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2020年2月14日 (金)

大槻孝志さん&小林由佳さん in HAKUJU

大槻孝志さん&小林由佳さん「コスモポリタンな音楽晩餐会」

14日(金)夜、テノールの大槻孝志さんとメゾソプラノの小林由佳さんによる「五感で愉しむ音Bistro♪~『コスモポリタンな音楽晩餐会』」と題されたコンサートをHAKUJUホールで聴いた。これは同ホール主催Hakujuサロン・コンサート-Vol.5-でもある。

素晴らしいコンサートだった。企画の素晴らしさと演奏の素晴らしさの完全合体。面白さ楽しさとハイレベルの合体。前半は2人がシェフ衣装で、「前菜~日本」、「副菜~ドイツ」、「主菜~イタリア」として、それぞれの国の合計12の歌曲が歌われ、2曲のピアノ曲が演奏された。ピアノは松本和将さん。

休憩に入る前は、「お口直しタイム」と題して、「後半は着替えるので、(この姿の)客席からの写真撮影OKです」とし、後半登場するヴァイオリンの上里はな子さんを加えた4人が用意したプレゼントを、4人がクジ引きして(席番号)当たった来場者にプレゼントするというコーナーが設けられた。これもユニークな設定の1つ。

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休憩後の後半は、ヴァイオリンの上里はな子さんが加わり、「各国ア・ラ・カルト」として<フランス>.<ロシア>、<スペイン&アルゼンチン>、<アメリカ>として、歌曲、ヴァイオリン曲等、合計11曲が演奏された。

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大槻さんの声は正統派テナーの美声だが、太さというか「芯」のある声が、詩の中身と融和して響き、客席に真っ直ぐに伝わってきて素晴らしい。ヴォルフでのドイツ語の発音の明瞭さ、リストでのイタリア語での温かさ、ドビュッシーとプーランクでのフランス語のニュアンス感の素晴らしさ。

迫力ある声量という点では、ラフマニノフの「歌うな、美しい人よ」が圧巻だった。この日の白眉と言える。

そして、どうしても歌いたかったという「ポル・ウナ・カベサ」では迫力だけでなく、「この歌が大好きでたまらないのです」という気持ちがストレートに伝わってきて感動的だった。歌われる前の、作曲者ガルデルに関しての解説も勉強になった。

曲での「発見」はラフマニノフの他、ドビュッシーの「星の夜」がとても気に入った。素敵な曲だ。

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何度も聴かせていただいている小林由佳さんは、メゾといっても明るいトーンで、ソプラノに近い印象をいつも受ける。なので、マスカーニの「アヴェ・マリア」では余裕の歌い回しだったし、「忘れな草」での最後のロングトーンは素晴らしく、大きな拍手が起きた。

私がこの日、由佳さんの歌で「最高」と感じたのは「グラナダ」。歌う前、由佳さんは「テノールとの(一緒の)コンサートで、私が歌うのもどうかと思いますが」と聴衆を笑わせたが、どうしてどうして、テナーソロにも負けない魅力的な歌唱だった。以前も拝聴したことがあり感心したが、今回はとりわけ見事だった。

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正規プログラム最後の「スマイル」の前、大槻さんから「チャップリン好きだ」として~私も大好き~チャップリンが社会問題を題材に映画を創ったこと、楽譜は読めなかったが、美しい音楽を作曲したこと等の紹介があったのが良かったし、演奏も、森田花央里さんのアレンジも含めて、とても良かった。

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ここで、「前菜」の日本語歌曲についても少し触れたい。前述では全く触れていないのには理由がある。今回も、大槻さん、小林さんという名歌手をもってしても、いや、優秀な歌手であるからこそ余計に感じたのは、「西洋の曲での発声により日本語歌曲歌うときの難しさ」というような事だ。違和感とまでは言わないが、聴いていてどうしても「難しそうだな」と感じてしまう。明瞭で朗々と歌う発声と、日本語の持つ内省的な質感との融合、というような点に難しい問題があるのかもしれない。この点に関しては、私自身、もっと勉強し、考えていきたい点でもある。

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ピアノの松本和将さんは久々に聴いたが、リズム感の素晴らしさと音量の充実度が素晴らしく、躍動感があって見事だった。ソロでは特に「リゴレット・パラフレーズ」での技巧冴えわたる圧巻だったし、「ポル・ウナ・カベサ」では、良い意味での「伴奏を超えた演奏」で大槻さんを引き立てたのだった。

ヴァイオリンの上里はな子さんは初めて聴いたが、端正にしてツボを押さえた立派な演奏だったし、とりわけ、「ポル・ウナ・カベサ」とアンコール「蘇州夜曲」での抒情性が良かった。

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そのアンコールは「コスモポリタン」を継続し、「蘇州夜曲」が4人全員で演奏された。演奏前には、大槻さんから李香蘭(山口淑子)さんとこの曲のことが紹介された。演奏は「しっとり感」と素晴らしく、森田花央里さんのアレンジも素敵だった。

こうして、ゴージャスにして盛りだくさんの、休憩含めて2時間30分近い、充実したコンサートが終わった。素晴らしかった。

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演奏曲

~前菜~ <日本>

1.おんがく~木下牧子作曲 詩=まど・みちお by 小林さん

2.竹とんぼに~木下牧子作曲 詩=岸田衿子 by 小林さん

3.川~信長貴富作曲 詩=谷川俊太郎 by 大槻さん

4.月の光に与えて~木下牧子作曲 詩=立原道造 by 大槻さん

~副菜~ <ドイツ>

5.シューマン歌曲集「ミルテの花 op.25より第9曲“ズライカの歌”

by 小林さん

6.シューマン「リートと歌」第2集op.51より第5曲“愛の歌”

by 小林さん

7.ピアノソロで シューマン「子供の情景」op.15より

第1曲“見知らぬ国と人びとから” by 松本さん

8.ヴォルフ「メーリケ詩集」より第9曲“つきることのない愛”

by 大槻さん

9.ヴォルフ「メーリケ詩集」より第36曲 “さようなら”

by 大槻さん

~主菜~ <イタリア>

  1. ピアノソロで リスト「リゴレット・パラフレーズ」

S.434 / R.267 by 松本さん

  1. マスカーニ「アヴェ・マリア」 by 小林さん
  2. ドナウディ「限りなく優雅な絵姿」 by 大槻さん
  3. デ・クルティス「忘れな草」 by 小林さん
  4. リスト「私はこの地上で天使の姿を見た」 by 大槻さん

~お口直しタイム~として、写真撮影自由の、

出演者4人が用意したプレゼント抽選コーナー

(休憩)

~各国ア・ラ・カルト~

<フランス>

  1. ヴァイオリンソロで マスネ「タイスの瞑想曲」 by 上里さん
  2. ドビュッシー「星の夜」 by 大槻さん
  3. サティ「あなたが欲しい(ジュ・トゥ・ヴ) by 小林さん
  4. プーランク「モンパルナス」 by 大槻さん
  5. プーランク(編曲=森田花央里)「愛の小径」

by 小林さん&上里さん

~<ロシア>

  1. ヴァイオリンソロでクライスラー「愛の悲しみ」by上里さん
  2. チャイコフスキー「6つの歌」op.6より

第6曲 “ただ憧れを知る者だけが” by 小林さん

  1. ラフマニノフ「6つの歌」op.4より

第4曲 “歌うな、美しい人よ” by 大槻さん

~<スペイン&アルゼンチン>

  1. ララ「グラナダ」by 小林さん
  2. ガルデル(編曲=森田花央里)

「ポル・ウナ・カベサ」 by 大槻さん&上里さん

~<アメリカ>

  1. チャップリン (編曲=森田花央里)

「スマイル」by 大槻さん&小林さん&上里さん

アンコール;蘇州夜曲~4人全員

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