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2022年3月16日 (水)

葵トリオ~紀尾井レジデント・シリーズ第1回公演

葵トリオのライヴを3月16日夜、紀尾井ホールで初めて聴いた。

2016年に結成され、2018年、第63回ミュンヘンARD国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で優勝し、一躍有名になった。

「葵」は、ピアノの秋元孝介さん(A)、ヴァイオリンの小川響子さん(O)、チェロの伊東 裕さん(I)の、姓の頭文字を取り、花言葉の「大望、豊かな実り」に共感して命名したとのこと。

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一般論で言えば、弦楽四重奏が、綿密なアサンブルの典型、粋と言える室内楽なら、ピアノ三重奏は、どちらかと言うと、名人同士のぶつかり合いに妙味(面白さ)がある演奏形態と言えるかもしれない。

しかし、ライヴを初めて聴いた私の私見では、葵トリオは、名人同士のぶつかり合いとは全く違うテイストを持つ演奏をする。正に、弦楽四重奏の最上級のアンサンブルを、ピアノ三重奏でやっている、そういう綿密にして繊細な、気品のある演奏をする。巨匠的な3人で激しくぶつかり合いながら盛り上げる、というのとは、全く違う三重奏、という印象を抱いた。

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ピアノの秋元孝介さんは、品の良い音と演奏。

ヴァイオリンの小川響子さんは、エレガントなヴァイオン。

チェロの伊東 裕さんは、音量は控え目かもしれないが、ピュアで愛らしい演奏をする。

3人の無垢なまでの品の良い抒情性、エレガントさが、とりわけ生かされていたのは、シューマンのピアノ三重奏曲 第1番の第3楽章の「Langsam」、シューベルトのピアノ三重奏曲 第1番の第2楽章のアンダンテだった。

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演奏曲は、

1.W・リーム:「見知らぬ土地の情景Ⅲ」

2.シューマン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 Op.63

3.シューベルト:ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 Op.99(D898)

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ヴォルフガング・リーム(1952~)が1984年に作曲した「見知らぬ土地の情景Ⅲ」

3つの楽器とも、高音での現代的書法による音や、特にピアノの低音での打楽器的要素を含めて、様々な要因が散りばめられた曲だった。

もっとも、私は、それ以上のコメントをする気はない。

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シューマンのピアノ三重奏曲 第1番は、第2楽章の情念と颯爽感も良かったが、先述のとおり、第3楽章の「Langsam」が美しく、第4楽章のアグレッシブ感も良かった。

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休憩後の、シューベルトのピアノ三重奏曲 第1番は、第2楽章のアンダンテが美しかったし、第1楽章も叙情性十分、第3楽章のユーモラス感、第4楽章の洗練された統一感も良かった。

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アンコールは、シューベルトの13分ほどの、極めて美しい、ピアノ三重奏曲変ホ長調 op.148(遺作)D897《ノットゥルノ》が演奏された。素晴らしい曲の素晴らしい演奏だった。

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なお、紀尾井ホールでの、このシリーズとして、2024年までの残り2回、シューマンを核としたプログラムで、開催するとのことなので、楽しみだ。

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