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2019年1月26日 (土)

ドン・ジョヴァンニ~好感もてる演出と充実の日本語公演

この演目に限らず、これまで日本語によるオペラ公演で深い感銘を受けた記憶の数は割と少ないが、今回はとても良かった。インフルエンザ完治がギリギリ間に合って良かった。聴き逃したとしたら実にもったいない公演だった。

東京芸術劇場のステージ内にオケを組み込んで、前フロントステージと奥域の二重構造とするなど、舞台を効率的に生かした、シンプルにしてまず音楽ありきの、良い意味で中庸な、エキセントリックにならない演出。よって余計な装飾やオブジェはほとんど使わず、舞台転換もなく、衣装もオーソドックス。

ダンサーの多用は、一歩間違えると表面的なケバケバしさを露呈する危険があるが、自身ダンサーでもある森山開次さんによる演出と振付は、節度を保つことでその危険を回避しただけでなく、場面によってはダンスがシーンを強くサポートするほどの説得力を持ち、あるいは、オブリガートとしての役割と質感をもって場面を装飾するが、いずれにおいても、音楽のリズムとアクセントによく合った振付であった点が好ましいし、見事だった。

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日本語による外国オペラでは、アリアもセリフ(レスタティーヴォ)でも、とかく「字余り的な不自然さ」が気になりがちだが、今回は全ての歌手において、アリアもセリフも日本語と旋律線が心地よくマッチしていた、と強く感じた。

タイトルロールを歌ったヴィタリ・ユシュマノフさんはロシア人なのに、アリアもセリフも完璧で美しい日本語だったので、とても驚いた。歌手の皆さんはいずれも良く、女声3人~高橋絵理さん、小林沙羅さん、鷲尾麻衣さんのそれぞれが技術の高さに加え、声の質感の違いを聴かせてくれたし、それぞれ有名なアリアでの名唱を含めて、表情の潤いさも含めて見事だった。

男声ではとりわけテナーの金山京介さんの美声が素敵だった。金山さんがデビューしたころは、何となく硬さも感じたが、ここ数年、毎年1回以上を聴く中で、毎回、伸びやかで軽やかで美しさを増していく声を感じてきており、今回も本当に感心した。三戸大久さんも近藤圭さんも、役所を上手く歌い演じた。

全体の演出スタンスとしても、ドン・ジョヴァンニの好色性を強調するというより、男女間の心の不安定さ、移ろいを基盤とし、声のアンサンブルに力点を置いて進行するという要素を強く感じた。これにより、ドラマ全体の内的な集中力が増し、悪い弛緩の無い展開、良い流れが終始できていたと思う。

また、軽妙なやりとりから、ドン・ジョヴァンニというより、「コジ・ファン・トゥッテ」を連想するイメージを抱いたことも面白い体験だった。

とても良い公演、立派な公演だった。

金沢、熊本、東京での2回、計4公演である全国共同制作プロジェクトにおける東京公演の初日。

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指揮=井上道義  演出&振付=森山開次

管弦楽=読売日本交響楽団 合唱=東響コーラス

ドン・ジョヴァンニ=ヴィタリ・ユシュマノフ

レポレッロ=三戸大久

ドンナ・アンナ=髙橋絵理

ドンナ・エルヴィーラ=鷲尾麻衣

ツェルリーナ=小林沙羅……1月27日は藤井玲南

ドン・オッターヴィオ=金山京介

マゼット=近藤圭

騎士長=デニス・ビシュニャ

ダンサー…浅沼圭、碓井菜央、梶田留以、庄野早冴子、中村里彩

引間文佳、水谷彩乃、南帆乃佳、山本晴美、脇坂優海香

http://www.geigeki.jp/performance/concert152/

http://www.geigeki.jp/wp-content/uploads/2018/06/c152-2.pdf

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b1810962

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