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2022年2月 5日 (土)

小林愛実さん N響~シューマン ピアノ協奏曲

2月5日は東京も寒かったが、小林愛実さんが、東京芸術劇場に満員に近い聴衆を呼び込んだとも言えるコンサートを同日夜、同ホールで聴いた。

NHK交響楽団の演奏会だが、当初の予定では、指揮がパーヴォ・ヤルヴィ、ピアノがイゴール・レヴィットによる公演だったが、昨今の事情で、指揮が下野竜也さん、ピアノが小林愛実さんに代わり、曲目も変更された。

結果的には、私にとって~あるいは多くの聴衆にとっても~小林愛実さんによるシューマンのピアノ協奏曲が聴けたのは、これ幸いと言える。

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オール・シューマンプログラムの1曲目は「序曲、スケルツォとフィナーレ」作品52から第1曲「序曲」。出だしが美しい曲。

2曲目に小林愛実さんが登場して、ピアノ協奏曲 イ短調 作品54が演奏された。

冒頭は、鋭いスタッカートではなく、丸みのある音によるレガートのテイストさえ感じる下降音が印象的だったし、直後のソロによる第1主題も、ゆったりと間合いを取ったフレージングが印象的。

この落ち着いた、たっぷりとした抒情性は、あの誰よりもゆったり弾いている「雨だれ」と共通するアプローチで、小林愛実さん固有の特徴、個性と言えるだろう。

この主題の提示は、愛実さんが、まるでこう言っているようでもあった。

「これはロベルトの作品ではなく、クララの作品なのです」

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その後も終始、硬いスタッカートや鋭いアグレッシブさではなく、馬力的なパワーで熱くする音ではなく、じっくりと温めた音、丸みのある音、さりげない優しさと愛らしさのある音により、この曲の持つ抒情性を描き出して行く。

第2楽章の冒頭も、呟くような、独り言のように、さりげなく開始。

この「叙情性の徹底」という点では、第3楽章がとりわけ印象的で、充実していたように思う。

気取ったフレージングなど皆無で、あくまでも自然体にして、さりげない抒情性を大事にしている演奏。

これほどケバケバしさの無い、毒気やドス黒さとは無縁な、ピュアな第3楽章は希有に思えた。

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長く盛大な拍手に応えてのアンコールは、ショパンのワルツ第5番 変イ長調Op.42。正に水を得た魚の様な自在な演奏だったが、シューマンで聴かせてくれた「さりげなさ」は共通していた。

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スケール感で勝負する人ではないように思える。雄大な欧州の自然美というより、日本独特の日本庭園を思わせる、整然とした佇まいと自然体と優しさと気品がある演奏。それを小林愛実さんの演奏に感じる。

小林愛実さんの抒情性を愛して今後も聴いていきたいと思う人は一定数、いや、相当数、今後も存在し続けるだろう。それだけでも、演奏家として極めて大事なことだと思う。

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休憩後の後半は、交響曲 第2番 ハ長調 作品61

明るく躍動感と動力に満ちた曲を、N響は十分元気に立派に演奏し、オケの充実した実力を示した演奏だった。

https://www.facebook.com/nhkso.tokyo/photos/a.1008387439227349/5146874385378613/

 

https://www.nhkso.or.jp/concert/20220205.html

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