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2019年2月24日 (日)

世田谷フィル&コーラス~ヴェルディ レクイエム

世田谷フィル&世田谷区民合唱団によるヴェルディ「レクイエム」
24日午後、黒岩英臣先生指揮による世田谷フィルハーモニー管弦楽団と世田谷区民合唱によるヴェルディの「レクイエム」を聴いた。会場の昭和女子大学人見記念講堂に行ったのは久ぶり。いつ以来か覚えていないくらいだが、音響が思いのほか良かったので、改善されているのかもしれない。竣工会館は1980年4月。同年10月の、カール・ベーム最後のウィーン・フィルとの来日公演をTVで見、聴いたのも懐かしい。

ソリストは石上朋美さん(Sop.)、谷口睦美さん(Mezzos.)、又吉秀樹さん(Ten.)、ジョン・ハオさん(Bass)で、後述のとおり、皆さんとても良かった。

最初に問題を1つだけ挙げておくと、長大な「怒りの日」が終わったところで、15分の休憩を入れたことだ。これは驚いた。この曲で休憩ありは初めての体験。やはりこれは良くないと思う。これも後述するが、集中力(緊迫感)が薄れたことは否めない。とりわけ残念なことに私はソリストそれを感じた。2時間かかわるわけでもないし、人見講堂は客席だけでなく、ステージも比較的広く、合唱団席には座席も設定されていたのだから、やはり全曲通して演奏して欲しかった。
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合唱団はありがちな人数構成。すなわち男声が少ない。ソプラノ56人、アルト47人に対して、テノール12人、バス19人は厳しい。特にこの曲にはシンドイ人数だが、それでも思いのほか男声の声は良く出ていた。もちろん言おうと思えば言うことは多々あるが、それでも立派だったとも言っておきたい。「Sanctus」はテンポ指定が速いし、フガートで進行するから、どの合唱団でも難所で、この合唱団も難儀はしていた。見た目の人数バランスはメチャ悪いのに、声量的バランスは比較的良く、指導された金川明裕さんの指導が良かったのだろう。

余計なお世話を承知で言えば、プログラムにはオケと合唱団それぞれの求人案内も掲載されているが、オケは区民限定云々など無いのに、合唱団の欄には「世田谷区内の在住・勤務・在学のかた」とあり、「合唱経験は問わない」のは良いとしても、本当に男性を増やしたいのなら、区関係者限定にはしないほうがよろしいかと思う。
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オケはこじんまりとした人数だが安定感があり、優秀。ブラスが安定しているし、弦の音程も良い。「怒りの日」でのトランペットのバンダはステージ左右に2人ずつ。特に下手(客席から見て左)の音色と音量はとても良かった。冒頭5小節間のチェロパートソロは静謐で美しい。幅広く行き来(音程が上下)するので難しい「Offertorio」の冒頭からのチェロパートソロもなかなか良かった。
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ソリストの皆さんは総じてとても素晴らしかった。
特にこの曲での比重が大きいメゾの谷口睦美さんは久々に拝聴したが、この曲のイメージにピッタリの、豊麗にして情感豊かなエスプレッシーヴォを感じさせる歌唱で申し分無かった。
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石上朋美さんは高音域だけでなく、中音域でも深々とした声を聴かせてくれて充実。最後のC音での「Libera me, Domine, de morte aeterna, in die illa tremenda」も意義深い詠唱だった。強いて言えば、肝心とも言える「Libera me」の132小節からのAndanteでの「Requiem」と歌いだし厳かに感動的に進行する部分ではやや淡色で、もっと艶が欲しかった。他の(前後の)部分では艶が十分あっただけに残念。「祈り」の部分であることを意識し過ぎたのかもしれない。
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テノールの又吉秀樹さんは美しい声で、以前から注目しているテナーの一人だし、この日も好調だったが、前半では1か所残念な部分があったのと、前半では「これぞこの曲に相応しいテナートーン」と感じたのに、後半はやや鮮度と完成度が後退した気がした。これは先述した「休憩入り」に関係しているかもしれないと想像する。
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バスのジョン・ハオさんは何度も聴かせていただいていて、これまで正直あまり感動したことが無かった。完成度は高いが、声が比較的地味で、良い意味での「押し出し」というか、PRが弱いと感じてきたが、この日は安定していて、とても良かった。部分的にはトーン的に物足りない部分もあったが、十分格調高く歌われていたと思う。
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先述したが、ソリストの皆さんも、総じて良かったが、前半の充実度と集中度に比べ、後半は全体的に幾分集中力が薄らいだ感がしたが、そうだとしたらやはり「休憩を挟んだこと」に原因があると思う。この曲に休憩は要らない。絶対に。
でも素敵な公演で、この曲の偉大さをあらためて感じた公演だった。
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黒岩先生の指揮は、全体的に余裕のある、決して急がないテンポ設定で進め、要所で緩急やリタルダンドとアッチェランドの工夫も入れて見事にまとめられていた。
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いわゆるフランイング拍手は無く、余韻を楽しめたエンディングでの客席の雰囲気も良かった。
出演者の皆様、お疲れ様でした。
http://setagaya-phil.net/

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