2018年6月20日 (水)

映画 空飛ぶタイヤ

真面目な仕事人たちの小さな会社が、不正を隠ぺいするだけで対策を講じない、コンプライアンスのかけらも無い大会社と対峙する。

巨大組織の冷徹さがよく描かれているし、内部告発に至る人間の心理等についてもよく掘り下げられている。
問題ある大企業の内部にも、かつて屈辱を受けた小さな企業の中等々、いろいろな所には個人としては微力であっても正義感を持っている人はいて、そうした一人ひとりの不正に対する怒りが結果、力となって不正を暴いてく。

長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生という3人のイケメンと、彼らの同僚など周辺にいる人々の思いがそれぞれの立場で関わり交錯する、見応えある社会派ドラマ。
長瀬の奥さん役の深キョンも相変わらず可愛らしい。

昨今のプログラム(パンフ)は手抜きのものが多いが、この映画のそれは豪華でしっかりとしたもので、その点でも好感が持てた。

2018年6月18日 (月)

映画 羊と鋼の森

「ピアノの音は世界とつながっている」。
山﨑賢人演じる主人公が調律師になりたいと家族に伝える
シーンで言うセリフだ。
「1つの音に世界を聴く」と言ったのは武満徹だった。
映画開始まもなく、2人の姉妹~演じるは本当の姉妹でもある
上白石萌音と上白石萌歌~が、調律師なりたての山﨑に
それそれ違う響きの音を要求する。
早い段階から核心に入り込む、いわばレベルの高い論点に
入る。

昔、小澤征爾さんが武満さんとの対話で、
「ここに1台のピアノがあるとする。これを、ポリーニ、
 高橋悠治、ピーター・ゼルキンの3人が弾いたら、
 3人3様まったく違う音が出る」と言うと、
武満さんは、「その違いたるや、恐ろしいくらい」と応えている。

奏者一人ひとりが求める音、好む音、響きは異なるし、
同じ奏者でも演奏する曲やホール等、様々な要因要素の
中でも異なる。
何よりもまず、演奏者の手や腕や体全体という肉体的状況が
異なるし、感性も嗜好、思考も異なる。

聴衆においても好みは異なるが、鈴木亮平演じる山﨑の
先輩調律師が卵の茹で加減に例えて、
「その好みは、他に色々な味を知っていて、その場では
 その柔らかさ=音を好むということもあれば、
 その柔らかさしか知らないからそれを好むのか
  (など色々考えられる)」
という発言は奥が深く、示唆的だ。

演奏者が聴き手に音を届けるということ。
調律師もそのために全力でそれに尽くすということ。
1つの部屋に家族の物語があり、ホールに来る聴衆一人ひとりも
物語を抱えて音楽を聴く。

調律師は家の部屋であっても、雑音の混じる宴会場
であっても、静寂なホールであっても、
いかなる状況であっても人に届け得る音を作る、
そういう音を生み出すピアノに仕上げる。

劇中、森の木立のざわめき揺れる美しいシーンがたびたび
写される。木々の葉の揺れは人間の揺れ動く感情と重なり、
揺さぶる風は届き行く歌の流れでもある。
歌の木霊に揺れる緑豊かな美しい自然。
それは主人公の静かなしかし力強い思いと呼応した、
ピアノを通して歌い届けられる奏者とその楽器の基を作る
調律師の願いでもある。

思い悩む山﨑に対して先輩鈴木はこうも言う。
「才能というのは、ものすごく好きだ、という気持ちでは
 ないか」と。

宮下奈都原作のこの映画では、原民喜の詩が
三浦友和演じるベテラン調律師によって紹介される。

 「明るく静かに澄んで懐かしい文体、
  少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを
  湛えている文体、
  夢のように美しいが、現実のようにたしかな文体」

作家が自分の文体を練り上げるように、音楽家は
どういう音を目指すか自問しつつ自分の音を磨き上げる。

ピアノを弾いている(いた)人なら、調律師がいかに重要かは
日常的な実際の場で知っているが、
ピアノに縁がなかった人も含めて、ピアノにとって、
演奏者にとって調律師がいかに重要な存在かを
この映画があらためて強く教えてくれる。

ピアノが好きな人やクラシック全般が好きな人はむろん、
ジャズが好きな人にもロックが好きな人にも、
いや音楽自体に特に興味がない人にも、
この映画を観て欲しい。

音楽が好きになるかどうかは判らないが、
羊のハンマーを内在した鋼(はがね)のピアノが、
単なる物体ではなく、人間の五感や体と密接に結びついている
という関係性に興味を持つかもしれない。

仕事や趣味嗜好の違いを超えて、個々の人間の持つ
感性とインスピレーションとが、自然や音楽や日常の中での
他者との関係において結びつき、交錯している様に
思い巡らせ、この作品を楽しむことができると思う。

映画 万引き家族

「万引き家族」を2日午後、観た。一般公開日は6月8日だが、
東京や神奈川など24の劇場限定で2日と3日、先行上映
されていた。
話題の映画ゆえ、私が観た新宿バルト9の15時10分開演
の枠はほぼ満席。ギリギリで席を確保できた。

劇の3分の2、90分はほどんど何も起きないが、
残りの30分で一気に物語が激変する。
きっかけはある「優しさ」だ。

「誰も知らない」、「そして父になる」、「海街diary」、
そして今回の作品全てで共通する是枝作品のテーマは「家族」だ。

時として必ずしも血がつながってはいない場合も含めての
親子問題。「親子とは何か?」。「家族とは何か?」。

愛されず阻害され拒絶されてきた子供や大人たちが集まり
一緒に暮らすことで生じる絆。
それは通常の家族とは違う関係性のものかもしれないが、
しかし、思いやることの真実はそんな中にも存在する。

役者の皆さん、子役を含めて全て素晴らしいが、
とりわけ安藤サクラさんには出演作で毎回感心してきたが、
この作品でも間違いなく中心にいるのが彼女だ。

松岡茉優さんはこれまであまり色気を感じない女優さん
だったが、この作品では意外な役を、しかも心根としては
とてもピュアな女性として魅力的に演じていたのも印象的だ。

音楽はほとんど使われていない。ごくたまに短い音、
音響程度のものが入る程度だが印象的だ。

必ずしも希望を描いているわけではない。
ラストシーンの幼子の眼差しの先に何があるのか、
彼女自身だけでなく、観る私たち観客の誰にもわからない。
このエンディングは一見さりげないようでいて強く胸を打つ。

2018年1月 2日 (火)

大みそかのテレビ番組より

2017年12月31日 (日)

日本音楽コンクール ピアノ部門~Eテレ放送

30日22時Eテレで、日本音楽コンクールのピアノ部門の
様子が放送された。
ピアノに限らず本選に進むだけでも大変。
コンクールに向かない天才もいるのが音楽の世界だから、
コンクールが全てではないが、しかし、
チャレンジする若者は皆真剣なのは言うまでもない。
本選のコンチェルトは各人ごく一部だけの放送だったが、
興味深く聴いた。

17歳の桐朋学園の高校生、吉見友貴さんが本選のステージに
出る直前、指揮者の梅田氏に 「大丈夫ですか?(僕の)衣装?」
と衣装のことを気にしたのが面白く、演奏終了直後の嬉しそうな
笑顔も印象的だったが、その彼が優勝してしまった。

2位になった鐡百合奈さん(25歳;香川県出身;東京芸大大学院)
は本選出演経験者だけある演奏。
聴衆賞獲得は演奏者にとって嬉しいことは知っている。
昨年ヴァイオリン部門で2位と聴衆賞を得た高校生も語っていたし、
知り合いで声楽部門で1位と同賞を獲得した女性も
1位もさることながら特に聴衆賞が嬉しいと以前語っていた。
それと、鐡さんって誰かに似ている気がするが、思いだせない。

3位の原嶋唯さん(23歳;東京都出身;桐朋学園大大学院)の
繊細さ、4位入選の小井土文哉さん(21歳;岩手県釜石市出身、
桐朋学園大)のラフマニノフはもっと聴きたかった。

TV画面を見ているだけでも、自然と4人を応援したくなり、
熱い感情が湧き起きる。

そういえば、1990年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝
した諏訪内晶子さんが、4年後の同コンクールをルポのかたちで
取材する番組の中で、参加者の熱く真剣な切磋琢磨さと
戦いの「熱」に心を揺さぶられて泣いていた姿を思い出す。

彼女自身が出場したときは、それどころではなかっただろうし、
その場を4年前に過ぎ去り、優勝した後の今そのときだからこそ、
客観的に同コンクール出場者各人の姿と心情に感情移入
できたのだろうことも推察され諏訪内さんの涙も印象的だった
のを思い出した。

2017年12月21日 (木)

おんな城主 直虎」が終わった~良いドラマでした

17日、大河ドラマ「おんな城主 直虎」が終わった。
視聴率に関係なく、良い大河ドラマだった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171218-00000082-spnannex-ent


大仰でなく、さりげなく終わるエンディングの妙
森下佳子氏の脚本の良さが際立った大河ドラマだった。

柴咲コウさんがいかに上手い役者かが判ったし、
彼女の代表作の1つになった。

脇役に~これまであまり知られていなかった俳優も
含めて~良い俳優を配したのも成功の要因。

直虎だけでなく、これまでほとんど取り上げられなかった
家康の正室 瀬名や今川氏真をクローズアップした点でも
印象的な大河ドラマだった。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/12/17/kiji/20171216s00041000433000c.html
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/12/17/kiji/20171217s00041000310000c.html

2017年12月 6日 (水)

「奥様は、取り扱い注意」~最終回終わる

面白かった。綾瀬はるかさんが凄いのは、天然系だけでなく、
そのマ逆のアクションシーンができるからだ。
「精霊の守り人」も然り。
2008年公開の映画「ICHI」での殺陣(たて)も然り。
http://www.ntv.co.jp/okusama/

映画「ICHI」
https://www.youtube.com/watch?v=liDqO_aaxQ4

TVドラマ不振の時代にあって比較的高視聴率
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171207-00000088-spnannex-ent
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/12/05/gazo/20171204s00041000423000p.html

2017年11月16日 (木)

シン・ゴジラTV初放映~伊福部昭の音楽

12日夜「シン・ゴジラ」がテレビ朝日で地上波初放送され、
視聴率も15%超えとのことだが、既に劇場等で観た人、
それも複数回、という人は多いだろう。
私も劇場で2回、レンタルDVDで1回観た。

連続したゴジラ・シリーズと決定的に違うのは
「初めて人類の前の巨大生物が出現した」と原点回帰
した点と、夫婦や恋人等の恋愛的な要素が皆無で、あくまでも
「政府、特に権威者ではなくアウトローの研究者たち
 VSかつてない破壊力を持つゴジラ」
とシンプルに設定した点だ。

後者では速いテンポでの会話や形式的議論でムダな時間を
費やす役人問答も印象的だった。
「首相はじめ政府要人らがフッ飛ぶ設定」も前代未聞で傑作
だった。

ヤシオリ作戦成功で動かなくなったゴジラは
まるで福島の原発そのものを印象付ける。

その「ヤシオリ作戦」開始のときに奏されるのが
「宇宙大戦争」(1959年)と「怪獣大戦争」(1965年)で
使われ、その後のゴジラ・シリーズの幾つかにも部分転用
されたテーマ曲。

もっとも「シン・ゴジラ」では伊福部昭さんのオリジナル音楽は
ほとんど使われていない。
TVではカットされた最後の出演者関係者らの字幕が
映し出されるときに、複数の伊福部作品が繋がれて演奏される
ときくらいだが、それでもこの「シン・ゴジラ」では庵野秀明の
「エヴァンゲリオン」の基調とともに、絶えず伊福部作品の
基調が底辺に存在する感じがする。

そう、ゴジライコール伊福部は絶対的な継続性、
圧倒的な関係性が存在しているのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

思えば、北海道の大平原、原野をよく知る生い立ちの
伊福部がゴジラと出会ったのはもはや偶然ではなく必然
だったのだろう。
伊福部作品の多くに見られるオスティナート(ある種の
音楽的なパターンを続けて何度も繰り返す事)と
オルゲルプンクト(持続低音)を基盤とした土俗的エネルギーと
バーバリズムこそ、ゴジラに相応しかった。
むろん「聖なる泉」に代表される抒情的な音楽も含めて。

・・・・・・・・・・・・・・・
個人的な思い出を加えるなら、1996年、OBオケが
「交響譚詩」を演奏した際、当時、東京音大学長だった
伊福部さんが来場してくださり、終演後のレセプションで
私は、「ゴジラ・シリーズを子供のころから観てきました」と
挨拶すると、「じゃ、ゴジラと書きましょう」と
プログラムの余白に “Godzilla” Akira Ifukube と
サインしてくださった。

また、その折ではないが、OBオケでは
「SF交響ファンタジー第1番」を2回演奏したことがある。
最初は1999年に福田一雄先生の指揮で。次いで
2010年に金山隆夫先生の指揮で。
いずれも弾いていて感動したのは言うまでもない。
https://www.youtube.com/watch?v=-Qep0es_pUU

怪獣大戦争
https://www.youtube.com/watch?v=Mbc1305dHxs

日立のTVCM黒澤監督の映像とともに
https://www.youtube.com/watch?v=T1OGmyebdF8
https://www.youtube.com/watch?v=DMckva1jXRw

2017年10月11日 (水)

この半年で観た映画その23

4月18日に、この半年で観た映画 その22として、
2016年10月~2017年3月に劇場やDVDで観た映画の
感想を書いたのに続き、それ以降の
2017年4月~2017年9月に観た映画の感想を
シリーズの23として感想を記したい。
なお、これまで同様、既に単独でブログに書いたものは
「○月○日のブログに記載のとおり」、とだけにしたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 グッドモーニングショー (DVD)
面白かった。
特に終わり近くの視聴者投票結果が印象的だ。

 聖の青春 (DVD)
羽生善治さんとの居酒屋シーンが印象的だった。

 SCOOP! (DVD)
出演俳優の力量で面白さを感じさせる内容。
特にリリー・フランキー氏が中盤での格闘シーンーと
最後の狂気的変貌ぶりが印象的。

 だれかの木琴 (DVD)
女性の複雑な心理。というより、専業主婦に忍び寄る
中途半端な浮気心。 それよりも、男性美容師の冷静で
プロフェッショナルな接客姿勢に感心した。若いのに。


 聲の形 (DVD) 6月7日のブログに記載のとおり

 八重子のハミング (劇場)
6月8日のブログに記載のとおり


 アイヒマンを追え!~ナチスがもっとも畏れた男 (DVD)
興味深く観た。

 アイヒマンの後継者~ミルグラム博士の恐るべき告発(DVD)
あまり面白くなかった。

 検事フリッツ・バウアー~ナチスを追い詰めた男(DVD)
とても良かった。
「アイヒマンを追え!~ナチスがもっとも畏れた男」よりも、
もっと当時のドイツの法曹界にも「敵=ナチの残党」がいて、
バウアーとそれらとの対決=情報戦に注力して描かれて
いた。

 手紙は憶えている (DVD)
最後の大ドンデン返しが凄い

 
 ダンケルク (劇場)
初めて知った史実。撮影の凄さ。

以上です。

2017年8月22日 (火)

NHKオンデマンド利用料金徴収方法~自動更新という悪質さ

NHKオンデマンド利用料金徴収方法~自動更新という悪質さ
 ~あまりにも悪質なのでシェア拡散を希望します~
7月は一度も利用していない、と意識的に覚えていた。
これまで毎月のように(実際毎月だったのだが)見放題料金の1,944円が利用料としてカード会社から請求書(引落し予定明細)が来るので、ヘンだな?と思いつつも「1回は何か見たか(も?)~」とウロ覚え状態が続いていたので、7月は意識して記憶していた。

ところが今日やはり同額の請求明細が届いたので驚き、NHKオンデマンドコールセンター(0570-08-3333)に問い合わせ、「これはカード会社に問い合わせたほうがいいですか?」と一応問うと、当該センターでよいとのことで説明を受けて愕然とした。

NHKオンデマンドはそれほど多くは利用していない。
リアルや録画含めて見逃した見たかった番組で、再放送が無いものや(結構多い)、あってもそれも見逃した場合に限るので、せいぜい年に3回とか多くても5回位と想う(その年にもよるが)。

利用された方はご存知だが、利用方法は2つあり、そのときだけ1作の料金(単品)108円で見るか、2週間見放題972円を選ぶ。私は単品のときもあったが、以前確かに見放題を選択しこともあった。
しかし、普通、常識的には見放題を選択しても、2週間後は観れないのだから、その時点でそれに関する料金発生(契約)は終了と誰しも思うはずだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・
ところが、なんと、見放題は期間終了前に「解約」しないと、自動更新されるというのだ。しかも、私の場合、通常の見逃し番組の視聴ができる「見逃し見放題パック」972円と、過去の名作が見られる「特選見放題パック」の2つ申し込んだままになっていて計1,944円が毎月徴収されて来たわけだ。

さっそく解約するためマイページにログインして確認すると前者は2014年8月21日から、後者は2015年5月6日から「入会(した覚えは無い)」になっていたことになるから、8ヶ月間は972円を毎月払いっ放し後、2年以上毎月1,944円を払いっ放しで来たわけだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
家賃等、民事の契約では「自動更新(延長)」はむろん有るし、会計監査人の選任など会社法絡みでも有るが、いくらなんでも個々のTV番組においてそれを適用するなど、悪質極まりない。

これでは、映画館が「観ようと観まいと月額1,944円を支払ってください」と言っている様なもので、そんな映画館は通常あり得ない(会員制等の特別なシステムがある映画館~そんな映画館があるかどうかは知らないが~を除く)。

控え目に言っても「非常に不親切」「不親切極まりない」としか言い様が無い。
しかしこれを弁護士に相談しても、「オンデマンドの規約を読まなかったあなたの落ち度」と言われるだけだし、確かにそのとおりだから、ブログ等、SNSで発信し、新聞投書もしてみることにする。

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