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2020年9月27日 (日)

久々に聴いたピアノデュオ「デュオ・グレイス」

9月27日午後、調布グリーンホールで、せんがわ劇場プロデュースのサンデー・マティネ・コンサートPlus+ Vol.19「デュオ・グレイス ピアノコンサート」を聴いた。
「デュオ・グレイス」は以前、CDを紹介したとおり、高橋多佳子さんと宮谷理香さんという、いずれも、ショパン国際コンクール5位入賞者により結成されているピアノデュオ。
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この日のコンサートは、2人のトークを交えての休憩なしの1時間強のコンサート。
調布グリーンホールは1~2階合計で1,307の座席数だが、例によって来場制限があり、300席限定のコンサート。左右3席空けだったが、その中では8割から9割近く来場あったと思う。
2人は、「満員ですね」と会場を笑わせていた。
2人にとっても久々のライブということで、感慨深い旨、何度も言及されていたし、2人の出身大学である桐朋学園大学在学中は、このホールは学内実技試験会場とのことで、そうした思い出や感想も語られていた。
なお、あくまでも話す声、ということで言えば、高橋さんはソプラノ、宮谷さんはアルト、という感じ。
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演奏曲は以下のとおりで、ソロももちろん良かったが、なんと言っても2台によるデュオのモーツァルトの「2台ピアノのためのソナタ」(第1楽章のみ)、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、アンコールのラフマニノフ「タランテラ」の演奏が迫力あり、素敵だった。
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演奏曲
1.サン=サーンス 「動物の謝肉祭」から「白鳥」
2.モーツァルト 2台ピアノのためのソナタ K.448より第一楽章
3.宮谷さんのソロで、ショパン ノクターン 遺作ハ短調
「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
4.宮谷さんのソロで、ショパン ワルツ第4番Op.34-3ヘ長調「子猫のワルツ」
5.高橋さんのソロで、ショパン ノクターン第2番Op.9-2変ホ長調
6.高橋さんのソロで、ショパン ワルツ第6番Op.64-1変ニ長調「子犬のワルツ」
7.チャイコフスキー 「くるみ割り人形」全曲(エコノム版)
アンコール
1.サン=サーンス「動物の謝肉祭」から「水族館」
2.ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲 第2番より「タランテラ」

https://www.sengawa-gekijo.jp/kouen/24102.html

2020年9月25日 (金)

やっと聴いたクァルテット・エクセルシオのライブ

9月25日夜、クァルテット・エクセルシオのコンサートを第一生命ホールで聴いた。この有名なクァルテットの存在は以前からもちろん知っていて、いつか生で聴いてみたいと思いながら、今頃になってしまった。
1994年、桐朋学園大学在学中に結成。結成25年を迎えたクァルテット・エクセルシオは、年間70公演以上を行う日本では数少ない常設の弦楽四重奏団。昨年初め、第2ヴァイオリン奏者が替わったが、他の3名は結成時以来のメンバー。女性が3名、男性が1名という構成。
活動の中で、「ラボ・エクセルシオ」と名付けた近現代曲のみを演奏するコンサートや、「クァルテット・ウィークエンド」と名付けた次世代のクァルテットを紹介共演するシリーズがあり、この日は後者。
この日の共演クァルテットは、2014に東京藝術大学在学中に結成されたタレイア・クァルテット。
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プログラムは
1曲目が、クァルテット・エクセルシオがドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番ヘ長調Op.96「アメリカ」。
2曲目が、タレイア・クァルテットによるヤナーチェクの弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」。
休憩後に、合同演奏となるニルス・ガーデ(ゲーゼ)の弦楽八重奏曲ヘ長調Op.17
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クァルテット・エクセルシオを生で初めて聴く曲が、同じくライブでは初めて聴くドヴォルザーク(1841~1904)の「アメリカ」だったので、とても楽しい思いをした。
唯一男性のチェリスト、大友肇さんの技術は素晴らしく、アンサンブルとしても、低弦という意味だけでなく、キャラ的にも、この四重奏団を支えている印象を受けた。
ヴィオラの吉田有紀子さんの音色も素敵。
ファースト・ヴァイオリンの西野ゆかさんと、昨年加入されたセカンド・ヴァイオリンの北見春菜さんはバランス良いアンサンブルで、北見さんが既に団に馴染まれているのが初聴きでも判った。
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ヤナーチェク(1854~1928)の「ないしょの手紙」は初めて聴いたが、とても面白かった。各楽章に特殊奏法による変わった音を交えていて、興味深く聴いた。とても気に入った。
プログラムの解説を読むと、なんと、ヤナーチェクは、70歳のとき、32歳の人妻と恋愛関係にあったそうだ。600通以上のラブレターも残っているという。モラルの是非はともかく、「たいしたもんだ」し、したがって、晩年のヤナーチェクの作品には、作曲のきっかけや、題材、内容等で、その「恋人」に関係したり、因む作品が少なからず有るという。なるほど、それで「ないしょの手紙」ね。どうりで、エキセントリックな音や曲想が頻出したわけだ(笑)。
タレイア・クァルテットも初めて聴いたが、若いメンバーなだけに、溌溂感と積極さを感じたし、ファースト・ヴァイオリンの山田香子さんを中心によくまとまった団だと思う。これからが楽しみ。
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ニルス・ガーデ(ゲーゼ)(1817~1890)は、デンマークの作曲家だが、年代もドヴォルザークやヤナーチェクより前の人で、この作品は1848年の作品ということもあってか、保守的な、というか、平凡な内容と言わざるを得ない曲。せっかく八重奏という構成をとっているのだから、もっと作品に工夫が欲しい。刺激的なヤナーチェクを聴いた後(休憩は挟んだが)だけに、その非凡さと凡庸さの差が際立ってしまった。
なお、演奏の構成は、タレイア・クァルテットがそれぞれのパートの1番(表)を弾くかたちで配置して演奏された。

https://www.triton-arts.net/ja/concert/2020/09/25/3210/

2020年9月21日 (月)

BCJによるバッハ ミサ曲ロ短調

バッハ・コレギウム・ジャパン(以下「BCJ」)によるバッハのミサ曲ロ短調BWV 232のコンサートを9月21日午後、所沢市民文化センター ミューズのアークホールで聴いた。
BCJは何度も拝聴しているが、今の社会状況では、オーケストラや歌手のリサイタル等は再開されている中、今、一番厳しい状況にあるのが合唱だ。私が活動している団も含めて、アマチュアの合唱団はどの団も2月あるいは3月以降、練習中止期間が長く続いていたが~練習場の確保自体が困難。貸してくれない施設が多い~ようやく団によっては、少人数で少しずつ、無理をせず練習を再開し始めている、という状況だ。
プロである東京混声合唱団と、このBCJは、工夫しながら、最近、練習だけでなく、コンサート活動を再開されたのは喜びに堪えない。前置きはここまで。
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BCJは少数精鋭団体で、この日の合唱は全員で18名。管弦楽もオルガンとチェンバロを含めて25名。これに後述する招聘歌手2名と指揮者、という構成メンバーによる演奏会。
今回の指揮者は創設者の鈴木雅明さんのご子息でもある鈴木優人さん。
歌手のソリストは、BCJの中からソプラノⅠとして澤江衣里さん、Ⅱとして松井亜希さん、アルトの布施奈緒子さんが歌われた他、来演者としてテノールの西村 悟さんとバスの加耒 徹さんが歌われた。もっとも、加耒さんは何度もBCJで歌われているので、常連メンバーみたいなもの、と言えるだろう。
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合唱団員は入場の際、マスク着用で、各人、立ち位置に着いたら外す、ということをされていた。楽屋を含めて、ちゃんと着用していますよ、ということのアピールだろうが、自主的判断なのか、ホールの要請かは知らないが、不要だと思う。外して入場でOKだ。文句を言う客などいない。
<ステージ配置について>
前述の「工夫」の大きな点は、オケがステージ最後列に横一列の広がり(もちろん間隔を取って)、合唱は指揮者とオケの間に入り、そこで二列になって、という配置。合唱各人の横空間はもちろん、一列目と二列目も大きく間隔を空けての立ち位置だった。
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<演奏スタイル>
少数ゆえ、クレンペラーやリヒターのような、ゆったり感のテンポや重厚感とは全く異なるが、かといって、ピリオド奏法全開の軽く速く流していく、ということでもない。
基本的には落ち着いたテンポにより、合唱もオケも無理のない自然の流れを生かしたテンポとアプローチ、と言える。以下、曲順に~全部ではないが~気づいた点を記しておきたい。
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<各曲>
第1部 ミサ
第2曲のChristeでのソプラノ澤江衣里さんと松井亜希さんによるデュオは、大ホールゆえ、声量的に大変だったと思うし~しかも、開演前のアナウンスで、ドアの一部を少し開ける旨あったように、密閉でのホールほど響が集まっていない感じがした~そうした中、それでも、チェンバロの音にフィットするかのような清々しくも芯のあるデュオだった。
第3曲のKyrieがとても充実していた。
第6曲のLaudamus teは、松井さんのソロ。比較的低音域で書かれた楽譜だし、シンコペーションの多い難しい曲だが、アーティキュレーションを工夫されて、よく歌われていた。
第7曲のGratias agimus tibiは、第1部での合唱では最も充実して聴こえた。この曲と同じパターン(流れ)の曲として、最終曲27のDona nobis pacemで再度登場した際も、とても良かった。
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第8曲のテナーとソプラノソロによるデュオ。ソプラノの澤江さんは何度も拝聴し、個人的にも親しくさせていただいて、その清らかな声は十分承知しているし、2曲目と同じく素敵だったが、今回の注目はテナーの西村 悟さんだ。これまで、オペラアリアや、メンデルスゾーンの「讃歌」など、ドラマティックな曲は何度も拝聴し、大好きなテナーだが、西村さんのバッハを聴くのは初めてで、意外さを越えて、とても素晴らしい歌唱に驚いた。西村さんについては、第24曲ソロで再度言及したい。この曲でのフルートはとても良かった。
第10曲の、素敵なオーボエ・ダモーレに乗ってQui sedesを歌われた布施奈緒子さんは格調高く、とても充実した歌唱をされた。感動した人は多かっただろうと想像できる。
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第11曲。この日、一番問題を感じたのはこの曲。
まず、コルノ・ダ・カッチャ、という、旧式ホルンでの演奏は難しそうで、音程が不安定な場面が散見された。モダン楽器でやってもよかったのではないか、と思った。
次に、歌のソロは「バス」と表示されている。多くの録音では、バリトンとバスの2人を起用し、比較的、高い音域で書かれた第19曲をバリトンが歌い、この第11曲はバスが歌う、としている演奏が多い。
例えば、クレンペラー盤では、第11曲はバスのフランツ・クラスが歌い、第19曲はバリトンのヘルマン・プライが歌っている。
今回は2曲とも加耒 徹さんが歌われたのだが、この第11曲は低音域に音符が相当在るので、加耒さんには少々荷が重たかったかなあ、という印象は拭えなかった。
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第2部 ニケーア信条(クレド)
冒頭の第13曲、続く第14曲とも合唱はとても良かった。美しいトーンが印象的。
第15曲の松井さんと布施さんによるデュオは、2人の違うトーンが絶妙に交差しながらの、とても魅力的な歌唱だった。
第17曲では、ゆったりしたテンポの中での「Cru」の部分のアクセント(子音強調)が印象的。
第18曲での合唱は溌溂として良かったが、74小節目から84小節までのバスパートソロは、加耒さんが入るのではなく、合唱のバスパートが歌って欲しかった。合唱の実力がモロに出る部分なので。
第19曲のバスソロは、第11曲で書いたとおり、バリトン音域で書かれているので、加耒さんのトーンと音域がよくハマって、とても素敵だった。
第20曲から21曲の合唱はとても素晴らしかった。
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第3部のサンクトスと第4部のオザンナ他での合唱はいずれも充実していた。
ソロでは、まず、第24曲でのテナーソロ。第8曲で記載のとおり、西村さんが本当に素晴らしく、この日の大きな収穫は西村さんのバッハが聴けたこと。いつか、西村さんが歌う「マタイ」のエヴァンゲリストを聴いてみたいものだ、と思った。
第26曲のアルトソロの曲は、曲が素晴らしい。「マタイ」にも素晴らしいアルトのソロがあるが、あの曲とこの第24曲Agnus Deiは、バッハのソロ曲の中でも極めて印象的で、感動的な曲だ。布施さんはじっくりと丁寧に歌い、聴衆を魅了した。
最終第27曲Dona nobis pacemは、第7曲で書いたとおり、とても充実した合唱で、終曲を締めくくるに相応しい演奏だった。
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最後になってしまったが、もちろん素晴らしかったのは合唱だけではなく、ヴァイオリン・ソロ、フルート(フラウト・トラヴェルソ)、オーボエ・ダモーレのソロやデュオ、オルガンとチェンバロを含めて、オケの皆さんはとても良かった。大きな拍手を送りたい。
そして、その全体を束ねて、快活で温かく爽やかな演奏を引き出した指揮者の鈴木優人さんに大きな拍手を送りたい。

http://www.muse-tokorozawa.or.jp/event/detail/20200921/

2020年9月13日 (日)

大坂なおみさん~人種差別への抗議を続けながらのアメリカでの優勝

スポーツの舞台での政治的な行動に、賛否の声があるのも確かの中、それでも、なおみさんは言う。
「選手は発言をする度にスポンサーを失うことを恐れています。私にとってはそれは本当にそう。スポンサーがほとんど日本なので。彼らは私が何について話しているかわからず、動揺していたかもしれない。でも何が正しいのか、何が重要なのか話さなければならない時期がくる。テニスは大多数が白人のスポーツ。自分が代表者のように感じている。負けてはいけないように感じる時もある。でもそれはとても大きな誇りの源」。
「私のマスクをみて話し合いが起きて欲しい。色んな人がこのことを話題にしてくれたら」として、今大会、大坂選手が着用した全7枚のマスクにプリントされた名前と状況
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◇1回戦~ブレオナ・テーラーさん
今年3月、ケンタッキー州で薬物事件捜査の警官に自宅に踏み込まれて射殺された黒人女性。事件とは無関係とみられている。
◇2回戦~エリジャ・マクレーンさん
昨年8月、コロラド州で警官に押さえつけられ、その後に病院で亡くなった黒人男性。
◇3回戦~アマード・アーベリーさん
今年2月にジョージア州でジョギング中、白人男性にトラックで追い掛け回されて射殺された黒人男性。
◇4回戦~トレイボン・マーティンさん
2012年2月にフロリダ州で自警団員に射殺された当時17歳の黒人男性。「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」運動の始まりに。
◇準々決勝~ジョージ・フロイドさん
今年5月にミネソタ州で警官に首を地面に押さえつけられて死亡した黒人男性。現在における抗議運動拡大のきっかけとなった。
◇準決勝~フィランド・キャスティルさん
2016年に警官に車の停止を命じられた後、取り調べ中に射殺された黒人男性。この試合の勝利で、マスクをすべて披露できることに。
◇決勝~タミル・ライスさん
2014年に射殺された当時12歳の黒人の少年。模造銃を手に歩いていたところ、急停止してきたパトカーから出てきた警官に打たれた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e0d71f0f36cbf5036f6b83d5c736eb1639b9a32

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大坂なおみ選手も棄権 黒人銃撃で米スポーツ界に抗議広がる
https://news.yahoo.co.jp/articles/3324cd277cee5a5072a54c4feea358950c0f0295

テニス 全米OP前哨戦が1日延期。黒人銃撃への抗議で
「私はアスリートになる前は黒人女性です。また、黒人女性としては、テニスをしているのを見るよりも、すぐに気をつけなければならない重要な事柄があるように感じます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/7594a49c6178e0d9c01fe666c74bee64a24780ea

大坂なおみが準決勝棄権、黒人銃撃に抗議
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6369403

NBAと大リーグ、選手が試合ボイコット-警察の黒人男性銃撃に抗議
https://news.yahoo.co.jp/articles/57122d2e75ea8cb73a6aa174e5590e25e42e9f3d

2020年9月11日 (金)

小川里美さん&与那城 敬さんデュオコンサート

9月11日夜、白寿ホールにてソプラノの小川里美さんとバリトンの与那城 敬さんによる「いま、歌いたい歌」と題されたデュオコンサートを聴いた。ピアノは与那城さんのCDアルバムでも弾いている巨瀬励起(こせ れいき)さん。与那城さんが2月下旬以来、小川さんと巨瀬さんも3月以来の久々のステージとのことで、アーティストの皆さんが置かれた状況をあらためて来場者は感じ取る次第。
演奏曲と歌われた歌手は以下のとおりで、それも素晴らしかったが、後半2曲目の「椿姫」のジェルモンとヴィオレッタの二重唱 “天使のように清らかな娘が”は圧巻だった。
曲で面白かったのは、團伊玖磨さんの「舟歌(片戀)」で、ピアノパートも含めて作曲の達人たる内容を提示していたし、小川さんの歌唱も素晴らしかった。中田喜直さんの「サルビア」も情熱的な曲で素晴らしい。
与那城さんが歌われたR・シュトラウスの「献呈」は曲といい、歌唱といい、本当に見事で感動した。
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1.シューマン「献呈」  詩=リュッケルト 歌=小川さん
2.グリーグ 「君を愛す」詩=アンデルセン 歌=与那城さん
3.アルマ・マーラー「森の喜び」詩=デーメル 歌=小川さん
4.R・シュトラウス「献呈」詩=ギルム 歌=与那城さん
5.中田喜直「夏の思い出」詩=江間章子 歌=与那城さん
6.山田耕筰「かやの木山の」詩=北原白秋 歌=与那城さん
7.高田三郎「くちなし」 詩=高野喜久雄 歌=小川さん
8.團伊玖磨「舟歌(片戀)」 詩=北原白秋 歌=小川さん
9.團伊玖磨「ひぐらし」 詩=北山冬一郎 歌=与那城さん
10. 中田喜直「サルビア」 詩=堀内幸枝  歌=小川さん
 (休憩)
11. ヴェルディ 「椿姫」より “プロヴァンスの陸と海”
    歌=与那城さん
12. ヴェルディ 「椿姫」より
二重唱 “天使のように清らかな娘が”
13. 巨瀬さんのピアノソロで
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
14. ヴェルディ 「イル・トロヴァトーレ」より
   「穏やかな夜」 歌=小川さん
15. ヴェルディ 「イル・トロヴァトーレ」より
二重唱 “私の願いを聞いてください”
アンコール
メリー・ウィドウ「唇は語らずとも」

ヘンリー・パーセルプロジェクト~様々なアンセム

9月11日午後、新大久保の日本福音ルーテル東京教会で、「PURCELL PROJECT 2020 様々なアンセム~パーセルの音楽と共に歩む~」と題されたコンサートを聴いた。以前からこのプロジェクトのことは知っていたが、私が拝聴するのは初めて。15時と19時の二部制で、私が聴いたのは15時開始のもの。
パーセル・プロジェクトは2009年秋、ヘンリー・パーセル(1659~1695)の生誕350年を機に、その作品演奏を目的として、国内外の主要な古楽団体に参加するプロの歌手と器楽奏者たちが集結し、発足。以来、「声楽芸術の結晶」と言われるパーセルの声楽作品を、定期的に公演して来ている。
2019年は生誕360年、アンサンブル発足から10周年を記念して、歌劇「アーサー王」が再演された。
なお、「アンセム」とは楽曲形態を言い、「フル・アンセム」と「ヴァース・アンセム」に分かれ、パーセルは後者である、合唱とオルガン伴奏を伴うソロ部分が交互に現れるものが多い。
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日本福音ルーテル東京教会自体初めてだったが、比較的広い教会の中での、プロ歌手たちによるユニットの歌声は清らかで心洗われる思いがした。出演者と演奏曲は以下のとおり。
(出演者)
ソプラノ:澤江衣里、藤崎美苗
アルト:布施奈緒子、青木洋也(カウンターテナー)
テノール:石川洋人、中嶋克彦
バス:藤井大輔、加耒 徹
オルガン:山縣万里
(演奏曲)
1.O God, thou art my God Z.35 おお神よ、あなたは私の神です
2.O God, the King of Glory Z.34 栄光の王なる神よ
3.Man that is born of a woman Z.27 人は女から生まれ
4.O Lord our Governor, Z.37 主よ、私たちの統治者よ
(休憩)
5.Beati omnes qui timent dominum Z.131
幸なるかな、主を畏れるもの全ては
6.Jehova, quam multi sunt hostes mei Z.135
エホバよ、私の敵はなんと多いことか
7.Thy righteousness, o God Z.59 神よ、あなたの義はとても高い
8.Lord, who can tell how oft he offendeth? Z.26
主よ、どれほどの罪を犯したか、誰が答えられましょうか
9.I will sing unto the Lord as long as I live, Z.22
私は主に向かって歌いましょう
アンコール
I was glad when they said unto me, o Lord
 私は嬉しかった、彼らがこう私に語りかけたとき

2020年9月 8日 (火)

小川典子さんのラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番と第3番

オーワイン・アーウェル・ヒューズ指揮 マルメ交響楽団との共演で1997年5月録音なので、別途ご紹介したチャイコフスキーとプロコフィエフ3番の協奏曲初録音から8年が経過している。粒立ちの良い流れという点は変わらないが、でも違う。その1つ1つの音に、しっとりとした潤いがいつも在る。
もちろん曲が違う、という決定的な違いはあるし、年齢の違いということもあるかもしれないが、それだけでは説明できないように想える。大きな質感の違い。単に成長という言葉では言いくくれない変化を感じる。
2曲とも、各楽章を含めて、全体として、ゆったりとしたテンポを設定した演奏。この間、武満徹を含めてレパートリーが多彩になったことも関係しているだろう。2番の第2楽章など、感涙さえ覚える。もちろん、2番と3番のそれぞれの終楽章における技術的冴えは申し分ない。
この2曲の演奏で強く感じることは、小川さんが「憧れの人に出会えた」という喜びを感じながら演奏しているに違いない、ということだ。聴く側も、その演奏を抱きしめたいと思うほどの愛おしさを感じさせる感動的な演奏なのだ。
言い換えれば、小川さんの「広大なロシアの大地とラフマニノフに対する憧れからのラブレター」であり、小川さんの曲に対する憧れがそのまま演奏に表れている、と思う。
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小川さんは、2番と3番に関する逸話をライナーノーツで紹介している。
2番に関しては、8歳のとき、両親に、「これほどまでに難しい曲を人間が手を使って弾くのは無理、きっと何がしかの機械が手伝ってくれているのだと思う」と「力説した」、という微笑ましい逸話が紹介されている。「まさか、自分の手を使って、本当にその曲を弾く日が来るとは夢にも想像せずに」、と続けながら。
3番に関しては、後年、ジュリアード音楽院で学んでいるとき、「優秀なスター学生たちが3番を大変な迫力で勉強していた。友人が自慢気に開いたその楽譜は、目も眩むような複雑さ。この曲は、私は一生鑑賞する側でいよう、とその時、心に決めたつもりだった。(中略)その後、数々の名演に触れ、ますます憧れるようになり、どうしても自分で弾かずにはいられなくなった」。
そして、「今回この2曲を録音する機会に恵まれたことに、私は今、心から感謝している」。
こうした長年の憧れと感謝に溢れた素晴らしい演奏である。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%8E%E3%83%95%EF%BC%9A%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2-%E7%AC%AC2%E7%95%AA-3%E7%95%AA-Rachmaninov-Piano-Concertos-Nos/dp/B0000266U6/ref=pd_lpo_15_t_0/356-9140695-3169415?_encoding=UTF8&pd_rd_i=B0000266U6&pd_rd_r=7492ca33-6e92-47c6-8c5e-8fc11db79eb3&pd_rd_w=PIjzV&pd_rd_wg=a0NqP&pf_rd_p=4b55d259-ebf0-4306-905a-7762d1b93740&pf_rd_r=FAPM7ACTXWDBEHB8P846&psc=1&refRID=FAPM7ACTXWDBEHB8P846

2020年9月 1日 (火)

田部京子さんベートーヴェンの協奏曲2曲を弾く

ただし、1曲は何番というのではなく、ベートーヴェン自身がヴァイオリン協奏曲を自分でピアノ演奏用に編曲した曲だ。
もう1曲は「皇帝」。
9月1日夜、サントリーホールで、飯森範親指揮、東京交響団の共演による2曲だけの演奏会を聴いた。本来は今年5月2日(土)の午後に予定されていたコンサートの延期公演。
オケの弦はマスクをしていたが、指揮者と田部さんはさすがにもうナシ。当然だ。なお、6月に聴いた東響の再開後初ステージは、コントラバス3人に象徴される小編成での公演だったが、この日はコントラバスが5人で、他の弦は第1ヴァイオリンが12人(6プルト)、第2ヴァイオリンが10人(5プルト)、ヴィオラが8人(4プルト)、チェロが6人(3プルト)、と、だいぶ普通の編成に近くなっていた。
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1曲目=ピアノ協奏曲ニ長調
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、ライブと録音とで、私は多分30人以上のヴァイオリニストの演奏で楽しんで来ているが、ベートーヴェン自身がピアノ協奏曲として編曲しての演奏は、比較的最近、ゲルハルト・オピッツで聴いたくらいだ。以前はバレンボイムなど、ごく少数の人が録音していたようなので、聴いたことがある人も一定数はいるだろうけれど。
ベートーヴェンにこの編曲を依頼したムツィオ・クレメンティ(1752~1832)は、14歳以降をイギリスで過ごし、作曲、ピアニスト、指揮者、教育者、楽譜出版者、ピアノ製作者など、幅広く活動した人とのこと。1807年に完成している。
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右手がヴァイオリンの旋律とほぼ同じで、左手でアルペジオだったり、ユニゾンだったり等々、工夫(飾り)がなされている、と言えば、ほぼ想像していただけると思う。もちろん、右手とヴァイオリンの旋律は全く同じではなく、例えば、原曲では3連符なのに、ピアノ編曲では16分音符 だったり、ということは少なからず散在する。
思いのほか違和感はなく、ベートーヴェンゆえ、よくできているし、原曲に無い、独自性を加えてもいる。その顕著な例が第1楽章のカデンツァで、ここでは、ティンパニとのデュオ的な掛け合いがなされるなど、面白い部分だ。第2楽章から第3楽章に移行する部分(繋ぎ)もそうだし、様々な工夫がなされ、決して「原曲をピアノ(の右手)に置き換えて弾いているに過ぎない、という曲ではない」。
ユニークで面白い曲を田部さんは見事に弾いた。
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休憩後の「皇帝」
前半でのD dur=ニ長調のサウンドがまだ頭の中というか耳の中に残っている段階での、Es dur=変ホ長調の和音がステージに拡がる。そうそう、半音高い「だけ」なのに、なんとう「違い」だろう。調性と曲の関係性という今更ながらの強い要因を思う。
第1楽章では、田部さんは曲想の場面では割と細かくテンポを変えていたのが印象的だった。マルティン・ジークハルト指揮、リンツ・ブルックナー管弦楽団との共演で2000年4月に録音した演奏では、とりわけ第2楽章が名演だったが、この日も第2楽章は、ゆったりと設定されたテンポの中で、思索的にして端正な、弱音を大事にした美しい演奏だった。
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だがこの日、この曲で一番感動したのは第3楽章だった。録音では割とガッシリと慌てず丁寧に几帳面に弾いているのだが、この日の田部さんは「攻め」の第3楽章だった。テンポも録音よりずっと速く、一気呵成に近いくらい、アグレッシブな演奏で素晴らしかった。
格調高く端正な田部さんも素敵だが、「攻める」田部さん、アグレッシブな田部さんも実に素晴らしい。
なお、この第2楽章から第3楽章に移行する部分は、ホルン奏者にとっては「地獄」で、2人でとはいえ、長いロングトーンが必要になる部分。東響のホルニストは頑張っていたが、ピアノが第3楽章のテーマを弾く直前に少しアクセントが付いてしまったのは惜しかった。
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数回のカーテンコールの後、田部さんはアンコールを1曲弾かれた。田部さんはアンコールを選曲する際、そのコンサートに何かしらの関連性を考えて選ぶのが田部さんらしくて素晴らしい。例えば、6月にベートーヴェンの第3番を弾いた際は、休憩後のオケによるコンサート最終曲がメンデルスゾーンの「スコットランド」だったことを考えて、メンデルスゾーンの無言歌集第2集から「ベネツィアの小舟」を弾かれたのだった。
この日、「皇帝」の後だと何を選ぶのだろうか、と思ったら、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調の第3楽章「メヌエット」。そう、「皇帝」とEs dur 繋がりを選んだわけだ。しかも、第18番はリズム等がユニークな曲で、「メヌエット」も強弱等に工夫がさされているので、ベートーヴェンの中ではあまり弾かれないながら、聴くと「面白い」と思う曲なので、「ナイスな選曲」で、サスガ田部さんだ。

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