« 大村博美さん~チャリティコンサート | トップページ | 田部京子さん~吉松さん編曲の新協奏曲を弾く »

2022年1月16日 (日)

齋藤友香理さん ~ 新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮して交響曲3曲を演奏

齋藤友香理さん~交響曲3曲を振る~新日本フィル

ドレスデンで研鑽中の指揮者 齋藤友香理さんが、新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮して、「未完成」、「運命」、「新世界より」を振ったコンサートを1月16日午後、川口リリアのメインホール(大ホール)で拝聴した。これは、川口総合文化センター・リリアの主催公演で、「2022ニューイヤーコンサート~“華麗なる3大交響曲”~と銘打たれた公演。

新年早々、3つの有名な交響曲を一度に、それも女性指揮者が振る、とあってか、大ホールは9割位の盛況な入りだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

齋藤さんは、後述するが、2020年2月18日放送のTV「セブンルール」で取り上げられていて、興味深く拝見したので、「これから聴いて行こう」と思った直後の、コロナ禍入りだった。

新日本フィルのコンサートは久しぶりで、フルメンバーによる団員も、数名を除いてマスク無し、譜面台も、ソーシャルディスタンス対応の一人1台ではなく、2人(1プルト)で1つ、という、ようやく「普通」に戻っていた。

コロナ元年の2000年は、団の存続の危機が言われた位だったから、満員に近い集客といい、何よりだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全くの余談だが、新日本フィルの第2ヴァイオンのフォアシュピーラー、佐々木絵理子さんは、2018年10月に、「カーサ モーツァルト」(原宿)で行われた、「歌う女、奏でる女、弾く女」で知り、終演後、お話する機会があっただけでなく、ヴァイオリンの肩当で、丸型の簡易肩当を使用されていたので、「それ、良いですね」、と私が言うと、「数個持っているので、伊藤さん、ヴァイオリンをやっているのなら、これ、差し上げますよ」、と頂いたりもした。

あのときも、茶髪というか金髪が印象的だったが、この日も、変わらず金髪だったので、ステージに出て来たとき、直ぐに判った次第(笑)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1曲目は、シューベルトの交響曲 第8番 ロ短調 D759「未完成」

第1楽章。ゆったりと開始。アレグロ主部に入っても、落ち着いたテンポで進め、昨今、流行りの、速いテンポで現代風を気取るスタイルとは一線を画すアプローチに、好感を覚える。この曲は、あくまでも内省的な面を基本としているのだ、というように考えていることが伝わってくる。

チェロで開始する第2主題では、「più ピアノ」でデリケートな情緒も表出していた。

第2楽章のテンポはオーソドックスで、ロマン性よりも、弦のアクセントの強調を含め、バロック的な雰囲気を持った、エレガントな演奏だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2曲目は、ベートーヴェンの交響曲 第5番 ハ短調 op.67「運命」

第1楽章のテンポはオーソドックスで、各所のフェルマータも短め。

第2楽章は、落ち着いたテンポでの爽やか系の演奏で、好感が持てた。

第3~第4楽章にかけては、いたずらに劇的に盛り上げるのではなく、自然体で進めた演奏。もちろん、第4楽章においては、要所々々で、強調すべき部分(場面)で、それがキチンとなされていた。立派な第4楽章だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

休憩後は、ドヴォルザークの交響曲 第9番 ホ短調 op.95「新世界より」

第1楽章。丁寧な序奏の演奏に続く、アレグロ主部は、オーソドックスなテンポによる、自然体な運び。フルートにより開始される第3主題は、2回ともテンポを落として、ゆったり、しなやかに歌う。

第2楽章がとりわけ良かった。

落ち着いた、ゆったりしたテンポで、弱音を主体にデリケートに歌う演奏。ファースト・ヴァイオリンによって嬰ハ短調で奏される部分は、とりわけステキだった。

第3楽章も、急がず慌てず、余裕あるテンポで、着実に進めていた。

第4楽章も自然体を基本としながらも、曲想的にメリハリ良く、ダイナミクスも十分で、立派な演奏だった。

「新世界より」が終わった直後、齋藤さんが団員たちに深々と一礼し、3回のカーテンコール後のアンコールは、ヨハン・シュトラウス2世&ヨーゼフ合作の「ピッチカート・ポルカ」。

新年に相応しいし、管楽器に負担をかけないナイスな選曲。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

齋藤友香理さんについての全体的な感想

3曲とも譜面を置いての、入念で自然体を基本とした運び。作品に対して向き合う真面目な姿勢に好感を抱くが、それは物足りなさと表裏一体と言えなくもない。

2拍子と4拍子を巧みに振り分けていたが、そんなに四角四面に几帳面に振らなくても、オケをちゃんと弾いて(吹いて)くれるのだから、要所々々をダイナミックに振るなどの、大らかな指揮でよいのに、と思ってしまう。

そうした良い意味での要領、図々しさは、今後、場数を踏むことで獲得していくのだろうな、と想像する。

女性がどう、という気は無いが、しかし、国内外を問わず、女性指揮者が増えて来たとはいえ、未だマイナーな存在ゆえ、「応援していきます」と言いたくなる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

先述のTV「セブンルール」

ドレスデン。2013年9月からこの地に移り住んで6年。コンクールで賞を取っても、オーディションを受けては落選の日々、彼女はここ1年以上、ヨーロッパでの指揮の仕事を行えていない。“やばい”とは思うけど、自分の中ではもうちょっと勉強しなさいという合図なんだなと思ったりする、と前向きに語っていた。

「セブンルール」の7つ目が「指揮者以外には嫁がない」。その心は、「指揮者では食えないが、指揮者の魅力は何物にも代えがたい」。

サラリーマンのお父さんが、確か、「結婚して、孫の顔を見たい」という様な事を言われていたと記憶するが、音楽ファンとしては、「そういう事よりも、指揮者として、もっと活躍する姿を見たい」、と、応援も含めて、敢えて勝手に言わせていただこう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本のオケと海外のオケについて

新日本フィルに限らず、日本のオケは、金管を含めて格段にハイレベルになったことは、今更言うまでもないことだが、以前から感じていることを今日も感じたので一言付け加えたい。

ファーストヴァイオリンの音が、コンマスを含めて4人くらいで弾いているかの様にしか聞こえてこないのは、このホールの音響が良くないことだけが原因とは思えない。

ベルリン・フィルだと、トップから一番後ろの人まで、同じエネルギー=モチベーションで弾いている感じがして、正に「弦が波打って弾いている」感があるのに対して、日本のオケは、コンマス周辺の奏者と、後列の奏者とのそれが、同じ熱量で弾いている感じがしない。「一丸となる」感じが薄い気がする。温度差を感じてしまうことが多いのだ。

それが、奏者個人の問題なのか、団という組織に在る文化や空気感などに起因する問題なのか、よく解らないが、いずれにしても、欧米の一流オケと、日本のオケの決定的な差、違いは、この点にあると感じて来たし、今日も感じてしまった次第。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

演奏曲

1.シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D759「未完成」

2.ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67「運命」

3.ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op.95「新世界より」

アンコール

「ピッチカート・ポルカ」

 

https://www.lilia.or.jp/event/2645

 

「セブンルール」

https://ohitoritv.com/ktv-7rules-conductor-yukari-saito/

https://www.ktv.jp/7rules/program/200218.html

https://dogatch.jp/news/cx/75281/detail/

« 大村博美さん~チャリティコンサート | トップページ | 田部京子さん~吉松さん編曲の新協奏曲を弾く »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック