« 小林愛実さんが弾いたショパンのピアノ協奏曲第1番 | トップページ | うた武満徹&新実徳英の世界~鷲尾麻衣さん&大沼徹さん »

2022年7月10日 (日)

市川交響楽団&菅有実子さん「大地の歌」

大好きなメゾソプラノ歌手の菅有実子(かん・ゆみこ)さんが、マーラーの「大地の歌」を歌われると知り、7月10日午後、市川市文化会館で、市川交響楽団の第422回「交響楽の午後」を拝聴した。

指揮は、三原明人(あきひと)さん。

演奏曲は以下のとおりで、順次、感想を付記したい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.バッハ:管弦楽組曲 第3番BWV 1036

第1曲「序曲」と終曲「ジーグ」で、3人のトランペットの音割れが目立った。それぞれ1~2か所ならともかく、「ちょっとダメな頻度」だった。

有名な第2曲「エア(アリア)」は、速めのテンポで淡々と進めるので、しっとりとした演奏に馴染んでいる人には~私もその一人~不満、というか、感動しない演奏だった。

それと指揮者の両左右、対抗配置なので、左がファースト・ヴァイオリンで、右がセカンド・ヴァイオリンだが、指揮者との間隔が空き過ぎで、それぞれ、あと10~15cm指揮者に寄っていたら、もっと凝縮されたサウンドになっていた想像できるので、惜しいと思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.ブラームス:「Nänie」(哀悼歌)

合唱は、市響とともに「市川交響楽団協会」の構成団体でもある市川混成合唱団と行徳混声合唱団の合同演奏。合同と言っても、テノールが8名、バスが9名と少なく、この少なさは、演奏にも明らかにマイナス材料となっており、朗々たる響きがあまり聞こえてこなかった。

19名のソプラノが美しい合唱でステキだった。多分、ほとんどが長く合唱を経験されている人達だろうなと判る、響きが明瞭で美しく、良い意味で整然とした演奏。マスクが、かえって、抑制された統一感ある響に寄与していたようにも思えた。

14名のアルトも、低音に潤いと安定感があり、良かった。

 (休憩)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.マーラー:「大地の歌」

冒頭から(終楽章に至るまで)ホルン群が絶好調。他のパートの練度、純度も高く、1曲目のバッハと同じオケとはとても思えないほど充実した演奏。評判の良い「市響」の優秀さが、この曲でやっと確認できた。

テノールソロは、大分二期会の理事長でもある行天祥晃(ぎょうてん・よしあき)さん。

第1、3,5楽章のテノールソロについて

第1楽章は、テノールにとって「キツイ曲」に違いない。よほどの声量がある歌手でないと、ライヴだとオケの音量に歌声が埋もれてしまう。2013年に聴いたアウローラ管弦楽団の演奏会で、この曲のソロを歌われた志摩大喜さんもそうで、声量の点で不満だった。そして今回もそうだった。

この曲は、オーケストレーションに散文的な要素がある点で、マーラーの交響曲第6番、7番、9番よりも演奏が難しいと言える。ソロの力量もモロに示される曲で、この曲を演奏できる(選曲する)こと自体、優秀なオケの証拠だ。そういうオーケストレーションの中で、一人で歌って存在感を示さねばならいのだから、テナーにとっては極めてシビアな曲に違いない。

第3楽章と第5楽章、特に有名な第3楽章「青春について」での行天さんは、伸びやかな美声を披露されて、とても良かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第2、4、6楽章のアルトソロについて

冒頭に記載したとおり、菅さんが「大地の歌」を歌われるというので、出向いた演奏会。

期待通り、素晴らしい歌唱だった。

第2楽章における「孤独感」の表出も見事だが、菅さんは特に低音に魅力と個性のある歌手なので、その点では第4楽章は出色だったし、その「魅力の頂点」は、当然ながら長大な第6楽章に結集された。

言葉のニュアンスと表現力、低音の魅力だけでなく、高音における美しさ、伸びやかな広がりを持つ歌唱で聴衆を魅了した。

各要所、特にテンポが変わる部分などでは、指揮者とアイコンタクトをしっかり行い、けっして独善的、ナルシスト的な歌唱ではなく、各場面を確実に指揮者の意図に沿って歌われていることが確認できたことも印象的だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「大地の歌」でのオケについて

この曲についての冒頭に書いたとおり、ホルン群が素晴らしかったし、第2、第6楽章の第1オーボエの女性奏者のソロが素晴らしかった。また、第1クラリネットの女性奏者も音色と安定感がステキだったし、第6楽章におけるバスクラリネットやコールアングレ、コントラファゴットなども、とても良かった。

弦全体の安定感も立派で、繰り返しになるが、1曲目のバッハと同じオケとは思えないほど、集中力と充実感のある見事な演奏だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なお、最後に付記するが、プログラムでのソリスト紹介欄で、「菅有実子」ではなく、「菅有美子」と字が間違って記載されていた。さすがにこれは菅さんに対して失礼なので、同団のFBメッセ欄から指摘しておいた。プログラムでのソリスト名の表記ミスって、私は過去、記憶にない。

« 小林愛実さんが弾いたショパンのピアノ協奏曲第1番 | トップページ | うた武満徹&新実徳英の世界~鷲尾麻衣さん&大沼徹さん »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック