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2022年2月13日 (日)

諏訪内晶子さん~バッハ無伴奏曲 演奏会~しらかわホール

諏訪内晶子さんが企画し、芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON 2022」の公演は、名古屋と東京、それぞれ2日間での、諏訪内さん自身によるバッハの無伴奏ソナタとパルティータの全曲演奏会で開始した。

初日は聴けなかったが、2日目である2月13日午後、名古屋の三井住友海上しらかわホールで拝聴した。

日曜日の午後ということもあってか、ほぼ満員の入りだった。

なお、最近リリースされたCDも聴いているので、その感想も後日アップします。

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「東京在住なら、後日、東京オペラシティで聴けばよいのに」。

その通りなのですが、もっと小さなホールで聴いてみたかったのと、次の2つの理由から、ぜひ名古屋で聴いてみたいと思った次第。

1つは、仕事で1996年9月から1997年10月まで、名古屋に居住していたのに、しらかわホールに来る機会を逃していたこと。東京に戻ってからも、いつか聴きに行きたいと思っていました。

2つ目の理由となったのは、なんと先月、2年後の2024年2月をもって、同ホールが閉館になることが公表されたことです。

元々、収益的には厳しい状況が続いており、それに「コロナ禍」が拍車をかけたとのこと。

あと2年あるから、聴きに行く機会はあるかもしれませんが、一応、見納めならぬ、聴き納めの気持ちも込めて、出かけた次第です。

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この日の演奏曲は、バッハの無伴奏の、後半3曲である次の曲。

1.無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004

2.無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV1005

3.無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006

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ライヴを聴く喜びは、もちろん、演奏家を直に聴けることにある。

彼女が新たに手にした「グァルネリ・デル・ジェズ」の響も、録音再生機器を通して聴くのと、わずか10メートルくらいの至近距離で、会場の空気と波動の中で聴くのとでは、当然ながら、印象は随分違う。

演奏の「完成度」という点で言うなら、細かなニュアンスや強弱等も含めて、何度も弾き直して、収録し、録音効果も設定できるCDが、そりゃあ勝るだろうことは、ある意味、当然だが、ライヴには、録音では得られない、ある意味、「録音を超えた何か」を聴ける要素も当然あるのだ。

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この日も、曲によっては、一瞬、音が擦(かす)れる部分はあったし、CDでは入念な掘り下げによるデリケートさを表出していた場面でも、この日は、そうした細かさよりも、むしろ、直截的にアグレッシブにぶつけてくる諏訪内さんの生身の音楽、もっと言うと、人間性も含めた演奏気質、演奏スタイル、アプローチ等々を、直接感じとることができるなど、録音とは違う「面白さ」が多々有った。これこそライヴの面白さだ。

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完成度では、録音よりマイナス1点か2点が生じていたとしても、ライヴには、それに増して余りある直接的なパワー、力感と生命力、今ここで音楽が生まれているという感動、聴衆と演奏者との同時間、同空間における共感性が生じ、それを感じとる喜びが聴衆に~多分、演奏者にも~有る。

すなわち、「録音よりマイナス1点か2点の完成度」と同時に、「録音よりプラス2点か3点の高揚感、共感度」が得られる。それがライヴの特性であり、素晴らしさだ。

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加えて、プロアマ問わず、私を含めて、ヴァイオリンなど、自分で弦楽器をやっている人には、「あの部分(パッセージ等)では、ああいうボーイングやアーティキュレーションで弾くと良いのだな」、ということを知り、勉強(あるいは参考)になるのも、ライヴならではだ。

録音を聴いていても、フレージング等から、ある程度、想像はできるが、実際に、一流演奏家のボーイング等を見るのとそうでないのとでは、その「参考度具合」は全然違ってくる。

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前置きが長くなってしまったが、この日の1曲目にして、前半の演奏曲「パルティータ第2番」における圧巻は、言うまでもなく終曲「シャコンヌ」だった。

CDのような細かなニュアンス設定よりも、全体の音の充実度と、自然な流れと展開が素晴らしく、工夫を交えた入念さでは録音が面白いにしても、精神の充実度において、この日の演奏はCD録音を超えていた、と感じた。

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休憩後のソナタ第3番は、ある意味、やや地味な曲な印象もあるが、アダージョでは、むしろCD以上に丁寧に、入念に弾いていたように感じたし、長大なフーガでは、アグレッシブ全開による生命力と流動的展開が見事だった。

パルティータ第3番は、CD同様、1曲目のプレリュードの快活さが、見事な技巧とともに印象的で、素晴らしかった。

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盛大な拍手に応えての、アンコールは2曲。

最初は、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調の第1楽章。

バッハのパルティータ第3番の断片や、「怒りの日」のテーマが出る面白い曲だ。

2曲目は、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番のアンダンテ。とても入念に温かく演奏された。

「来て良かった」。そう思えた演奏会だった。

 

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しらかわホール24年に閉館 クラシック専用 赤字 コロナ追い打ち

https://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20220118-OYTNT50169/

 

「しらかわホール」閉館へ 名古屋、三井住友海上

https://www.sankei.com/article/20220118-QBU7TOLKGZNPHDSVZIO7XVANFA/

 

「劇場の危機の始まり」音楽関係者ら衝撃 「しらかわホール」閉館発表

https://www.chunichi.co.jp/article/402726

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