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2020年2月29日 (土)

横浜合唱協会 バッハ ロ短調ミサ

新型コロナウイルスで中止や延期が相次ぐ中の29日午後、横浜合唱協会の第70回定期演奏会を聴きに横浜みなとみらいホールに出かけた。1970年にバッハを中心とした古典曲を歌うことを目的に創立された合唱団。その創立50周年記念演奏会のプログラムはJ・S・バッハのミサ曲ロ短調。「ロ短調ミサ」だ。指揮はドイツで学び、2018年6月からこの合唱団の指揮者を務めている柳嶋耕太さん。

実は午後一番で急用が生じたため、休憩後の第2部「Symbolum Nicenumニケア信条」からの拝聴となってしまったが、それでも行った甲斐のある、素晴らしい演奏会だった。

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その第2部第1曲=通番第10曲「Credo in unum Deum」、テナーパートによる開始直後に、優秀な合唱団であることが分かった。全く力みの無い柔らかなトーン。それが各パートに移っていっても同様に続いていく。なお、配置は男女が2つに分かれてはおらず、男性が女性の後に立つ。それも(多分)ソプラノの後ろにテノール、アルトの後ろにバス。しかも後半は第4部で二郡=8重唱の合唱となるので、指揮者を挟んで左右に2セット「まばらな配置」として歌った。

一歩間違えると、声量が分散して弱くなり、アンサンブルも統一感に問題が生じかねないが、この合唱団はそんなことはなく、各パートがクリヤーに、声量も十分に聴こえてきた。一人ひとりの力量が高いのだろう。優秀な合唱団だ。人数はソプラノ=29名、アルト=25名、テノール=16名、バス=12名。

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私が所属する合唱団も来年5月に演奏するので、「難所」は承知している。前半にも後半にも16分音符や8分音符で細かく動く、いわゆるアジリタが、パートのソロとして出てくるから大変だ。

それでも第15曲「Et resurrexit」での各パート、特にバスのソロパートは安定感あって立派だったし、18b.「Pleni sunt coeli」と2群8重唱の第19曲「Osanna in excelsis」も良かった。

むしろ、ゆったりした曲である第13曲「Et incarnatus est」では部分的に音程が若干甘くなり、この第13曲がいかに難しいかを私自身実感した。

ソリストも一緒に加わっての終曲「Dona nobis pacem」が終わってからの、聴衆の長い沈黙もとても良かった。ここ数年になって、よくやく~オケの演奏会も含めて~余韻を持って終わる曲の場合、直ぐに拍手が起きず、聴衆も余韻に浸る演奏会が増えてきたのは嬉しいことだ。

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ソリストは以下のとおりで、皆さん安定して良かったが、特にアルトの小川明子さんによる、有名な第22曲「Agnus Dei」の歌唱が祈りのような情感と「しっとり感」が素晴らしかった。

管弦楽のオルケストル・アヴァン=ギャルドの演奏も素敵で申し分なかった。

指揮の柳嶋さんはドイツで合唱曲を中心に研鑽してきただけに、入念にして誠実な指揮で、とても良かった。

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何回かのカーテンコールの後、柳嶋さんが挨拶。「こういう状況なので、演奏会をやるのも地獄、止めるのも地獄。中止の演奏会が多い中、開催か中止か、正解と言うのは(どちらにも)ないと感じる。来場を迷われた人もいたでしょうけれど、今日は来ていただき、感謝します」という主旨で、当然ながらマスク姿一色の会場からは大きな拍手が起きた。

事前にチケットは満席に近く売れていたそうだが、会場は半分以下の入りだった。しかし、私もオーケストラと合唱のいずれも演奏者として経験して来ているから解るが、「たとえ少ないお客さんでも、こういう状況下にもかかわらず、来場してくれたお客さんに心から感謝したい」と出演者全員が思ったに違いない。

そういえば、19日の東京文化会館での二期会「椿姫」初日終演後、主役の大村博美さんは、「客席はマスク一色だったけれど、それでも皆さん来てくださったんだ」と感慨深く語ったそうだ。

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聴衆だってある意味「リスクを承知で」出かけるわけで、演奏者も「開催か中止か、正解と言うのはない」し、聴衆も「行かない選択もありだし、聴きに行く選択もあり」という点では同じだ。その点においても、「特別な感慨を抱いた演奏会」という点で、ステージも客席も忘れられがたい共生感を抱いたコンサートだったと言える。

プロの指揮者や演奏家でも「満員の客席」を求める人もいるようだが、音楽はそんなものではないだろう。演奏者と聴衆は「一期一会」であり、体験の共有という共生感、そこから聴衆は何を感じたかが重要であり、演奏者は聴衆の人数にかかわらず、伝えたいことを伝えるという演奏行為自体が重要なのだ。

柳嶋さんの挨拶の後、もう一度終曲「「Dona nobis pacem」がソリストを含めた全員で演奏された。このときは2回目だし、お祝いの雰囲気にもなっていたので、比較的直ぐに大きな拍手が沸き、とても良かった。

忘れがたい素敵なコンサートに感謝したい。

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ソリスト

ソプラノⅠ=中山美紀、ソプラノⅡ=鈴木美登里、アルト=小川明子

テノール=谷口洋介、バス=青山 貴

http://ycs.gr.jp/concert/

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