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2019年12月 4日 (水)

大村博美さん リサイタル~情感豊かなスケール感と繊細さが融合された歌唱

12月4日、帰国中の大村博美さんがトッパンホールでリサイタルを開かれた。当初予定されたピアニストのアルベルト・ヴェロネージさんが急病とのことで、急遽、フランスで活躍中の中野正克さんが招かれて代演されたというハプニング付だったが、中野さんは急場に立派に対応されていた。なお、大村さんはトッパンホールで度々歌われているが、ここでのリサイタルとしては初とのこと。

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「今歌いたい、心に語りかけてくる歌」として大村さんが選んだ曲は以下のとおりだが、1つ1つがどうというより、各曲全編エスプレッシーヴォのような、たっぷりとした情感に満ちた歌唱は、聴く人の心にストレートに入り、揺さぶってくる。

声量の豊かさと、全体のフォルムを踏まえたスケール感ある歌唱は「気宇壮大」という四字熟語さえ連想するが、それだけではなく、むしろ本質には「繊細さ」が常に在ると私は感じる。欧州で評価されているのは、スケール感ある感情移入の歌だけではなく、実はそうした繊細さを聴衆は感じ取り、心の機微に触れてくる、琴線に触れることからの人気ではないか、と聴きながら想像した。

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どれも素晴らしかったが、後半2曲目の「宝石の歌」は見事だったし、最後の「アンドレア・シェニエ」からの長大なアリアは聴き応え十分で、この日の白眉だった。

アンコール2曲目の「アヴェ・マリア」は冒頭、人によっては弱すぎて曖昧な発声で開始されることも多々あるが、大村さんはそうは歌わない。キチンと明瞭に開始し、どのフレーズも曖昧にしないプロフェショナルな入念さ、精緻さを象徴する出だしだった。

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曲としては、冒頭に置かれたリストの曲が、「ピアノ曲のリスト」のイメージを覆し、払拭するくらい、よくできた曲だな、と感じたし、プッチーニの「太陽と愛」を聴いた瞬間、「ラ・ボエームからの転用か」と思ったら逆で、8年後に「ラ・ボエーム」の第3幕の四重唱に転用された、と知り、面白かった。

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演奏曲

1.リスト ペトラルカの3つのソネット

(1)平和は見つからず

(2)祝福あれ、あの日に

(3)私はこの地上で天使の姿を見た

2.トスティ あなたが望むなら

3.デュパルク フィデイレ

4.R・シュトラウス 5つの歌Op.39より第4曲「解き放たれて」

(休憩)

5.アーン 私の詩(うた)に翼があったなら

6.グノー オペラ「ファウスト」より「宝石の歌」

7.プッチーニ 太陽と愛

8.プッチーニ そして小鳥は

9.プッチーニ オペラ「トスカ」より「歌に生き、愛に生き」

  1. ジョルダーノ オペラ「アンドレア・シェニエ」より

「私の亡くなった母が」

アンコール

1.マスネ オペラ「マノン」より

「さようなら、私たちも小さなテーブルよ」

2.J・S・バッハ(編曲)グノー「アヴェ・マリア」

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