素を踏まえた内容と展開。

よく書けた台本。
そして何より主役教師を演じた菅田将暉さんの
抜群の演技力。
彼が教師として真剣に生徒たちに向き合った、
その演技の素晴らしさ。

SNSという、そこにいる大勢の無責任な発信者こそ
真の黒幕として、ネット暴力が本当に人を、
若者を死に追いやることが有り得るという警鐘を、
ネットの向こう側に、最後の授業として、
熱く真摯なラストメッセージとして、全身全霊で語りかけた
菅田将暉さん演じる柊一颯(ひいらぎ いぶき)先生に
最大の賛辞を送る。

https://www.ntv.co.jp/3A10/cast/
https://www.ntv.co.jp/3A10/
http://news.livedoor.com/article/detail/16137895/
https://tver.jp/episode/53325229

菅田将暉主演『3年A組』最終回15.4% 自己最高&同枠最終回最高で有終の美
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190311-00000322-oric-ent

菅田将暉が泣いた 椎名桔平『3年A組』打ち上げでのスピーチ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190314-00000007-pseven-ent

2019年3月 2日 (土)

日本アカデミー賞~樹木希林さん&安藤サクラさん&若い人たち

まず、新人俳優賞の男性4人、女性4人を見て「新人?」
と驚くほど既に活躍している役者さんたち。
この賞の受賞は初めてでも、全員既に数年前からTVや
映画に複数出ている。
若手実力者の層が厚いことは日本映画界に希望を抱かせる。

そして何と言っても亡き樹木希林さん。
「万引き家族」での最優秀助演女優賞だが、
「日日是好日」でも同賞の受賞に値すると思う。
2作品での受賞とすべきだった。

代わりに挨拶をした長女の内田也哉子さんのスピーチが
素晴らしく(後記参照)、
西田敏行さん、吉永小百合さん、広瀬すずさんら、
世代を超えて皆さん涙されていた。

最優秀主演女優賞は「万引き家族」の安藤サクラさんで
納得の賛成だが、「北の桜守」での吉永小百合さんにも
あげたかった。

安藤さんはコメントで、出産後まもない時期での撮影
だったゆえ、苦悩する心情~母親としての責任感と
共演関係者へのある種の罪悪感(という言葉を使って)、
それでも映画を愛していることを感じたこと等~を吐露
されたのが印象的で、裏表のない彼女らしい正直な発言だなと
一層好きになったし、それを聞いていた共演された
松岡茉優さんが号泣していたのも印象的だった。

「万引き家族」の最優秀作品賞受賞時のやはり松岡さんの号泣
といい、今回、松岡さんの人柄がTV画面から伝わる授賞式
でもあった。
彼女が主演した「勝手にふるえてろ」もいつか観てみたい。

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暴力系の映画は嫌いなので、「孤狼の血」は観てないが、
松坂桃李さんと真木よう子さんの演技が見もののようなので、
近々観てみたい。レンタルDVD化されているので。

話題となった「カメラを止めるな!」は優秀作品賞、
優秀監督賞、優秀脚本賞、優秀主演男優賞、優秀音楽賞、
優秀撮影賞、優秀録音賞のそれぞれの中の1作品として
選ばれているし、とりわけ編集賞では最優秀編集賞を受賞
したのと、話題賞の作品部門で選ばれたのは良かった。

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内田也哉子さんのスピーチ。
「生前、母がよく口にしていた“時が来たら誇りを持って
 脇にどけ”という言葉を、文字通り今できたと思います。
 がんが見つかってから、再発も何度か繰り返しながらも
 13年間という日々を愛おしく、まるで病気に感謝して
 いるようにも見えました。
 ちょっと不思議だったのは、残された時間がわずかだと
 知った時に「自分と関わった人たちに謝ってからいきたい」と。
 それは実に自分勝手な謝罪でしたが、実に母らしいなと。
 最後に58年の役者人生において、映画作りという
 真剣勝負の現場で、彼女の言動で傷つけてしまったと
 思います。
 この場をお借りして、全ての映画関係者に、
 彼女に代わって深くお詫び申し上げます。
 そして、それらの一つ一つの稀なる出会いに
 心より感謝申し上げます。
 本当に長い間、お世話になりました。
 ありがとうございます」

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■最優秀作品賞
『万引き家族』
■最優秀アニメーション作品賞
『未来のミライ』
■最優秀監督賞
是枝裕和『万引き家族』
■最優秀主演男優賞
役所広司『孤狼の血』
■最優秀主演女優賞
安藤サクラ『万引き家族』
■最優秀助演男優賞
松坂桃李『孤狼の血』
■最優秀助演女優賞
樹木希林『万引き家族』
■最優秀脚本賞
是枝裕和『万引き家族』
■最優秀音楽賞
細野晴臣『万引き家族』
■最優秀撮影賞
近藤龍人『万引き家族』
■最優秀照明賞
藤井勇『万引き家族』
■最優秀美術賞
今村力『孤狼の血』
■最優秀録音賞
浦田和治『孤狼の血』
■最優秀編集賞
上田慎一郎『カメラを止めるな!』
■最優秀外国作品賞
『ボヘミアン・ラプソディ』
■新人俳優賞
上白石萌歌『羊と鋼の森』
趣里『生きてるだけで、愛。』
平手友梨奈『響-HIBIKI-』
芳根京子『累 -かさね-』『散り椿』
伊藤健太郎『コーヒーが冷めないうちに』
中川大志『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』
成田凌『スマホを落としただけなのに』『ビブリア古書堂の事件手帖』
吉沢亮『リバーズ・エッジ』
■話題賞
作品部門:『カメラを止めるな!』
俳優部門:伊藤健太郎『コーヒーが冷めないうちに』

2018年10月12日 (金)

ここ半年で観た映画~その25

4月24日に、この半年で観た映画 その24として、
2017年10月~2018年3月に劇場やDVDで観た映画の
感想を書いたのに続き、それ以降の
2018年4月~2018年9月に観た映画の感想を
シリーズの25として感想を記したい。

なお、これまで同様、既に単独でブログに書いたものは
「○月○日のブログに記載のとおり」、とだけにしたい。

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 ユリゴコロ (DVD)

とてもよくできた悲しい物語。とてもよくできている作品。

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 娼年  (劇場)

驚きの内容。原作は石田衣良さん。
以前、門脇麦さん、滝藤賢一さん、池松壮亮さんらが
「愛の渦(うず)」に出演したとき、この内容の作品に
「よく出たな」と驚いたが、インパクトの点でそれを上回る。
何しろ、今一番売れっ子の若手俳優、松坂桃李さんが
全裸頻出の映画なのだから。
事務所等周辺もよくOKしたなと思う。
なお監督は「愛の渦」と同じ三浦大輔さん。

女性の松坂ファンにはこう言うしかないかも。
「今までの桃李クンのイメージを壊したくないなら
 見ないようがよい、いや、見てはダメ」。しかし、
「彼の演じる俳優としてのパフォーマンスの全てを知り、
 確認し、受け入れて今後も応援できる「覚悟」があれば、
 ぜひ見たほうがよい」、と。
http://shonen-movie.com/

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 ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 (劇場)

不正義も正義も併せ飲んできたアメリカのマスメディアの
真骨頂の一面を知れる。それでも時代が違うとはいえ、
アメリカにおいても時の政府と対峙することが
いかに大変だったかが解る。
それでも立ち向かってきたのが、あの国のマスメディアの
強さ、民主主義の基盤の強さだ。
昨今とかく政府の茶坊主的傾向無きにしもあらずの日本
のマスメディア関係者必見の映画だろう。
http://pentagonpapers-movie.jp/

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 恋は雨上がりのように (劇場)

小松菜奈さんのファンなので、楽しめた。
https://www.youtube.com/watch?v=JuS1V2m03fM

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 万引き家族 (劇場)

6月18日のブログに記載のとおり

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 空飛ぶタイヤ  (劇場)

4月20日のブログに記載のとおり

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 羊と鋼の森 (劇場)

4月18日のブログ記載のとおり

 追記 再び観た映画「羊と鋼の森」

封切り間もなく観て、こちらにも感想をアップさせて
いただいたが、先日、もう一度劇場で「羊と鋼の森」観た。
やはり良い映画だ。
上白石萌音が演じる姉妹の姉がピアニストを目指す決意
を告白し、妹が喜ぶと同時に大変さに言及すると、
「ピアノで食べていこうとは思わない。ピアノを食べて
 生きていく」と応じるセリフは、
鈴木亮平演じる先輩調律師が言う
「才能というのは、凄く好き、ということではないだろうか。
 何があっても継続する執念。
 どんなことがあっても続ける気持」、に呼応する。

前半では「子犬のワルツ」をめぐる両親を亡くした少年の逸話で、
個人それぞれに大切なピアノにまつわるドラマがあること
描き伝える。

後半ではプロピアニストのコンサートに備えての三浦友和演じる
ベテラン調律師がピアノの足の輪の向きを変えることで
響きを変えるプロ技を見せてくれる。

結婚式披露宴(パーティー)会場での山﨑賢人演じる主役
若手調律師が言う。
「どんな天井の高さ、部屋の大きさ、前と後ろの人の
 位置(距離)、どれだけの人が入る場所か、会場か。
 どんな状況でもその時の最上の音を御届ける」。
そのために調律師はピアノを最上の状態に仕上げていく。

これは他の楽器も声楽もいえることでもある。
事前に備える基礎的な準備にして、最初の最大のクリア
すべき絶対条件としてのベストコンディション作り。

奏者はステージで遊んでいるのではない。
都度が真剣勝負だ。技術と肉体的コンディションがあり、
次いでそれ以外でまず重要なものはピアノという楽器の
状態。次いでコンサートホール等、会場の状況、状態。

ときおり~たぶん、ユジャ・ワンを念頭において~奏者の衣装
のことをとやかく言う人がいるが、そんなものは2の次3の次
いやそれ以下だ。
奏者が一番弾きやすい恰好で演奏すればよい。
もし裸が最高コンディションならそれでもよいが、
家ではともかく、さすがに人前ではムリだから、
各人が工夫するだけのこと。

アリス=紗良・オットは裸足で弾く。
きっとペダリング的にそれが彼女に一番フィットするのだろう。
それをもし、「客の前で裸足で弾くとは何事か」と批判する人が
いるとしたら、ピアノと奏者との関係性やコンディション、
あるいはペダリングのことを知らない人のセリフだ。

奏者は多くの面で最高の状態で、そのとき望み得る最高の
演奏をしようとする。そしてそのとき、そこにおいてピアノという
楽器のコンディションを最高に保とうとする仕事が調律師だ。

調律師がいかに大切な存在かを知らない人は
未だピアノと奏者とそこから紡ぎだされる音楽の何たるかを
知らない人と言えるかもしれない。
それほど調律師の仕事は重要である、ということを
教えてくれる映画だ。
https://www.youtube.com/watch?v=g1O7i4jNJ6c

http://hitsuji-hagane-movie.com/

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 祈りの幕が下りる時 (DVD)

劇場で観れなかたので、レンタルDVDで観た。圧巻だった。
東野圭吾原作の映画化作品はほとんど観てきたが、
いつも感じるのは「1つの事件の奥に潜む人間の、
特に家族のドラマ」だ。
その点では、松本清張以来の社会派ストーリーテラー
と言えるだろう。
http://inorinomaku-movie.jp/

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 嘘を愛する女 (DVD)

劇場で観れなかたので、レンタルDVDで観た。
なかなか良かった。悲しい物語。

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 カメラを止めるな! (劇場)

話題作で、先週観ようとしたら希望の時間帯は既に
ソウルドアウト状態で驚いた。
メイキング自体が喜劇になっていて斬新。
親子の問題も入るし、指示する立場が入れ替わるというか
「現場」にこそ真実があるという事を示してくれて面白い。

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 検察側の罪人  (劇場)

大胆な設定。これまでニノさんの俳優としての力量には
疑問を感じていたが、この作品では、むしろ
キムタクを食うくらいの力演を見せる。面白かった。

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 累(かさね)  (劇場)

映画「累(かさね)」を観た。「入れ替わり」自体は、
タイムスリップに次いで邦画でしばしば見られる設定なので
珍しくないゆえ、ある意味、どうということもない内容だが、
普段はピュアな感じの土屋太鳳さんがこれまでにない毒のある
凄みを見せるし、それに負けじと、
これまた普段は静かな感じの芳根京子さんが凄みで挑み、
2人の「対決」が見ものだ。
http://kasane-movie.jp/
https://www.youtube.com/watch?v=ilJDJNVTm5M

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 響 HIBIKI  (劇場)

圧倒的に面白かった。強く推薦します。
作品に対して、人の意見ではなく、
賞などによる世間の評価ではなく、
自分はどう思うか、を
15歳の高校1年生が大人たちに、同世代に問う。
https://www.youtube.com/watch?v=6_9DS6aASSY
http://www.hibiki-the-movie.jp/index.html

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 コーヒーが冷めないうちに  (劇場)

タイトルが良い。仕掛けは、ここ20年くらい邦画の
ほとんどビョーキ的なまでの陳腐なワンパターンである
タイムスリップもの。でも、この作品は楽しめる。
とにかく、女優陣が素敵だし、
まず、薬師丸ひろ子さんと松重豊さんの夫婦の逸話に
ホロリとする。
次いで、吉田羊さんの妹さんとの逸話にも。
最後に来て、それまで謎の役を演じている石田ゆり子さんと
ヒロイン有村架純さんとの関係性が明かされるが、
未来から来る少女の仕掛けが解り難いまま終わり、
モヤモヤ感が残る。
しかし、それは、エンドロールの途中で退席せず、
最後まで場内で映像を見続ければ、最後の最後で
それが説明される仕掛けになっている。
それでも不思議感は残るが、未来との二十構造、
時間も空間もワープする重層的な設定ととらえれば
よいのだろう。
最後の展開は相当ムリがあるが、所詮最初から
御伽噺的な物語なので、設定自体よりも、
たいせつな人との別れ、それに至るまでの生活を大切に
するというメッセージを楽しめばよいと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=ekipOg9jkTI
http://coffee-movie.jp/

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 今夜、ロマンス劇場で (DVD)

なかなか良かった。
今年(2018年)亡くなった加藤剛さんの映画最後の出演作。

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 ナミヤ雑貨店の奇蹟 (DVD)

またもやタイムスリップものか、と唖然愕然としても、
そこは何といっても東野圭吾原作だ。
そのまま観続けることを薦めます。
 テーマは再生。
人生は絶望に値しない。メッセージは時空を超えて伝わる。
劇中とエンディングで使われる山下達郎さんの「REBORN」が
素敵な曲。
http://namiya-movie.jp/

映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』門脇麦が歌う「REBORN」MV映像
https://www.youtube.com/watch?v=zwIPf3522Aw
山下達郎 「REBORN」
https://gyao.yahoo.co.jp/player/00107/v09471/v0947100000000540097/
https://www.youtube.com/watch?v=ey_fFpXYAXg
ショートヴァージョン
https://www.youtube.com/watch?v=MP8R_ygE-lE

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 8年越しの花嫁 (DVD)

実話に基づく作品。土屋太鳳さんが熱演。
こんな演技を見せられたら誰でも彼女を好きになるに違いない。
男性の優しさが凄い。それを演じた佐藤健さんも自然体で
良かった。
http://8nengoshi.jp/

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 心が叫びたがってるんだ。 (DVD)

とても良い青春ドラマ。
あのころに戻りたいと思わせる素敵な内容。
https://kokosake-movie.jp/

2018年6月20日 (水)

映画 空飛ぶタイヤ

真面目な仕事人たちの小さな会社が、不正を隠ぺいするだけで対策を講じない、コンプライアンスのかけらも無い大会社と対峙する。

巨大組織の冷徹さがよく描かれているし、内部告発に至る人間の心理等についてもよく掘り下げられている。
問題ある大企業の内部にも、かつて屈辱を受けた小さな企業の中等々、いろいろな所には個人としては微力であっても正義感を持っている人はいて、そうした一人ひとりの不正に対する怒りが結果、力となって不正を暴いてく。

長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生という3人のイケメンと、彼らの同僚など周辺にいる人々の思いがそれぞれの立場で関わり交錯する、見応えある社会派ドラマ。
長瀬の奥さん役の深キョンも相変わらず可愛らしい。

昨今のプログラム(パンフ)は手抜きのものが多いが、この映画のそれは豪華でしっかりとしたもので、その点でも好感が持てた。

2018年6月18日 (月)

映画 羊と鋼の森

「ピアノの音は世界とつながっている」。
山﨑賢人演じる主人公が調律師になりたいと家族に伝える
シーンで言うセリフだ。
「1つの音に世界を聴く」と言ったのは武満徹だった。
映画開始まもなく、2人の姉妹~演じるは本当の姉妹でもある
上白石萌音と上白石萌歌~が、調律師なりたての山﨑に
それそれ違う響きの音を要求する。
早い段階から核心に入り込む、いわばレベルの高い論点に
入る。

昔、小澤征爾さんが武満さんとの対話で、
「ここに1台のピアノがあるとする。これを、ポリーニ、
 高橋悠治、ピーター・ゼルキンの3人が弾いたら、
 3人3様まったく違う音が出る」と言うと、
武満さんは、「その違いたるや、恐ろしいくらい」と応えている。

奏者一人ひとりが求める音、好む音、響きは異なるし、
同じ奏者でも演奏する曲やホール等、様々な要因要素の
中でも異なる。
何よりもまず、演奏者の手や腕や体全体という肉体的状況が
異なるし、感性も嗜好、思考も異なる。

聴衆においても好みは異なるが、鈴木亮平演じる山﨑の
先輩調律師が卵の茹で加減に例えて、
「その好みは、他に色々な味を知っていて、その場では
 その柔らかさ=音を好むということもあれば、
 その柔らかさしか知らないからそれを好むのか
  (など色々考えられる)」
という発言は奥が深く、示唆的だ。

演奏者が聴き手に音を届けるということ。
調律師もそのために全力でそれに尽くすということ。
1つの部屋に家族の物語があり、ホールに来る聴衆一人ひとりも
物語を抱えて音楽を聴く。

調律師は家の部屋であっても、雑音の混じる宴会場
であっても、静寂なホールであっても、
いかなる状況であっても人に届け得る音を作る、
そういう音を生み出すピアノに仕上げる。

劇中、森の木立のざわめき揺れる美しいシーンがたびたび
写される。木々の葉の揺れは人間の揺れ動く感情と重なり、
揺さぶる風は届き行く歌の流れでもある。
歌の木霊に揺れる緑豊かな美しい自然。
それは主人公の静かなしかし力強い思いと呼応した、
ピアノを通して歌い届けられる奏者とその楽器の基を作る
調律師の願いでもある。

思い悩む山﨑に対して先輩鈴木はこうも言う。
「才能というのは、ものすごく好きだ、という気持ちでは
 ないか」と。

宮下奈都原作のこの映画では、原民喜の詩が
三浦友和演じるベテラン調律師によって紹介される。

 「明るく静かに澄んで懐かしい文体、
  少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを
  湛えている文体、
  夢のように美しいが、現実のようにたしかな文体」

作家が自分の文体を練り上げるように、音楽家は
どういう音を目指すか自問しつつ自分の音を磨き上げる。

ピアノを弾いている(いた)人なら、調律師がいかに重要かは
日常的な実際の場で知っているが、
ピアノに縁がなかった人も含めて、ピアノにとって、
演奏者にとって調律師がいかに重要な存在かを
この映画があらためて強く教えてくれる。

ピアノが好きな人やクラシック全般が好きな人はむろん、
ジャズが好きな人にもロックが好きな人にも、
いや音楽自体に特に興味がない人にも、
この映画を観て欲しい。

音楽が好きになるかどうかは判らないが、
羊のハンマーを内在した鋼(はがね)のピアノが、
単なる物体ではなく、人間の五感や体と密接に結びついている
という関係性に興味を持つかもしれない。

仕事や趣味嗜好の違いを超えて、個々の人間の持つ
感性とインスピレーションとが、自然や音楽や日常の中での
他者との関係において結びつき、交錯している様に
思い巡らせ、この作品を楽しむことができると思う。

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追記

再び観た映画「羊と鋼の森」
封切り間もなく観て、こちらにも感想をアップさせていただいたが、先日、もう一度劇場で「羊と鋼の森」観た。
やはり良い映画だ。
上白石萌音が演じる姉妹の姉がピアニストを目指す決意を告白し、妹が喜ぶと同時に大変さに言及すると、「ピアノで食べていこうとは思わない。ピアノを食べて生きていく」と応じるセリフは、鈴木亮平演じる先輩調律師が言う「「才能というのは、凄く好き、ということではないだろうか。何があっても継続する執念。どんなことがあっても続ける気持」に呼応する。

前半では「子犬のワルツ」をめぐる両親を亡くした少年の逸話で、個人それぞれに大切なピアノにまつわるドラマがあること描き伝える。

後半ではプロピアニストのコンサートに備えての三浦友和演じるベテラン調律師がピアノの足の輪の向きを変えることで響きを変えるプロ技を見せてくれる。

結婚式披露宴(パーティー)会場での山﨑賢人演じる主役若手調律師が言う。「どんな天井の高さ、部屋の大きさ、前と後ろの人の位置(距離)、どれだけの人が入る場所か、会場か。どんな状況でもその時の最上の音を御届ける」。
そのために調律師はピアノを最上の状態に仕上げていく。

これは他の楽器も声楽もいえることでもある。
事前に備える基礎的な準備にして、最初の最大のクリアすべき絶対条件としてのベストコンディション作り。

奏者はステージで遊んでいるのではない。都度が真剣勝負だ。技術と肉体的コンディションがあり、次いでそれ以外でまず重要なものはピアノという楽器の状態。
次いでコンサートホール等、会場の状況、状態。

ときおり奏者の衣装のことをとやかく言う人がいるが、そんなものは2の次3の次それ以下だ。奏者が一番弾きやすい恰好で演奏すればよい。もし裸が最高コンディションならそれでもよいが、家ではともかく、さすがに人前ではムリだから、各人が工夫するだけのこと。

アリス=紗良・オットは裸足で弾く。きっとペダリング的にそれが彼女に一番フィットするのだろう。
それをもし、「客の前で裸足で弾くとは何事か」と批判する人がいるとしたら、ピアノと奏者との関係性やコンディション、あるいはペダリングのことを知らない人のセリフだ。

奏者は多くの面で最高の状態で、そのとき望み得る最高の演奏しようとする。そしてそのとき、そこにおいてピアノという楽器のコンディションを最高に保とうとする仕事が調律師だ。
調律師がいかに大切な存在かを知らない人は未だピアノと奏者とそこから紡ぎだされる音楽の何たるかを知らない人と言えるかもしれない。
それほど調律師の仕事は重要である、ということを教えてくれる映画だ。
https://www.youtube.com/watch?v=g1O7i4jNJ6c

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