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2022年9月23日 (金)

高野百合絵さん「スペイン」を歌う~東京シティ・フィル

高野さんの魅力、オケの技量、ファリャのオーケストレーションの巧みさ。特にこの3点を強く感じたコンサートだった。

「夏の残火に舞え、スペインの熱き風よ」というカッコイイ副題の付いたコンサートを9月23日午後、ティアラこうとう(江東公会堂)大ホールで聴いた。

藤岡幸夫さん指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の第70回ティアラこうとう定期演奏会。

ソプラノの高野百合絵さんを迎えての「オール・スパニッシュコンサート」。                

プログラムは

1.ビゼー:歌劇「カルメン」より前奏曲

2.ビゼー:歌劇「カルメン」より「ハバネラ」

3.シャブリエ:狂詩曲「スペイン」

4.ドリーブ:「カディスの娘たち」

5.ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」より火祭りの踊り

6.チャピ:サルスエラ「セベデオの娘たち」より囚われ人の歌

7.ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」全曲

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高野百合絵さんは、東京音楽大学在学中の2018年11月、日生オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」で、ドラベッラ役を歌われたときに初めて聴き、「素晴らしい歌手が出て来た」と感心して以来ファンとなり、FB友人にもなっていただいている。

2021年、佐渡裕さんプロデュースの「メリー・ウィドウ」(兵庫県立芸術文化センター)では、20代にして主役ハンナ・グラヴァリ役を射止め、見事に歌い、演じた。およそ新人とは思えない、貫禄ある、堂々たる主役の歌と演技だった。

同年12月の神奈川フィルとの「レ・ミゼラブル」でのエポニーヌ役で歌った「On my own」は、感涙、いや号泣したくなるような素晴らしい歌唱だった。

CDは、2020年に日本コロムビアから「CANTARES」をリリース。今回のプログラムとも繋がる、スペインの作曲家の曲を中心とした、ユニークな選曲の魅力的なアルバムだ。

高野さんは、ステージに登場した瞬間から、ステージ全体を明るくするほどの「華」が有る。背の高い美人、という外見も含めて天性のもので、既に若くして「スター歌手」と言うに相応しい存在感が有る。

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バランスとニュアンスの心地良い「カルメン」の前奏曲の後の「ハバネラ」。

高野さんについて、所属する日本コロムビアが、2021年11月1日付けで「メゾ・ソプラノ」から「ソプラノ」へ声種表記の変更を公表したように、以前から「メゾ」の要素にも増して「ソプラノ」を感じさせる明るいトーンがあったので、「いかにもメゾ」というのとは少し違い、ミカエラも似合いそうな、ピュアなトーンによるハバネラで、ユニークさがあり、妖艶さというよりも、実は純な女性かもしれないカルメンを想像して聴き応えがある歌唱だった。

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安定感と明るさのあるシャブリエの狂詩曲「スペイン」の後は、ドリーブの有名な歌、「カディスの娘たち」。この曲では、正に高野さんの高音の美しさが印象的だった。

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次いで、ファリャのバレエ音楽「恋は魔術師」より有名な「火祭りの踊り」。

私はオケで演奏したこともあるが、とても難しい曲。東京シティ・フィルの弦や管の各パートの力量の高さを示し、後述する後半の「三角帽子」とともに、オケを十分に堪能させてくれる演奏だった。

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前半最後は、ルペルト・チャピ(1851~1909)のサルスエラ(オペラの一種)「セベデオの娘たち」より囚われ人の歌」。

中音域が多い曲ということもあり、ヴィブラートも増加させての歌唱は、この日、「最もメゾらしさ」を感じさせた歌唱。「これぞ、メゾ(でデビューした歌手)」と言うべき感銘深い歌唱で、実に素晴らしかった。この日の白眉と言える。

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休憩後の後半は、ファリャのバレエ音楽「三角帽子」全曲。

物語音楽であるこの曲の全曲演奏に先立って、藤岡さんはマイクを手に、登場人物とそのモティーフを部分演奏するかたちで、曲の展開を解説された。内容と展開、あるいは、特徴ある曲想(場面の音楽)を知って聴くと、音楽への関心と理解が増す感じがしたので~普段は、解説付きというのは、私はあまり好きではないが~今回のプレゼンはとても良かった。

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そして全曲演奏。

開始して直ぐの、「Casadita,casadita,(おかみさん、おかみんさん)~」と歌う高野さんのソロは、2階席の客席から見て左、一番ステージよりのドアを開けて、客席に向かっての歌唱で、前半のステージでの歌唱にも増して、会場全体に美しい歌声が響き渡り、2回目となる、第2部での粉屋の踊り(ファルーカ)の中での「Por la noche canta el cuco(夜ともなれば、カッコウが鳴く)~」も含めて、とても良いアイデアによる素晴らしい歌唱だった。この演出と歌唱により、高野さんの魅力が、最高度に聴衆に伝わったのだった。

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ファリャのオーケストレーションは、明るく聴き易い曲というだけでなく、「終幕の踊り」を含め、躍動感あるエネルギッシュな音楽で素晴らしい。作曲技巧の見事さをつくづく感じた。

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オーケストラについて

木管と金管の各ソロの見事さを含めて、今回、オケの優秀さを知った次第。

1975年に設立。47年の中で、飯守泰次郎さんとの「指輪」四部作全曲、「ローエングリン」、「パルジファル」、「トリスタンとイゾルデ」を演奏してきた力量と歴史を十分感じることができた。

高野さんはもちろん、今回は東京シティ・フィルの魅力も十分に堪能し、ファンになったので、今後はこのオケをもっと聴くことにしよう、と思ったコンサートだった。

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