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2019年3月 8日 (金)

マタイ受難曲~フロイデ・コーア・ヨコハマ

8日夜、フロイデ・コーア・ヨコハマの第14回演奏会である
バッハのマタイ受難曲を横浜みなとみらい大ホールで聴いた。
もっとも、勤務後に向かったので、休憩後の後半のみの拝聴
だったが、堪能させていただいた。
誠実な合唱と指揮によるマタイの演奏だった。

指揮の横島勝人さんは各ナンバーを丁寧に誠実に進めた。
曲への探求心と誠意をリスペクトを感じさせる誠実な指揮、
とでも言おうか。

古楽オーケストラLa Musica Collanaが抜群に巧かった。
私は古楽器やピリオド奏法には特別強い関心はなく、
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンはもちろん、
バッハやヘンデル、ヴィヴァルディも現代楽器で良いと
思っている。
そして実際、これまで古楽器オケの演奏で心底感心し、
感動した演奏というのはほとんど無い。
けれど、この日の、このオケは音色といい、
アーティキュレーション等々といい、本当に素晴らしかった。

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小屋敷真さん指導による合唱団フロイデ・コーア・ヨコハマは、
「しっかりとこの曲を歌い込んできた」という自信を
全員に感じる歌声。
といっても、決してそれを主張するのではなく、
むしろ徹底した誠実さと曲に対する一人ひとりの畏敬の念、
リスペクトを感じさせる演奏である点がとても素晴らしく、
強く印象付けられる、そういう演奏だった。
 とても気に入った。
こういう「謙虚さを感じさせてくれる、驕りの無い合唱団」は
好きだ。

今回の出演人数はプログラムによると、
ソプラノ=42名、アルト=44名、テノール=12名、
バス=17名、と、ご多分に漏れず、男声が少ないが、
声の全体のバランスは良かった。良い響だった。
「sch」「z」などの子音も客席によく届いていた。

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 ソリストについて
この曲の主役と言ってよいエヴァンゲリストを務めた
望月哲也さんの声は、私にはこの役にしては、
いささか軽い声に思えるが、その若々しさを聴き易いと
気に入る人も多いかもしれない。
ユニークなエヴァンゲリスト。
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イエス役の与那城敬さんはいつもながら本当に格調高く、
例えばNo.61の短い一節においてさえ、
気品と説得力が素晴らしいのだ。
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そして、この日は、イエス以外のバリトンソロ部分を全て
受け持ったことから、分量的には与那城さん以上に
歌う場面のあった原田圭さんの安定感ある堂々とした歌唱こそ
白眉と言えたかもしれない。
歌われたどのナンバーも素晴らしい歌唱だった。
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アルトパ-トは、小川明子さんとカウンターテナーの
彌勒忠史さんが分けたが、
分量的に多かった小山さんのこれまたいつもながらの
端正で魅力的な歌唱が、原田さんとともに、
この日のもう一人の主役と言えたかもそれない。
小山さんの歌声にはいつも誠実さを感じさせてくれる。
この日もとても素敵だった。
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分量的には出番は少なかったものの、
カウンターテナーの彌勒忠史さんの魅力はこの日も全開で、
昨年のヤマハホールで聴いた感動を私の心の中で再現して
いただいた感がある。
例えばNo.60。何という魅力的な歌声だろう。
ここでのオーボエ・ダ・モーレとオーボエ・ダ・カッチャの
二重奏によるオブリガートも音色が魅力邸だった。
彌勒さんにおいては、もはやアルトとかテナーとか
カウンターテナーという分類さえ意味のないほどの、
「彌勒忠史さんの声」という1つの確固たる独立した声
とも言うべき貴重な歌声だと思う。
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ソプラノの澤江衣里さんは、曲想を意識されてか、
いつも以上に無垢な声を会場に届けてくれていた。
この清らかさは素敵だ。
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テノールの中嶋克彦さんも出番は少ないながら、
伸びやかで屈託のない声を聴かせてくれた。
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横島コンダクターによる全体の統率は、
場面場面を丁寧に誠実に描いて伝えることで、
この作品が音楽市場いかに奇跡的な遺産であるかを、
あらためて実感させてくれる誠実な演奏だったと言える。
特別劇的にするわけではないのに、
丁寧に淡々と進行させていくことで、
一層作品の奥行を感じさせてくれる、
とても良いマタイの演奏会だった。
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 出演者
指揮=横島勝人
管弦楽=La Musica Collana
エヴァンゲリスト=望月哲也
イエス=与那城敬
ソプラノ=澤江衣里
カウンターテナー=彌勒忠史
アルト=小川明子
テノール=中嶋克彦
バス=原田 圭

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