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2019年7月13日 (土)

神奈川フィルとBCJによるハイドン「天地創造」

神奈川フィルハーモニー管弦楽団とバッハ・コレギウム・ジャパン(以下、BCJ)という素敵な組み合わせによるハイドンの「天地創造」を13日午後、横浜みなとみらいホールで

聴いた。指揮は鈴木優人さん。

 

これは神奈川フィルの定期演奏会みなとみらいシリーズ第350回の演奏会。コンマスは﨑谷直人さん。ソリストは

ソプラノ 澤江衣里さん(天使ガブリエル、エヴァ)

テノール 櫻田 亮さん(天使ウルリル)

バリトン ドミヌク・ヴェルナーさん(天使ラファエル、アダム)

 

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鈴木氏は、神奈川フィルに古楽器的なシャープなフレージングとアーティキュレーション、音色等を求めながらも、出てきたサウンドはかえって斬新で新鮮な、モダンとさえ言えるサウンドだったのが面白く、すこぶる素敵だった。

これは指揮者とオケの力量が素晴らしいということだけではなく、正にハイドンの作曲技術がいかに素晴らしいかを証明していると言えるだろう。

 

合唱について

 

それにしても、あらためてBCJの合唱の素晴らしさに驚く。

ソプラノ7人、アルト7人(内カウンターテナー1人)、テノール6人、バリトン6人の計わずか26人による合唱なのに、大ホール一杯に歌声が響き渡る。神奈川フィルが通常よりメンバーを減らしているとはいえ、トロンボーン3人を要する音楽だ。それでも、オケが特別音量を減じていない部分でも、何でもないが如く26人の統一された歌声がオケを超えて客席に届く。アマチュア合唱団では考えられないこと、有り得ないことだ。

 

BCJはご存知のとおり、普段、ソロでも活躍している歌手がメンバーとして名を連ねている。今回ソロを務め後述する澤江衣里さんもBCJのメンバーとして「マタイ受難曲」等を歌われているし、今回出演の中では、ソプラノでは、合唱団 鯨の「エリヤ」で素晴らしいソロを聴かせてくれた清水梢さん、鈴木秀美&オーケストラ・リベラ・クラシカのソロ常連でもある今回BCJ初参加の中江早希さん、アルトの輿石まりあさん、田村由貴絵さん、カウンターテナーの青木洋也さん、テノールの中嶋克彦さん、等々、また、今回は出演されていないが、バリトンの加耒徹さんもメンバーだし、確か、テノールの鈴木准さんも公演によっては参加されていると記憶している、など、いわば「オールスターソリストメンバー」なのだ。

 

独立したプロ合唱団である東京混声合唱団は本当に素晴らしいが、ソリスト級を集めたBCJには抜きん出た力量がある。

素晴らしい少数精鋭のプロ合唱団。

 

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ソリストについて

 

今月7日にヤマハホールでリサイタルを終えたばかりの澤江さん。私はオケ定演と重なり拝聴できなかったのだが、その澤江衣里さんのオラトリオ歌唱の上手さはよく存じている。R・シュトラウスの歌曲や、東京芸大博士号を取得したクィルターの歌曲の上手さは素晴らしいが、BCJで鍛えられた、バッハを中心とした古典曲の端正にして気品と温かさと、良い意味でのクセの無い、伸びやかな歌唱は、聴く者の心を清めてくれる、そういう歌声を聴かせてくれる。この日も正にそうだった。

 

天地創造第2日エンド近くの2点ハから3点ハへの上行音階や、第3日でのGから1オクターブ+3度上のBの音への上行音階など、技術的な冴えもあったし、第2部第5日開始早々のアリア「鷹は力強い翼で」は特に充実した歌唱だった。また、第3部「アダムとエヴァの神への賛歌」でのアダムとのデュオもステキだった。彼女の素朴さと清らかさと気品と温かさの同居した歌声は素晴らしい。

 

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テナーの櫻田亮さんは、マタイのエヴァンゲリスタでの歌唱は、私にはやや物足りなさを感じさせたが、この「天地創造」での屈託のない、これまた良い意味でクセの無い、ピュアなトーンは終始安定していて素晴らしかった。これまで私が聴かせていただいた櫻田さんの歌唱の中で最高の内容だったと思う。

 

ドミニク・ヴェルナーさんは初めて聴いたが、重たくない、端正なバリトンの声で、この曲でのバリトンに重厚感や威厳を求める人にはやや物足りなかったかもしれないが、誠実さと温かさに満ちた、穏やかな優しさを感じさせる歌唱はとても印象的で好感が持てた。他の曲でもいろいろ聴いてみたいと思った。

 

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終曲、エピローグでの合唱とソリス全員による曲では、それまで指揮者の左右で歌っていたソリスト3人が合唱団の最前列に行き、合唱団中央最後列にいて、アルトパート歌われたカウンターテナーの青木洋也さんが3人に加わり、その4人と合唱という形でエンディング。

 

長く大きな拍手と、複数の「ブラヴィー」が飛ぶなど、客席は大きな喜びに包まれた演奏会だった。

 

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最後に個人的なことを書かせていただくなら、昨年12月の学習院OB管弦楽団の定演でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾いていただいた神奈川フィルコンマスの﨑谷直人先生、嘉目真木子さん同様、メジャーになる前から存じあげている澤江衣里さん~澤江さんと嘉目さんは親しい間柄だ~、合唱団 鯨の「エリヤ」でお世話になった清水梢さんと藤崎美苗さん、最近面識を得た中江早希さん、と、ご縁のあるプロ音楽家が5人も同じステージで演奏される、そういうコンサートを聴かせていただく喜びは言葉に表せないほど大きい。

ご縁に深く感謝します。

 

https://www.kanaphil.or.jp/concert/584/

 

 

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