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2022年1月 8日 (土)

大村博美さん~チャリティコンサート

大村博美さんによるチャリティコンサート

海外の歌劇場でも活躍されている数少ない日本人ソプラノ歌手の一人、大村博美さんによるチャリティコンサートを1月8日午後、紀尾井ホールで拝聴した。名歌手による、係る主旨のコンサートとあって、会場は、ほぼ満員の入り。

ピアノは名手、河原忠之さん。

賛助出演として人気テナーの山本耕平さんを迎えてのプログラムは、下記記載のとおり、ユニークで面白く、大いに楽しませていただいた。

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概要や感想の前に、このコンサートの主旨について

コンサート実行委員会の晴佐久 昌英 神父は、カトリック上野教会の主任司祭として、生活困窮者のための「うぐいす食堂」も運営されているが、その「一息つける場所」の提供に加え、今の状況下において、「私達に必要なのは、お互いに助け合って共に生きていく、暖かい家族的なコミュニティ」であるとして、「私たち大きな家族」が音楽の感動を分かち合う場を実現すべく、生活保護受給者、難民のかた、技能実習生、路上生活者、障碍者手帳をお持ちのかたなど、120名以上のかたをご招待し、「コロナ禍の生活困窮者支援」として開催されたチャリティコンサートだった。

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「第1ステージ」

白いドレスで登場された大村さんの1曲目は、なんと、「ア・カペラ」での「アメージング グレイス」。続く2曲目の「ピエ イエズ」(フォーレの「レクイエム」)も含めて、大村さんの、このコンサートに寄せる思いが強く伝わる、印象的な開始だった。

2曲の後、大村さんがマイクを手にして挨拶された。

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大村さんの挨拶の概要

「コロナ禍で、多くの人が大変な思いをされていると思います。コロナで亡くなられたかた、ご家族や友人などで罹患(感染)されたかた、直接、罹患されなくとも、多くの人が、毎日の仕事や生活において、厳しい状況の中を生きていらっしゃると思います。そうした方々のために、少しでも何か力にならたら、ということで、1年位前から、このコンサートの準備(企画)をしてきました。

私には実の母親の他、母の様に慕っているかたが何人かいます。その一人で、今日も来場されるはずだったかたが、先月、突然亡くなられました。

~この件に関して、伊藤は、大村さんの後援会からの情報で概要は存じているが、詳細は控え、Mさんとだけさせていただく~

23日に、その悲しい知らせを受け、泣く泣くリハを行った翌24日、そのMさんから「ゆうパック」が届き、驚いて開けると、私が舞台でつけるためにMさんが用意してくださったイヤリングが入っていました。そして今、私はそれを着けています。

こうした状況下で、私も強く生きていきたいと思いますし、1曲目と2曲目で、「アメージング グレイス」と「ピエ イエズ」を歌わせていただいたのも、この厳しい状況の中でも、少しでも皆様に、穏やかで安らいだ気持ちになっていただけたらと思ってのことでした」。

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そして、当初予定された3曲目と4曲目を入れ替えて、まず、黒人霊歌である「彼の目は一羽のスズメに注がれ」を自在なスウィングで歌われ、その後、「メサイヤ」から「喜べ、シオンの娘よ」を伸びやかに歌われ、第1部を「アヴェ マリア」(グノー~バッハ)の清らかな歌唱で終えた。

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「第2ステージ」

引き続いての第2ステージは、ゲストの山本耕平さんが登場されたが、なんと、右足をケガされたようで、松葉杖での登場で驚いた。

バーンスタイン「ウエストサイド物語」より「マリア」を山本さんがイスに腰かけたまま、甘い(色気のある)トーンで魅力的に歌い、次いで、「トゥナイト」のデュオ。曲の後半は、山本さんもピアノに寄り添うように立っての歌唱。オペラ歌手によるミュージカル・ナンバーのデュオは格別なものがある。

ここで、2人のトーク。

大村さん~「山本さんとは、いつか共演してみたいと思っていた」

山本さん~(足のケガに関して)「皆さんから優しくされる」と笑わせ、「大村先輩とは、留学先での先生が同じで、先生から大村さんの活躍、如何に「階段」を登っていくか、など、当時から、たくさん話を聞いていた。今回、共演させていただき、とても幸せです」という主旨のコメントがあった。

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トークの最後、大村さんから次に歌う曲の紹介と逸話を披露。

「私は映画が好きで、フランスの自宅では、夕食後、必ず1つは映画(DVD)を観る。今回の選曲での打ち合わせで、ミュージカルも良いね、ということになり、「アナと雪の女王」より「Let It go」をフランス語で歌います。そして、スーザン・ボイルさんの名唱でも知られる「I dreamed a dream(夢破れて)」を歌います」として、2曲を歌われた。

フランス語による「Let It go」は、とても新鮮だったし、「I dreamed a dream(夢破れて)」も、スケール感が見事でステキだった。

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「第3ステージ」

休憩後の第3ステージは、オペラアリアのコーナー。

赤いドレスで登場した大村さんによる、グノーの歌劇「ファウスト」より「宝石の歌」の、スケール感ある歌唱で開始。

山本さんのトーク。今回のコンサート全体のコンセプト(共通要素等)や、「ラ・ボエーム」のアリアの概説をされた。

プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」より、山本さんによる魅力的な「なんて冷たい可愛い手」。大村さんによる繊細にしてドラマティックな「私の名はミミ」が披露され、「うるわしい乙女よ」のデュオで終えた。

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続いての、大村さんによるヴェルディの「ドン・カルロ」より「世の虚しさを知るあなた」が、格別なまでに圧巻だった。

素晴らしさという点では同じでも、大村さんはその歌唱により、プッチーニとヴェルディの「違い」を確実に、見事に示された、と言える。

そしてそれは、プログラム最後の、大村さんの「十八番(おはこ)」の一つでもあるプッチーニの「蝶々夫人」の「ある晴れた日」によって、再度、その違いと、それぞれの素晴らしさを披露し、聴衆に深い感動を与えた。

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アンコールの1曲目は、大村さんが、プーランクの「愛の小径」を情感豊かに、スケール感を持って歌われた。

ここで、会場で配布されたフライヤー(ちらし)の1つ、先述の「うぐいす食堂だより」について、大村さんから直接紹介があり、「よろしければ、お帰りに募金を」と呼びかけた。大村さんの直接の言及の効果は絶大で、帰り、私を含めた多くの来場者が募金箱に投じていた。

アンコール2曲目(最後の曲)として、大村さんが、プッチーニの「トスカ」より「歌に生き、愛に生き」を歌われたが、コンサート最後に相応しいまでの感動的な歌唱で、会場を大いに沸かせて、この素晴らしいコンサートが終わったのだった。

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プログラム

第1ステージ

1.アメージング グレイス

2.ピエ イエズ(フォーレの「レクイエム」より)

3.彼の目は一羽のスズメに注がれ〜(黒人霊歌)

4.「喜べ、シオンの娘よ」(ヘンデルの「メサイヤ」より)

5.アヴェ マリア(グノー~バッハ)

第2ステージ

1.バーンスタイン「ウエストサイド物語」より

(1)マリア ~ 山本さん

(2)トゥナイト ~デュオ

2.「アナと雪の女王」より

「Let It go」のフランス語版「Libérée délivrée」

3.「レ・ミゼラブル」より「I dreamed a dream(夢破れて)」

 (休憩)

第3ステージ

1.グノー:歌劇「ファウスト」より「宝石の歌」

2.プッチーニ:歌劇「「ラ・ボエーム」より

(1)なんて冷たい可愛い手 ~山本さん

(2)私の名はミミ ~大村さん

(3)うるわしい乙女よ ~デュオ

3.ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」より「世の虚しさを知るあなた」

4.プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日」

アンコール

1.プーランク「愛の小径」

2.プッチーニ:歌劇「トスカ」より「歌に生き、愛に生き」

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