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2022年2月 1日 (火)

ウェールズ弦楽四重奏団+クァルテット・エクセルシオ

ウェールズ弦楽四重奏団とクァルテット・エクセルシオ共演のコンサートを2月1日夜、紀尾井ホールで聴いた。

これは同ホールの企画「クァルテット・プラス」という主催公演だが、本来は昨年の4月28日に予定されていた公演で、この日はその振替公演。

昨年作成されたプログラムが、そのまま配布されたのも、とても印象的だ。

「クァルテット・プラス」は2016年に開始されたシリーズ企画で、今回共演の2つの弦楽四重奏団が、交互に隔年で、他の様々な演奏家と共演(プラス)する、というもの。そして、その企画の最終回として、2つの主役クァルテットが初共演、という公演だった。

2団体とも桐朋学園在学中に結成された四重奏団だが、結成年次で言うと、クァルテット・エクセルシオが12年先輩。

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演奏曲は次のとおりで、意欲的にして興味深い選曲。

1.モーツァルト:弦楽四重奏曲第7番変ホ長調 K.160(159a)

2.ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章

3.武満徹:ソン・カリグラフィⅠ

4.ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品 op.11 から“スケルツォ”

 (休憩)

5.メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲変ホ長調 op.20

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1曲目は、クァルテット・エクセルシオの演奏によるモーツァルトの弦楽四重奏曲第7番

K.136のディヴェルティメントの第1楽章に似た第1楽章は、爽やかだが、クァルテット・エクセルシオ(以下、「エク」とする)の演奏は、薄っぺらな軽さではなく、温もりのある慈愛を感じさせてステキだ。第2楽章「Un poco adagio」は、曲自体が素晴らしく、これはもう既にロマン派の音楽を内包していると思う。素敵な曲だ。

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2曲目は、ウェールズ弦楽四重奏団の演奏によるウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章

初めて聴いたが、素晴らしい曲。ウェーベルン22歳の1905年の作品で、無調作品を書く以前の、ロマン的曲想の極みと言える内容で、豊麗さにおいてリヒャルト・シュトラウスをも凌駕する様な見事な作品。ロマン派音楽の行き着いた先、極致とさえ言える曲。

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3曲目は、2団体の共演による武満徹の「ソン・カリグラフィⅠ」

「ソン」は音、「カリグラフィ」は東洋の「書」を意味する。この日の演奏曲は、3曲の内の第1曲で1958年作品。20世紀音楽研究所主催の軽井沢現代音楽祭コンクールで第1位、フランス大使賞も獲得した作品。

武満らしい断片的な音による飛翔を核とした7分ほどの曲。

「エク」とウェールズの共演第1曲が武満、というのは、そのまま現代における弦楽アンサンブル自体を象徴する様で、興味深く拝聴した。

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前半最後の4曲目も2団体の共演による、ショスタコーヴィチの弦楽八重奏のための2つの小品から「スケルツォ」

いかにもショスタコーヴィチらしい、近代的で無機質的な響と行進曲的要素を持つ曲。

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休憩後の後半は

2団体の共演によるメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲変ホ長調

「八重奏曲と言えば、まずはこの曲」という位、有名な曲。メンデルスゾーン16歳のときの作品(23歳のときに改訂はしている)。

ウェールズが、いわゆる「表」というか、主体となり、先輩「エク」がそれを支える形でのアンサンブル八重奏。

第1楽章は爽やかで、スマートな演奏だが、その中で、2人のチェロ奏者によるアグレッシブな演奏が印象的だった。全体として、仮に「エク」が主体だったら、もう少し「野性的」な演奏になったかもしれないと想像した。

第2楽章は、内省的にして見事なアンサンブルで、この日の白眉とも言える演奏だった。

第3楽章は、ウェールズの特質である「しなやかさ」が、端的に発揮されていたと思う。

第4楽章は、第2楽章とは違う意味で、もう1つの白眉とも言え、豪快にして迫力のある、充実したアンサンブルを聴かせてくれた。

アンコールは、この曲の第3楽章を再度演奏した。

 

 

https://kioihall.jp/20220201k1900.html

 

https://kioihall.jp/kioiweb/wp-content/uploads/20220201k1900_flier.pdf

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