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2019年5月21日 (火)

水星交響楽団による6番の交響曲

519日午後、一橋大学管弦楽団のOBを中心に1984年に結成された水星交響楽団の第59回定期演奏会を、すみだトリフォニーで聴いた。

これまで、マーラーの3番等、マーラーを中心に数回聴かせていただいてきたオケで、私が聴いた回はいずれも常任指揮者の齊藤栄一氏の指揮によるものだったが、

この日は同オケ初来演という新田ユリさん。

 

曲、というか、この定演のコンセプトがユニークで、シベリウスの交響曲第6番で始まり、吉松隆さんの交響曲第6番、休憩後はチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」という、「6番」を集めた演奏会だった。

こういう企画は素敵だ。

 

1. シベリウス交響曲第6 ニ短調 Op.104

シベリウスの交響曲では、多くの人が多分そうであるだろうように、私は第2番から入り、すぐに大好きになった。

次で3番のシンプルさ、第5番の朝焼けのような大自然を思わせる冒頭と終楽章のエンディングの雄大さ、ユニークさに感動し、最近では1番も好きになったが、今私が一番関心を持ち、好きになったばかりの曲が、他ならぬこの6番だ。

冒頭からなんという美しさだろう。

各楽章を入念に練習を積み上げてきた成果がよく判る立派な演奏だった。

 

日本シベリウス協会会長でもある新田ユリさんは、渡邉暁雄亡き後、今では正にシベリウスのスペシャリストとも言える存在。

今後も彼女の北欧作品の演奏には特に注目し、期待したい。

 

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2. 吉松隆 交響曲第6番「鳥と天使たち」Op.113

いずみシンフォニエッタの委嘱により2013年に作曲。

同年7月に、飯森範親指揮の同オケにより初演された作品。

チェロやコントラバスを減らし、特殊楽器やパーカッション群を増した、室内オケ的な編成ながら、響としては和調にして結構賑やかな作品。

6番ということで、ベートーヴェンの「田園」やシベリウスの作品を当然意識したであろう曲想も感じる。

以下のとおり、各楽章にはタイトルが付けられ、プログラムにはそれぞれの構成や特徴が書かれてはいるが、敢えてそれにはこだわらず、あくまでも今回この曲を初めて聴いた私が、感じたままの印象をメモ的に書いておきたい。

 

1楽章は「右方の鳥」と題されている。

冒頭から、NHK大河ドラマ「平清盛」を連想させる雅な和音と曲想の中を鳥を模した旋律や音型が木管で奏される。高揚していくと、パーカスを中心としたジャズ風な曲想となるが、「自然」と「ジャズ」は吉松作品全体に一貫する共通の要素でもある。

 

2楽章は「忘れっぽい天使たち」とユニークな題が付されているが、徹底した雅で抒情的な曲想。レスピーギが「ローマの松」で用いた鳥笛も含めて、あるいは特殊楽器による擬音も含めて細やかな場面移行がなされる。また、終わり近くに、チャイコフスキーの「悲愴」の一節を思われる場面も登場する。

 

3楽章は「左方の鳥」。

シベリウスを意識したであろう冒頭。やがてスネアドラムを中心にリズミックで生き生きとした曲想となるが、雅な和声は一貫している。

 

全体について

とてもユニークで面白い作品。

とても気に入ったので、即CDを購入したくらい。

ただ、もし1点難を言うとしたら、全体の曲想には、ガラリと変わるような大きな場面変化はあまり感じない、ということがあるが、多分、吉松さんにしたら、それは敢えて同じ曲想で統一したということだろうし、確かに統一感は十分ある作品と言える。

 

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3. チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」ロ短調Op.74

新田さんが全体的に思い入れを敢えて排したようなストレートな運びの、ねっとり感の少ない演奏なので、その点でもあまり楽しめなかったし、前2曲の練習だけでも大変だったこともあるのか、いささか練習不足感も感じた。

1楽章ではヴィオラやクラリネット、ホルンやトロンボーン等の音程が気になる部分も散見され、第4楽章でもトロンボーンやチェロの音程で不明瞭な部分があるなど、技術的にも、前2曲の完成度に比べると上出来とは言い難い内容だった。

3楽章は立派だった。

 

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それにしても、私がこの演奏会に行こうと思ったのは、

シベリウスの6番と吉松隆の6番が演奏されるプログラムだったからで、チャイコフスキーの「悲愴」があろうが無かろうが関係なかった。

 

昨今、アマだけでなく、プロオケも相変わらず古典派とロマン派の有名曲がメインプログラムとしてならべられる。

しかし、私だけでなく、もっと近代作品や現代作品を聴きたいと思っている人は決して少なくないはずだ。

ありきたりの有名曲オンパレードのプログラムや、そうした曲、同じような曲ばかり振る指揮者をフライヤー(チラシ)、「ぶらあぼ」、新聞広告等で見るとウンザリする。

もっと新しい作品や、演奏回数が少ない作品を取り上げて欲しいものだ。

 

https://suikyo.jp/

 

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添付1~吉松隆 交響曲第6

https://www.youtube.com/watch?v=EieAuBQMEdM

 

添付2~シベリウス交響曲第6

https://www.youtube.com/watch?v=FbzyLCkznBE

 

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