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2019年8月28日 (水)

小川里美さんのバースデイコンサート~アルマ・マーラーの歌曲も披露

藤原歌劇団所属のソプラノの小川里美さんは昨年、友人たちのサプライズに誕生日が振り回され、最後に「最後は飲んで終わるよ」と言われて向かった先に待っていたのは、なんと「小川里美コンサート」だったという。

「有り得ないでしょう」と笑わせた。

そこで、「だったら、自分でコンサートを設定しておけば、あんなムチャはされないんだ」として「誕生日にコンサートなんて本当は気恥ずかしいのですが」としながらも開催された次第。

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会場の渋谷駅近くの美竹清花サロンは私は初めて。茶系統のスタインウェイのあるステージスペースと、客席というかイスは60席ほどでほぼ満杯になる。これでもう少し高さがあると良いなと思う。

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曲は以下のとおり。これまでオペラとガラコンサート、マーラーの「千人」等で小川さんの歌声は拝聴してきたが、直にソロだけを聴くのは初めて。

歌手でも器楽奏者でも、その人の良さを直に知ることができる点でサロンコンサートこそ重要だ。

今回も十分堪能した。小川さんの良さ、特徴が良く解った気がする。

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アルマ・マーラー作曲の2曲も興味深く聴いた。

歌のパートよりも、ピアノ伴奏の和音が個性的で面白かった。なかなか良かった。

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何度も共演しているという須藤千晴さんのピアノも素晴らしく、特にアンコールで弾いたソロ=自身の編曲による「ニュー・シネマ・パラダイス」のメドレーは感動した。

そして最後のアンコール「私のお父さん」が終わると、やっぱりあった「サプライズ」。

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「乾杯の歌」に乗って歌手仲間がどんどん入ってきた。

テノールの高田正人さん(二期会)~私は先日「オペラに魅せられて」で2日間ともお会したばかり~や、バリトンの須藤慎吾さん(藤原歌劇団)らにより、花束と歌の進呈。藤原とか二期会とか関係なく、「里美さんは歌手仲間から愛されているんだなあ」ということがよく判った。

なお、会場にいた60代位の一般男性も今日が誕生日とのことで、里美さんに続いて、同氏にも会場全員で「ハッピーバースデー」を歌って祝ったのだった。これこそ音楽。これこそ時間と空間を共有するライブの良さだ。

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プログラム

1.R・シュトラウス「献呈」

2.シューマン「献呈」

3.アルマ・マーラー「静かな街」

4.アルマ・マーラー「あなたの傍らで心おきなく」

5.カールマン喜歌劇「チャールダーシュの女王」より

   「山は私の古郷」

6.レハール喜歌劇「ジュディッタ」より「私の唇は熱い」

7.J・シュトラウス二喜歌劇「こうもり」より「チャールダーシュ」

 (休憩)

8.サティ「あなたが欲しい」

9.ショパン「悲しみ」(別れの歌の編曲)

  1. プーランク「愛の小径」
  2. プッチーニ「太陽と愛」(ラ・ボエームより)
  3. プッチーニ歌劇「ラ・ボエーム」より「私の名はミミ」
  4. グノー歌劇「ファウスト」より「宝石の歌」
  5. ヴェルディ歌劇「椿姫」より「そはかの人か~花から花へ」

アンコール

1.フォーレ「月の光」

2.ピアノソロで「ニュー・シネマ・パラダイスのメドレー」

3.プッチーニ「私のお父さん」

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なお、プログラム冒頭に記載された小川里美さんの「ご挨拶」が素敵なので、全文ご紹介します。

「本日はお越しいただきありがとうございます。自分の誕生日にコンサートをする、というのは何だか気恥ずかしいものですが、演奏と共に一年をはじめるのも素敵なことのように感じています。2008年に藤沢市民オペラでオペラデビューしてからあっという間の11年、沢山の役や演奏の機会をいただき、自分が想像していたことをはるかに超えて、私の人生は豊かになりました。

音楽をイタリアで学び始めたのは大学院時代のことで、きっかけをつくってくれたのは私の後輩でした。イタリアでは中国・韓国・日本の同世代の仲間と切磋琢磨し、声を見つめる日々を過ごしました。

これまでひたすら前だけを見て走ってきて、ふと立ち止まる瞬間に今一番思うのは、ご縁があって出会うことのできた仲間たち、私の演奏を聴いてくださる方に、ほんの少しでも歌を通して何かお返しできたら、例えば何か心に寄り添えるような、ふっとほぐれるような瞬間を完成ご一緒できるような歌を歌いたいなということです。

今日のプログラムは、オーストリアにご縁のある楽曲、私がイタリアで一番歌ったプッチーニと、長年須藤千晴さんと演奏してきたフランス歌曲を中心に組みました。千晴さんのピアノは純粋で端正で、時には大胆で雄弁で、魅力にあふれているなあと毎回感じます。

音楽はとてもアナログな、人間のあたたかみを伝える芸術だと思います。皆様にとりまして音楽がいつも優しく寄り添う存在でありますように、これからも努めていきたいと思います。

2019年8月28日

感謝を込めて 小川里美」

2019年8月24日 (土)

二期会サマーコンサート~オペラに魅せられて 2日目第二部

後日記載します。

2019年8月23日 (金)

二期会サマーコンサート~オペラに魅せられて 初日第一部

後日記載します。

2019年8月15日 (木)

8月15日に寄せて~三善晃「レクイエム」

「誰がドブ鼠のようにかくれたいか!」というシュプレッヒコールで開始する。私は過去にブログやFB等、何度も書いてきた。

三善の戦争三部作の第一作。日本人が書き得た最高の作品と信じて疑わない(ワンオブは要らない)。

初演した岩城宏之さんは「リハ段階から高い評価だった」と言い、その初演は遠山一行さんらが「衝撃」と受け止めた。

とかく被害者的観点から論じられがちだが、加害も含め、遺族の心情も含め、いや、戦争そのものの理不尽さと残酷さを音だけで描いた三善の傑作。

戦争反対を声高に叫ぶのではなく、関係者の残した詩や言葉の断片を使い、ひたすら音と言葉だけで戦争の過酷さ、残酷さを描いた傑作。

完全無調という点で言うなら、「ヴォツェック」以来最高の、偉大な音楽。

それを30代の終わりに三善は書いた。

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ユーチューブで聴ける演奏の外山雄三指揮、日本フィル、日本プロ合唱団連合による録音に際しては、ライブ撮りするため、当時のプログラムは1曲目=三善「レクイエム」、2曲目=フォーレ「レクイエム」、3曲目にもう一度三善の「レクイエム」が演奏されたことでも評判となった。

当時中学生だった私は、その情報も曲自体も知らなかったので、その演奏会は行けなかったが、その後、この演奏はLPで何度も聴いたし、その後のライブは~演奏がオケも合唱も難しいためライブではなかなか取り上げられないが~私は数回聴いてきた。

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中でも1985年に東京文化会館で行われた三善晃の「個展」は重要で、尾高忠明指揮、N響により戦争三部作が一度に演奏された演奏は印象的だった。

その演奏会会場には、三善夫妻の隣に、現在は上皇陛下となられた当時の皇太子殿下と美智子妃殿下が座り、その近くには遠山一行さんら著名な評論家や音楽関係者がいた。

プログラムには武満徹さんが寄稿し、三善の特性を「絶対抒情」という言葉を使って評していた。

演奏会終了後、ロビーに出ると、一足先に出ていた武満さんとギターの荘村清志さんが立ち話されていたシーンを目撃したのも懐かしい。

その演奏会のライブ録音もCDリリースされ、私はもちろん持っているが、廃盤のようで残念だし、レコード会社の怠慢である。

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最近は岩城さんに代表されるような現代作品の紹介を使命とされている指揮者が少ないのは残念だが、山田和樹さんは積極的に邦人を中心に取り上げているし、三善の「レクイエム」も振っている。

CDもオケ版ではないが、2台のピアノリダクション版により東京混声合唱団および東京大学柏葉会合唱団OB・OG有志による合同演奏により録音している(下記添付のとおり)。

なお、NAVOSからNHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ」というCDが発売され、岩城宏之指揮の「レクイエム」初演演奏と、小林研一郎指揮の「詩篇」初演時の演奏がリリースされているのは嬉しい(下記添付のとおり)。

未聴の人にはぜひ聴いて欲しい曲。録音はもちろん、いつかはライブでもぜひ。

https://www.youtube.com/watch?v=qD_-j4SfxRM

 

ユーチューブのCD

https://www.amazon.co.jp/三善晃「レクイエム」-日本フィルハーモニー交響楽団-日本プロ合唱団連合-外山雄三/dp/B000WHH892

 

初演時の「レクイエム」と「詩篇」を収録したCD

https://www.amazon.co.jp/三善晃-混声合唱と管弦楽のための「詩篇」-小林研一郎指揮-レクィエム-岩城宏之指揮/dp/B0054TPCSC/ref=pd_lpo_sbs_15_t_0?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=B8WZGMB9EGR97M3J87GB

 

二台のピアノリダクション版による演奏を収録したCD

https://www.amazon.co.jp/CD-唱歌の四季-三善晃の2台ピアノ伴奏による合唱作品集-山田和樹指揮-東京混声合唱団/dp/B000RY41PO/ref=asc_df_B000RY41PO/?tag=jpgo-22&linkCode=df0&hvadid=295680924902&hvpos=1o3&hvnetw=g&hvrand=13510915115344444987&hvpone=&hvptwo=&hvqmt=&hvdev=c&hvdvcmdl=&hvlocint=&hvlocphy=1028852&hvtargid=pla-524885382886&psc=1&th=1&psc=1

2019年8月12日 (月)

やっとかめ室内管弦楽団 第6回演奏会

8月12日午後、杉並公会堂で やっとかめ室内管弦団の第6回演奏会を聴いた。

指揮は今回も沖澤のどかさん。

私がこのユニークな団名のオケを聴き始めて今回が3回目で、同団のホームページによると、第2回演奏会以降は毎回のどかさんなので、実質的な常任指揮者と言えるかと思う。

私が過去に聴いたのは第3回と第5回。

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このオケは学生時代に名古屋で活動し、現在首都圏に在住する人たちが集まって2012年の結成された。「やっとかめ」は名古屋弁で「久しぶり」という意味とのことで、再開を喜び、新たに始めようということで命名。現在は名古屋関係者に限定されておらず、年1回の演奏会を開催しているが、今回の編成は、もはや「室内管弦楽団」とはもう言えないほどの団員数になっているから、もしかしたら次回からは「室内」の文字は外されるかもしれない。

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それはともかく、この日の演奏会の曲目は次の3曲。

1.メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

独奏=山本友重(東京都交響楽団コンサートマスター)

2.ワーグナー 舞台神聖祝典劇「パルジファル」より《聖金曜日の音楽》

3.メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」

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1曲目の有名なコンチェルトを弾いた山本さんは、冒頭からオーソドックスではない、独特のフレージングを提示したが、ただ、しばらく音程的に危ない箇所が散見されて、私は内心「どうなるんだろう?」と危惧を覚えたのだが、第1楽章のカデンツから安定していき、後は良かったし、特に第3楽章はとても楽しめた。アンコールではバッハの無伴奏パルティータ第3番から有名なガヴォットを演奏したのだが、これは響といい音程といい素晴らしかった。こういう素敵なバッハ演奏を聴いてしまうと、「音楽は1にバッハ、2にバッハ。3、4が無くて5にバッハだ」などとさえ思ってしまうほどだ。

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ここで休憩が入り、休憩後は編成を増してのワーグナー。前述のとおり、もはや「室内」でないオケを象徴するように、このオケがワーグナーを演奏したのは初めて。終演後、のどかさんに問うと、「宗教改革」を希望したのはコンミスだが、それを受けてワーグナーを提案したのは のどかさんとのこと。

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このオケは弦が特に優秀だが、今回は金管も木管も終始温かなトーンで好感が持てた。最後のメンデルスゾーンの「宗教改革」は詳しくないので、多言は避けるが、何より、オケがこの曲に強い思いと集中力をもって挑んだことがよく判ったし、1曲目の協奏曲も含めて、このオケはクレッショエンドとディミヌエンドが巧いのがよく判った。大きな膨らみだけでなく、瞬時のクレッショエンドとディミヌエンドをサッっとやってのける合奏力がある。たいした力量だと思う。

もちろん、それは、そうできるように育成、指導した沖澤のどかさんの力量に他ならない。

アンコールとして、バッハ作曲、ストコフスキー編曲による「羊は安らかに草をはみ」という愛らしい曲が演奏された。

今年11月、彼女の指揮でプーランクの「グローリア」を歌うことになっている。今から楽しみだ。

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