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2019年5月25日 (土)

コーロ・ヌオーヴォのマタイ受難曲

25日午後、合唱団コーロ・ヌオーヴォの第60回演奏会を杉並公会堂で聴いた。

今年3回目の「マタイ受難曲」ライブ拝聴。

今回初めて聴かせていただいたコーロ・ヌオーヴォは1974年創設で、バッハを中心に主に古典派の宗教作品を演奏してきた団体。

「マタイ」の全曲演奏は2002年、当時の常任指揮者の故・佐藤功太郎氏指揮以来で、4回目の演奏。

今回の指揮は常任指揮者長岡聡季(さとき)さん。

オケはバッハチェンバープレイヤーズ トウキョウ。

 

この曲はオケも合唱も2つに分かれるが、

合唱団のパート人数は合計でソプラノ=23名、

アルト=20名、テノール=14名、バス=13名とバランスは比較的良い。

 

3月に聴いた2つの合唱団による「マタイ」は横浜みなとみらいの大ホールという大きな会場だったが、この日の会場は杉並公会堂で、大ホールと言っても中規模と言える会場であり、そのことが今回の充実した演奏に大きく寄与したと感じた。このことは後述する。

 

長岡氏の指揮は、この曲にしてはとても大きな身振りで、情熱をもってこの曲に挑んでいることが伝わる演奏。

合唱団はそれに応え、単に人数的バランスだけでなく、構成感と積極果敢な姿勢という点でもバランスの良い、とても素晴らしい演奏だった。

 

38日のフロイデ・コーア・ヨコハマによる「マタイ」は精緻で美しいアンサンブルと誠実さによる集中した演奏、教会で歌う人々や、教会の絵画をイメージする内面志向の演奏という、いわば「静的」イメージがあり、

また、324日の横浜シティ合唱団の「マタイ」は、やや荒削りではあるが、団員一人ひとりの意思と積極果敢な姿勢を重んじた、屋内というよりは街中の、市民たちの歌声としての、外に向かう「動的」でパッショナブルな演奏、というイメージを抱いたのだが、

今回のコーロ・ヌオーヴォの演奏は、その両者の良い要素を併せ持ったと言えるほどの完成度と情熱があり、どのナンバーも総じて良かったし、「sch」などの子音の発音も例えば第54曲では際立って優れていた。

 

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ソリスト

 

与那城敬さんのイエスもこれで今年3回目の拝聴だが、ホールの良さもあってか、この日が一番良かったように思えた。それにしても、いよいよ「マタイのイエス役と言えば、与那城さん」という評価が決定的となったと言えるだろう。

 

谷地畝晶子さんの正統的アルトの歌唱をこの日も堪能。端正で気品のある、本当に素敵なアルト歌手。

 

エヴァンゲリストの松原友さんも、時折音程が上がりきっていない部分が散見もされたが、癖のない伸びやかでとても良い声。この曲に向いていると思う。これで全体の完成度が更に高ければ申し分ないところ。

 

井口達(とおる)さんはもう少し声量が欲しい気もしたが、要所では巧くまとめていた。

 

星川美保子さん、鈴木准さんの清涼感、初めて聴いた高橋幸恵さんの端正な歌唱も良かった。

 

そして、もう一人、この日初めて聴いたソプラノの金成佳枝さんは、メソのような深い声と独特の歌い回しが魅力的で、第8曲の感情移入は素晴らしく、「バッハだって、大いに感情移入していいんですよ」ということを彼女から教えていただいた気がした。

 

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オケもとても良かった。ソロでは第1オケのオーボエソロや、第49曲でのフルートソロが素晴らしく、第57曲でのヴィオラ・ダ・ガンバ、第39曲と第42曲のヴァイオリンソロも良かった。

特に39曲では、一見アッサリと弾いているようでいて、そのクール感の中に哀愁も感じられる演奏。

 

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杉並公会堂

 

先述のとり、大ホールと言っても、中規模なことが幸いした。

すなわち、3月の2つの「マタイ」は、いずれも横浜みなとみらいだったので、ホール全体にソロや合唱の声の響が拡散するには大きすぎる感がしたのに対し、杉並公会堂では、適度な大きさと良質な響ゆえ、ソロも合唱もオケのソロも、客席によく届き、ホール全体に、まとまり感を持ちつつ拡がったのだった。

 

また、パイプオルガンは無いホールだが、あるとしたら。その中央正面の木製の壁に、直接映し出された字幕スーパーは、字も大きくて、とても見易かった。また、客席も演奏中は真っ暗にはぜず、薄明りをキープしてくらたので、プログラムの歌詞や場面等を見ながら聴けた点もなかなか良かった。

 

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お、最後になってしまったが、この演奏会では児童合唱団は使わず、第一部冒頭間もなく等の部分は、エヴァンゲリストとイエスを除いたソリストが2階正面の客席にならんで歌うなどの工夫がなされた。

 

http://coro-nuovo.main.jp/

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