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2024年3月30日 (土)

新倉瞳さん&渡辺庸介さんコラボコンサート

新しい可能性を予感させるユニークなコラボ

Hakuju Hall主催の第171回 リクライニング・コンサートを3月27日の夜、同ホールで拝聴した。

チェロの新倉 瞳さんと、パーカッションの渡辺庸介さんによるコラボという、企画も内容も、とてもユニークで斬新な試みによる演奏だった。

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既に何度か書かせていただいているが、新倉 瞳さんは、いわゆるクラシック音楽のコンサートに留まらず、アコーディオン奏者や、アラブ系の器楽奏者等々と様々なコラボレーションをされている。居住されているスイスでも、東欧の曲クレズマー伝承曲を演奏するバンドにも参加されている。

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ともすれば、ありきたりなプログラムのオンパレードになりがちなクラシック音楽界において、異ジャンルの若い音楽家たちによるコラボは、未知の可能性を開いて行くかもしれないという想像と期待を抱かせる試みであり、それを「売れっ子」真っただ中の新倉 瞳さんが実行していることに意義を感じる。活動をクラシック音楽に限定することなく、また、クレズマー伝承曲などの広くは知られていない曲を世に紹介するだけでなく、異ジャンルの音楽家とのコラボにより自身のフィールドを広げ、深め、未知なる世界を開拓していこうとする企画力、チャレンジ精神には、大いに敬意を表したい。

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今回のコラボの相手、渡辺庸介さんは、タンバリンを主軸に様々な打楽器の音色を駆使し、民族音楽からポップスまで幅広く演奏するパーカッション奏者。2人は2022年以降、既に各地で共演を重ねている。今回のプログラムは以下のとおり。

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1.渡辺庸介 : 波紋音による即興曲

2.バッハ : 無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV 1007 より

Ⅰ.プレリュード、Ⅳ.サラバンド、Ⅵ.ジーグ

3.渡辺庸介 : 無伴奏チェロのための前奏曲「朝まだき」

4.クレズマー伝承曲 : ニグン

5.グリーグ:「ペール・ギュント」第2組曲より 第4曲 “ソルヴェイグの歌“

6.スウェーデン伝統曲 : ユリンギウスのポルスカ

7.渡辺庸介 : 雨上がり、踊る水

8.渡辺庸介 : チェロと打楽器のための舞曲 〜Trance〜

9.新倉瞳 : ひかえめな満月

10.渡辺庸介 : 突として広がる渓谷

アンコール マーク・サマー「Julie – O」ジュリー・オー

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1.渡辺庸介 : 波紋音による即興曲

「波紋」という2つの半球による、小さな鐘とも和楽器とも効果音機材とも言える素材を使って、2人がホールの両サイドの後ろから奏しながら入場し、ステージに上がり、「ホワ~ン」という音の不思議さを際立たせる演出がなされた。5分ほどの曲。

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2.バッハ : 無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV 1007 より

Ⅰ.プレリュード、Ⅳ.サラバンド、Ⅵ.ジーグ

ここにおいても2人のデュオは続く。1曲目の余韻の中、新倉さんが弾き始め、渡辺さんが鈴やシンバル、ドラムなどの音を混ぜて行く。「サラバンド」ではパーカスのソロもあり、そして、新倉さんが「ジーグ」を弾き始めるなど、音の世界と展開自体が斬新。「普通に」バッハを聴きたい人には、ある意味ショッキングな内容とも言える。

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3.渡辺庸介 : 無伴奏チェロのための前奏曲「朝まだき」

モノローグ的な曲想から太鼓の音が入り、行進曲っぽく変化し、ダンス曲のように変化し、2人による歌と手拍子~会場を巻き込んで~の跡もダンス的な曲で終わるが、それが4のクレズマー伝承曲「ニグン」と関連させながら進行した。

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5.グリーグ:「ペール・ギュント」第2組曲より 第4曲 “ソルヴェイグの歌“

「ハンマーダルシマー」という特注の楽器~東洋的な音、「ハーリ・ヤーノシュ」で使われるツィンバロン的な、あるいはシタール的な、あるいはチェンバロ的な音が出る楽器~による前奏があり、新倉さんがテーマを弾き始めて開始。

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6.スウェーデン伝統曲 : ユリンギウスのポルスカ

新倉さんのア・カペラの歌で開始し、短調4分の3拍子のダンス的曲想になり、最後はまた「ラ~ラ~」という歌で終わる。

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7.渡辺庸介 : 雨上がり、踊る水

渡辺さんの「シュッ、シュッ」とか「カッ、カッ」などのヴォーカル・パーカッションがあり、6拍子の曲は、チェロはピッツィカートと高音でのarcoによる演奏。

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8.渡辺庸介 : チェロと打楽器のための舞曲 〜Trance〜

チェロがアグレッシブに開始。パーカッションは「ホウキン」という口にくわえて奏する特殊楽器や、ドラム等が加わる。全体としてラテン的なリズムによる賑やかな曲。

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9.新倉瞳 : ひかえめな満月

この曲では、新倉さんはチェロではなく、カザフスタンの楽器を用いて演奏。マンドリン的、あるいは三味線的、あるいはリュートの様な音色。オブリガートで「ハンマーダルシマー」が入り、新倉さんの「ラ~ラ~」という哀愁を帯びた歌も入るという印象的な曲。

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10.渡辺庸介 : 突として広がる渓谷

ドラムのリズムとチェロによるアグレッシブな演奏。

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アンコール マーク・サマー「Julie – O」ジュリー・オー

パーカッションはタンバリンと「ホウキン」、そしてチェロによる陽気なソング的な曲。

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