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2020年6月27日 (土)

IT力の無い国

この国のIT力の乏しさ
河井克行容疑者は、PC内に保管した地方議員名と金額のリストを削除していたそうだが、今やデジタルフォレンジックという技術で、ほどんどのデータは復元できることを知らないのだろうか? この国の政治家のIT知識の乏しさは、今回のコロナ禍で浮き彫りになったIT後進国という現実と、形式的官僚統制というこの国の実情を象徴している。
台湾では、39歳のデジタル担当政務委員(大臣)のオードリー・タン(唐鳳)氏が今年2月、米国の外交政策研究季刊誌『Foreign Policy』に「世界の頭脳百人」にも選ばれただけでなく、新型コロナウイルスの対策として、マスクの在庫が一目でわかるアプリのプログラムを開発した。正に「その道のプロの政治家」だ。
我が国にはその道のプロが大臣になっているとはとても言えず、むしろ当選回数序列という派閥の論理だけで選ばれるトウシロばかりが大臣になってきている。
少し前は、桜田義孝という当時69歳の五輪担当大臣兼サイバーセキュリティ担当大臣が「自分でPCを使ったりはしない」と発言して海外をも驚かせ、某海外メディアから、「ハッカーに攻撃されない、という点で、最強のサイバーセキュリティ担当大臣だ」、と強烈に皮肉られた。
現職で79歳の竹本直一IT担当大臣は、「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(はんこ議連)の会長も務めている。年齢はともかく、ITとハンコ文化の担当を同時に担えるとはたいしたものだ、と皮肉を言いたい。

2020年6月26日 (金)

東京交響楽団と田部京子さんによるコンサートライブを堪能

いったい何日ぶりのコンサートだろうか? 何日というより、3か月ぶり位だろう。26日(金)夜、サントリーホールで東京交響楽団の第681回定期演奏会を聴いた。客を入れての、フルオーケストラによる大ホールでの演奏会は、恐らく全国初めてか、それに近いくらいの状況に違いない。 直接的なきっかけ、というか、情報入手源は、ファンクラブの事務局員をさせていただいているピアニスト田部京子さんがベートーヴェンの協奏曲第3番を弾かれる、ということにあった。 このコンサートは、当初、スダーン指揮での3曲、その内のベートーヴェンのピアノ協奏曲はバルナタンというピアニストが演奏する予定だったのだが、2人とも昨今の状況で出国(来日)ができなくなったことから、急きょ、プログラムはそのままで、指揮が飯守泰次郎さん、ピアノが田部京子さんが代演して開催される、という、田部さんファンにとっては嬉しいニュースだった。 それでも、その公表段階では、昨今の状況から、入場者数減数のため完売扱いになっていたのだが、急きょ数日前に100枚くらいだろうか、オンライン限定追加販売が開始されたため、幸運にも入手できた次第。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 当然、未だ「普通のコンサート」とは色々な面で随分と異なっていた。客席は1席空けての数としていたし、空席も多少あったが、それでも目算では8割近くは来場されたのではないか? 1席ずつ空けての8割だから、「実数は4割位の入り」だが、それでも現下の状況では「大入り」と言ってよいのではないか。オケやホールにとって、4割の入りでは収益的には厳しいだろうが、ゼロよりは良いに決まっている。とにかく、まずは第一歩の開始であり、一歩一歩進めていくしかない。 当然ながら全員マスク着装済の聴衆は、まずホール入口で消毒液を手にするが、消毒ボトルは「指押し」ではなく、なんと、足(つま先)で踏むと消毒液が出る、というもの。「指押し」を気にする人にも配慮した徹底ぶり。チケットは係員が目視で確認後、客が自ら半券をもぎり、半券を箱に入れる。プログラも係員が手渡しするのではなく、テーブルに置いてあるプログラムを客が自分で取得して、客席に入場。 場内アナウンスでは色々な注意点が言及されたが、その最後に「ブラボーなどの掛け声はお控えください」というのがあった。 このように、演奏前の段階で、係員の状況も含めて、会場には一種独特の期待感と緊張感が漂う雰囲気だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ オケの入場。管以外、弦もパーカスも全員マスク着装。弦は人数を減らしている。いつもより間隔を広くとる関係だから、やむを得ないというか必然的措置だろう。恐らく今後、コンマスや首席奏者以外は交代制で出るようにするのではないか?と想像できる。3曲目の「スコットランド」でも、コントラバスは3人だけだった。 さて、私はいつものように淡白に軽く拍手していたが、コンマス入場後も客席からは大きな拍手が続いていたので、コンマスの合図でオケ全員が客席にお辞儀。これには淡白な私でも、さすがにちょっと泣きそうになった。それと、今回ほど管楽器奏者が羨ましいと思ったことはない。なぜって、「マスクしていたら、吹けないでしょ」と言わんばかりに、堂々と「普通に着座している」わけだから。確かにその通りだ。 今年の9月で80歳になられる飯守泰次郎さんが入場。マスクをされている。 1曲目のベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲。オケの練習不足などは全く感じさせない、充実した美しい響。途中、一瞬、高弦と低弦の間で0.05秒位の誤差を感じたが、気のせいかもしれないし、そうでないのなら、奏者間の広さ(遠さ)ゆえの「一瞬」だったかもしれない。でも良い演奏。もちろん、演奏前も後も、指揮者とコンマスは「握手なし」。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ さて、そうなると、2曲目で、田部さんはマスクを付けるかどうか? に関心が向かう中、田部さんがマスクを付けて登場。近くにいる指揮者と弦がマスクを付けているのだから、ピアノのソリストは弾くときくらい外してもよい、と思うが、そこは真面目な田部さん、というところか。それでも間違いなく「弾き難い」と思う。鍵盤と指と視線との間の、いつもは存在しない「異物」。そして何より、歌手や合唱はもちろん、器楽奏者だって「ブレス」が重要だからだ。生理的な息継ぎだけでなく、演奏に必要なブレッシングが、今までとは全く違った「邪魔者」を伴う状態(状況)で行わなければならない。演奏に支障をきたさねばよいが、などと演奏前に思ったが、結果、それは私のような素人の杞憂に過ぎなかった。 そこは田部さんだ。いかなる条件下でも、サントリーホールで聴衆を前に、オケとコンチェルトを弾く、という状況にあっても、マスクというアクシデント的要因など何も無いかのように素晴らしい演奏をやってのけた。これこそ「第一級のピアニストの為せる業」というものだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ とりわけ、第一楽章が充実しており、ロマン派の曲程のアゴーギクは少ないながら、フレージングの曲想によって、テヌートやアクセントを置き、芯のある音で重厚に響かせたかと思うと、軽やかなパッセージで進めて行く。その配分の絶妙さは正に「大人の演奏」。 ベートーヴェンの中では比較的「安易な曲」かもしれないが、田部さんが弾くと「曲そのものの素晴らしさ」を提示し、その世界を開いて見せてくれるのだ。 田部さんはモーツァルトの協奏曲で、自ら幾つかのカデンツァを書いている(作曲している)が、今回、この曲でのカデンツァも多分、田部さんによるものだと思う。割りと長大で、ベートーヴェン的というよりは、得意のシューベルトの曲想を思わせたりもするが、オケに繋いでいく部分も含めて、とても良く出来ている。贔屓目抜きに、このカデンツァ自体、立派な作品だと思う。 追記:カデンツァはベートーヴェン自身の作かもしれません。折を見て確認します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 美しい第2楽章では、内省的ではあるが、オケに埋もれるような曖昧さはなく、しっかりと明瞭なタッチで抒情性を紡ぎ出していた。続く第3楽章は、軽快な楽章であっても、ロマン派のような音域や厚みを奏でるわけではないので、ともすれば音量的にオケと対等でいるに苦労するような気がする楽章だが、終始、ソリストとしてオケをリードするが如く推進力のある演奏で終始した。 「ブラボーなど」とあったので、「ブラーヴァ」とか「ブラヴィッシモ」などとも誰も言えないまでも、盛大な拍手が起きたことは言うまでもない。3回のカーテンコールでも拍手は鳴り止まず、これはアンコールを弾くしかないでしょ、という雰囲気になり、田部さんが弾いたのはメンデルスゾーンの無言歌集第2集から「ベネツィアの小舟」。もの悲しい曲想にして抒情性ある曲をしっとりと聴かせてくれた。 なお、コンサート後に普段は掲示されるアンコール曲の周知掲示板が無かったのは、「密集」を避けるためだろうが、ちょっと警戒し過ぎだ。電車の中のが、よほど密集時間は長くなってきているのだから。 それはともかく、演奏後はさすがに田部さんにお会いできなかったが、今度お会いしたときは、「マスクをしたままでの演奏はどんな感じでしたか?」とお尋ねしようと思う。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 休憩後は、メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。 若いころは、第4番「イタリア」を好んで聴いていたが、ここ10年くらいは「スコットランド」も大好きになった。本当に良い曲。私は演奏経験もある。 飯守さんの指揮は、3曲全て素晴らしく、協奏曲でも弦の充実した響と秀逸なアンサンブルで田部さんをサポートしていたのだが、この3番でも、第1楽章の哀愁、第2楽章の軽快さ、第4楽章の鋭さと穏やかさを兼ね備えたバランスの良い推進力など、素晴らしい演奏を繰り広げてくれて見事だった。 終演後も、多くが頭上に手を上げて拍手している聴衆に、飯守さんはホールの各フロアに体を向いて拍手に応え、感謝の意を両腕両手で終始示されていた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4回か5回のカーテンコールの後、コンマスの合図でオケ全員が一礼してステージを去っていったのだが、なんと、奏者が全員いなくなるまで、客席からは大きな拍手が続いた。合唱の演奏会ではよくあることだが、オケの演奏会ではプロアマ問わず珍しいこと。それだけ「特別な演奏会」だったのだ、ということを演奏者はもちろん、聴衆の誰もが感じて来場した、その証としての長く盛大な拍手だった。「ブラボー」は禁じられていたから無かったけれど。 そうそう、思い出した。協奏曲も交響曲も、普段は有りがちな「楽章間での咳払い」がほぼ皆無だったのも、昨今の状況、人々の心理とマナーをそのまま示していた。 ステージから奏者が去った後もまだ拍手が続いていたので、飯守さんとコンマスがソデに登場して応え、これをもって完全にお開きとなった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 演奏開始前に、場内アナウンスで、「お帰りの際は、「時間差退館」にご協力ください」とあったので、3曲が終わり、カーテンコールの中、急いで帰る人も数人いたが、ほとんどの人は静かに着席したまま待機していた。そして、係員の指示(合図)に従って、2階、1階後方部、中間部、前方部の順で退席していったのだった。こういうシーンに遭遇すると、あらためて、「日本人って、なんてお行儀が良いのだろう」と感心してしまう。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ まだしばらくは「普通のコンサート」に戻るまで難しい状況が続くだろうけれど、それでも、この日のコンサートはその前進のための意義ある第一歩と言える重要なコンサートであったと思うし、そのコンサートに出演され、素晴らしい演奏を披露された田部京子さんのファンであることを、この日ほど誇らしく思ったことはなかった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 同じプログラムによる、28日のミューザ川崎での演奏は無料ライブ配信されるので、まだまだ楽しみが続く。 無料配信6月28日午後2時開演 https://ch.nicovideo.jp/tokyosymphony ・・・・・・・・・・・・ 曲目: ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲op.43 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番ハ短調op.37 メンデルスゾーン/交響曲第3番イ短調op.56「スコットランド」 ピアノ:田部京子 指揮:飯守泰次郎

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