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2019年10月 1日 (火)

映画 レディ・マエストロ~偏見と闘った女性指揮者~強くお薦めします

圧倒され感動する映画。強くお薦めします。冒頭、メンゲルベルグ(もちろん現代の俳優が演じる)指揮のマーラーの4番で開始。劇場スタッフとして働くヒロインは、なんとかしてその演奏を聴きたいと画策する。その冒頭シーンからして「指揮者になりたい」という強い思いが全編に溢れ、圧倒され、観ているこちらも胸が熱くなり、時代と空間を超えて応援したくなる。

「女なんか指揮者になれない」。今の時代から見ればアホみたいな偏見だが、当時はごく普通に音楽界に存在した差別(というより)偏見だった。クリスタイン・デ・ブラーン演じる映画の主役、実在して1929年にはベルリン・フィルも振ったアントニア・ブリコは、立ちはだかる偏見、差別による拒絶に諦めずに何度も挑み、どんどん強くなっていくのだが、あのくらい強くないと、とてもじゃないけど、指揮者になれなかったのだろうな、とよく解る展開。メンゲルベルグの推薦により、カール・ムックの指導でチャンスをつかんでいく。劇中、シュヴァイツァー博士の言葉とか、ハッとさせられる名言、書き留めておきたくなる言葉も幾つか出てくる。

しかし、彼女は迷いが皆無というのではなかった。指揮者への思いの中、不幸な生い立ちを知って煩悶し、過去を知ろうとする感情に揺すぶられ、また、恋愛感情も生じ、歩んで行こうとする道を迷わせたりもする。それでも彼女は最終的には「指揮者になりたい。なる」を貫く。

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考えてみれば、ピアノもヴァイオリンも、当時も今も男性以上に巧く演奏する女性はゴマンといた(いる)のに、おかしな話だ。「統率力」云々というのだろうが、女性に統率力が無いなんて、それこそ偏見に過ぎない。

オケにしても、ベルリン・フィルが女性団員を入団させてからまだ20年位だろうし、ウィーン・フィルなんぞ、つい10年位まで「女性団員は要らない」と平然と公言してきたのだ。欧州のオケでさえ、そんな感じなのだから、いわんや当時、女性で「指揮者になりたい」と言明したら笑われるだけで(そういうシーンあり)、挙句に果ては「結婚して子供を産んだほうがよい」(そういうシーンもある)などと、今なら大変なハラスメントになることを言われかねなかったわけだ。

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劇中、女性差別だけでなく、いわゆる性同一性障害の問題も提示される。彼女を強く支えてくれた一人、ロビンに関する秘密が明らかにされる場面では、ちょっと泣ける。感動する。

ラストの「臨時のイス」のシーンは、冒頭と重なり、とても良かった。

「音楽をやりたい、指揮者になりたい」という強い思いが全編に溢れる。彼女のパワーと勇気を知って感動し、才能だけではなく、「一途でなければ音楽家にはなれない」ことをあらためて教えてくれる素晴らしい映画。大推薦の映画作品だ。

https://www.youtube.com/watch?v=DPGS0zjRk8Y

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