« パシフィックフィルハーモニア東京        ツェムリンスキー「抒情交響曲」ほか | トップページ | 鐵 百合奈さんのライヴを初めて聴いて »

2022年7月31日 (日)

小川典子さん&ラシュコフスキー「春の祭典」他

小川典子さんと、イリヤ・ラシュコフスキー氏によるピアノデュオコンサートを7月31日午後、ミューザ川崎シンフォニーホールで聴いた。2005年から同ホール主催で開始されたクラシックを中心とした夏の市民的お祭り行事でもある「フェスタサマーミューザ」の一環としてのコンサート。

私は、当初入っていた用事が中止になったことから聴けたコンサートだった。

イギリス在住(のはず)の小川さんは、川崎出身であり、ミューザ川崎シンフォニーホール・アドバイザーも務めている。出演者や、2人にゆかりの浜松国際ピアノコンクール等については、最後に記載する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このコンサートは、「超絶技巧のロシアン・ピアニズム」と題され、大げさではない内容の難曲を盛り込んだもので、演奏曲は、

1.ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から

「だったん人の踊り」~中原達彦編曲の2台ピアノ版

2.ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

3.ラフマニノフ:交響的舞曲

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1曲目は、ボロディン(1833~1887)と言えばこの曲、と言えるほど有名な曲。

客席から見て左に小川さん(主に主旋律パート担当と言えるだろう)、右にラシュコフスキーさん(主に伴奏部分を中心の担当と言えるだろう)。

迫力あるリズム、メランコリィな有名な旋律などを、2人は時にダイナミックに、リズミカルに、典雅に演奏し、アンサンブルとしても充実。中原達彦さんによる見事な編曲の賜物でもあるだろう。1曲目から大いに楽しめた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2曲目は、待望のストラヴィンスキーの「春の祭典」

作曲家自身による2台ピアノ編曲で、初演と同年の1913年にオーケストラ・スコアに先立って出版されている。私は録音では、これまで数組、聴いているが、ライヴは初めて。

その前に、1曲目が終わり、2曲目に入る前に、2人がマイクをもって挨拶。小川さんは、「ラシュコフスキーさんが浜松で優勝した2012年は、私は未だ審査委員ではなかったですが、彼の才能に驚き、いつか一緒に演奏したいと思い、企画しましたが、コロナ禍で、やっとこの日を迎えることができました」、と挨拶。ラシュコフスキーさんも英語で短く挨拶された。

また、小川さんは、「当初、『春の祭典』は(原譜どおり)2台のピアノで演奏する予定でしたが、リハーサルの中で、これは1台で連弾したほうが、緊密度の点で良いかも、で意見が一致したので、本日は(この後)、2台ではなく、1台での連弾で演奏します」、として演奏に入った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

高音部位置に小川さんが座り、低音部位置にラシュコフスキーさん。

冒頭から、エンディグまで、終始、息を吞むほどの集中力とパワーが炸裂。ラシュコフスキーさんが受け持つ低音部など、場面によっては、もはや完全にパーカッションと言えるほど、全腕力、全身を使っての打鍵による迫力が凄まじかったし、小川さんの技術も勿論素晴らしかった。

よもや、オーケストラ顔負け、と言えるほどの大迫力で、正に「興奮の春の祭典」。

こんなに見事で素晴らしいピアノデュオによる演奏を聴いてしまったら、当面、オーケストラによる演奏はもういいから、ピアノデュオでの「春の祭典」を今後もたくさん聴きたいと思った次第。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

休憩後の後半は、

ラフマニノフの最後の作品となった「交響的舞曲」。

1曲目とは逆に、客席から見て左にラシュコフスキーさん(主に主旋律パート担当と言えるだろう)、右に小川さん(主に伴奏部分を中心の担当と言えるだろう)。

「交響的舞曲」は3楽章制。

「春の祭典」を思わせる打鍵や迫力の場面もあるし、もちろんロマン的な曲想もあり、最晩年の様々な思いが内包されているに違いない大曲を、これまた2人の息ピッタリのアンサンブルで見事な演奏がなされたのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・

なお、この作品の成立については、まず、オーケストレーションに先立って、2台ピアノのための版が1940年8月10日に完成。その後、オーケストレーションが同年10月29日に完成し、初演は1941年1月3日にユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団によって行われ、好評を博した。

そしてこの2台ピアノ版は、管弦楽版の初演の翌年、1942年8月、ラフマニノフの自宅で開かれた私的な演奏会で、作曲者自身とホロヴィッツという二人の名手によって初演されている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アンコールとして、ラフマニノフの2台ピアノのための組曲第1番より第3楽章「涙」が演奏された。知らない曲だったが、小川さんがツイッターで周知してくれている。

コロナ禍以降、ほとんどのホールで、それまで行っていた「アンコール曲の掲示」を、「密を避けるため」か、ほとんどのホールが行わなくなった。私が知っている限り、掲示対応を継続しているのは、トッパンホールだけだ。馬鹿げたことなので、他のホールも再開して欲しい。

もちろん、それに代わって、小川さんのように演奏者自身、あるいはホールが、あるいはマネジメント事務所等が、ホームページ等で、当日の夜か翌日(以降)に公表してはいるが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

出演者のプロフィール概要

小川さんは、多くのピアノコンクールで審査員も務めている。リーズ国際、グリーグ国際、クリーブランド国際コンクールの審査員であり、2018年からは、今や若者の登竜門的存在となってきた浜松国際ピアノコンクールの審査委員長を務め、国際音楽コンクール世界連盟の役員でもある。英国ギルドホール音楽院教授。東京音楽大学特任教授。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

イリヤ・ラシュコフスキーさんは、ロシア出身で1984年11月生まれ。

1995年イタリア・マルサラ市の国際コンクールで優勝。98年ウラジミール・クライネフ国際コンクールに優勝。01年ロン=ティボー国際音楽コンクール第2位。05年アシュケナージが審査員長を務めた香港国際ピアノコンクール優勝。07年エリザベート王妃国際音楽コンクール第4位。11年ルービンシュタイン国際ピアノコンクール第3位。2012年第8回浜松国際ピアノコンクールで優勝。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

浜松国際ピアノコンクールについて

1991年に創設され、3年に一度、静岡県浜松市で開催されている。今では世界の主要コンクールの一つに数えられ、昨年のショパン国際ピアノコンクールで反田恭平さんと第2位をわけたアレクサンダー・ガジェヴは、2015年の優勝者。ショパンコンクールで優勝したラファウ・ブレハッチは2003年最高位。チョ・ソンジンは2009年の優勝者だ。

« パシフィックフィルハーモニア東京        ツェムリンスキー「抒情交響曲」ほか | トップページ | 鐵 百合奈さんのライヴを初めて聴いて »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック