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2021年7月15日 (木)

日下紗矢子さん~シューマンのソナタ全曲リサイタル

ヴァイオリンの日下紗矢子さんと、姉で、ピアノの日下知奈さんによる、シューマンのヴァイオリン・ソナタ全3曲を弾くコンサートを、7月15日夜、王子ホールで聴いた。

日下紗矢子さんのライヴを拝聴するのは、バッハのCD「リターン・トゥ・バッハ~RETURN TO BACH」のリリース記念として、2013年3月に浜離宮朝日ホールで行われたリサイタルを聴いて以来。

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あのときのピアノは、ベルリン・フィルのヴィオラ首席の清水直子さんのご主人、オズガー・アイディンさんだった。あのときは、ベルリン・コンツェルトハウス管のコンミスに加え、読響の(ゲスト)コンミスを兼ねる直前だったので、終演後のサイン会では、「ベルリンと読響の活動比率」について質問したのを覚えている。

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この日のプログラムは、前半が、ソナタ第1番 イ短調と、第3番 イ短調。後半が、「3つのロマンス」と、ソナタ第2番 ニ短調。

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8年前のリサイタルで、直ぐに感じた彼女の特徴は、「音の明るさ」だ。開放的な明るいトーンは、珍しいほどに特徴的だった。

今回は、オール・シューマンプログラムということもあり、トーンとしては、やや控え目であったかもしれないが、前半での2曲では、情感豊かなG線の音や、爽やかで明るい音によるトーンは一貫していた。

後半の最初、「3つのロマンス」でも、彼女の特徴は出ていた。すなわち、楽観的と言えるほどの、屈託のない一途さ、音楽は楽しくなければ、と言っているかのように感じられる無垢な伸びやかさ。それが素直に表出されていた。

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プログラム最後に、第2番 ニ短調を持ってきたのは、よく解る。3つのソナタの中で、最も劇的で情感深く、創意工夫とダイナミズムに溢れた傑作だ。

ベートーヴェンとブラームスの間に位置する重要なソナタ、ということに留まらず、あらゆるヴァイオリン・ソナタの中でも、アグレッシブで個性的なソナタと言える。

日下さんは、このソナタをトッパンホールでも弾いており、そのライヴCDも市販されているが~後日、感想をアップします~その演奏をまざまざと思い起こす、正にこの日一番の、情熱的な、感情移入と技術コントロールの冴えたバランスを展開した、圧巻の演奏だった。

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正規プログラム終了後、聴衆に感謝を伝え、アンコールとして、クララ・シューマン「3つのロマンス」から第1曲、という愛らしい曲を弾き、かかる状況下でも8割は入っていただろう、聴衆の度々の盛大な拍手をもってコンサートが終了した。

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余談だが、日下さんは「3.11」直後から、同じくベルリン在住の樫本大進さんらとともに、積極的にチャリティーコンサートを展開された。当時、皇太子殿下で、今の天皇陛下はそれをご存知で、同年だったか、陛下がベルリンをご訪問された際、現地の音楽家に謝意を伝える機会があったようで、陛下と日下さんが会話されている写真が新聞に掲載された。あれからもう10年も経過したのだけれど。

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プログラム

1.ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 Op.105

2.ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調 WoO.27

(休憩)

3.3つのロマンス Op.94

4.ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 Op.121

アンコール:クララ・シューマン「3つのロマンス」から第1曲

 

https://eplus.jp/sf/detail/3413520001

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