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2018年12月17日 (月)

南青山なんぼのモノか~ブランド信仰を笑う

南青山5丁目にある更地を区が国から買い取り、「港区子ども家庭総合支援センター」(仮称)=児童相談所(児相)を含む複合児童施設を建設する計画に対し、近隣住民からの反対という騒動。港区は15日、前日14日に続き6回目の大規模説明会を開いた。
もちろん、後述のとおり、理解を示し、賛成する人もいるのは事実だが、まず、反対者らの言動はこうだ。
「なぜ高い土地を買って南青山につくるのか?」、「保健所がある三田ではダメなのか」、「人口が増えている港南地区にすればいい」などはまだしも、次の発言に唖然とする。
近くに住む女性いわく、「3人の子を南青山の小学校に入れたくて土地を買って家を建てた。物価が高く、学校レベルも高く、習い事をする子も多い。施設の子が来ればつらい気持ちになるのではないか」。
「入所した子供が1歩外に出ると、そこには幸せな家族、着飾った人、おしゃれなカフェ。その場面と自分を見たときのギャップ。そんな状況が心配」。

他の人たちいわく、
「なんで青山の一等地でそんなもの作らなきゃいけないんですか」
「この周辺のランチ単価知ってますか?1600円くらいするランチ単価のところへ、なんで親が施設に子供を連れてくるんですか?」
「ネギ一つ買うのも紀伊国屋に行くような状況で、なぜそれがふさわしい場所なのかという疑問も感じます」
「青山のブランドイメージを守って。土地の価値を下げないでほしい」
「南青山は自分でしっかりお金を稼いで住むべき土地でもあると思いますし…」
「私は納税者ですよ。港区民を愚弄するんですか」
などと建設に強く反発とのこと。終了時間で質疑を打ち切ろうとした区の担当者に「まじめに答えろ」と怒声が飛ぶシーンもあった。

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不動産鑑定士の西原崇さんいわく、
「児童相談所ができたからって、地域の価値が下がる話は聞いたことがない。住民の怒号が飛んでいるとか、そっちの方が南青山全体のイメージが下がってまずいかな。憧れて住みたい人が減っちゃうかも」

児童相談所に詳しい人いわく、
「小学校に通う(児相の)子どもがつらくなる」という発言については、児童相談所の機能が正しく理解されていません。児童相談所に併設されるのはあくまで「一時保護所」ですので、支援対象の子どもたちが地域の学校に通学することはなく、「児童養護施設」と誤解しているのだと思います。もちろん、「児童養護施設だったら反対しても良い」というわけではありません」。

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もちろん、地元は反対する人ばかりではない。15日の説明会場内でも、ある男性はこう発言している。
「もし将来、子供に今回のことを聞かれたら、ブランドの問題でパパは反対した、とは、とてもじゃないけど言えないし、そんな父親にはなりたくない。今、こうしている間にも虐待されている子供はいるだろう。今回のことに反対するというのは、虐待する側にいることと、加担者になることとそれほど違わないことに思える」


街頭インタビューでも、昔から南青山に住む高齢の女性は、「今、児童虐待が全国で問題になっているのだから、そうした施設を作ることは重要(賛成)」
あるいは他の住民は「南青山に作る理由が解らないと言うなら、南青山に作るのはダメだという理由もよく解らないな」

南青山エリアで児童相談所建設の是非を改めて聞いてみたところ、20人のうち、賛成は12人、反対は8人だった。

反対派の住民からは「助けてあげたい気持ちはすごく強いが、なぜここ(に建設する)?もう少し様子が分かれば賛成するかもしれない」との声が聞かれた。

さらに、港区内の麻布エリアや白金高輪など“高級なイメージ”のある街で、自分の街に児童相談所ができるとしたら賛成か反対かを聞いてみると、麻布エリアでは10人中賛成9に対し反対1、白金高輪エリアでは11人中賛成11反対0と、いずれも「賛成」の声が強かった


https://www.asahi.com/articles/ASLDH4W9FLDHUTIL00K.html

加藤浩次さん
「会議の中で『食べ物が高い、良い服着てる我々を見たら嫌な思いするんじゃないか』と言ってたが、何言ってんの。幸せの価値観って全然違うでしょ。良い服着て、良い所住んでるのが幸せだと思ってる事自体が浅ましいし恥ずかしい事だと思う」


参考;南青山・児童相談所新設は、典型的な「NIMBY(私の近くではやらないで)」案件
https://blogos.com/article/345731/

参考;タレントのフィフィさんの皮肉
説明会に参加した在住の高齢女性が、「入所した子供が1歩外に出ると、そこには幸せな家族、着飾った人、おしゃれなカフェ。その場面と自分を見たときのギャップ。そんな状況が心配」、とコメントしたことにフィフィさんは、「あの辺歩いていても、金持ちって分かるような人を見ないよ。日本の金持ちってそんな感じだから大丈夫でしょ?」と皮肉った。
http://news.livedoor.com/article/detail/15753423/

参考;コラム南青山「児童相談所建設反対の声」を聞いて思うこと~歪んだ自己責任に殺される日
https://rocketnews24.com/2018/12/17/1152465/

三田友梨佳アナウンサー
「ランチ1600円とか、ネギとかそういう表現自体がね、ちょっと南青山の品位を下げかねないんじゃないかと思っちゃうんですけど。でも、事実こういうかたたちはブランドにお金を払って住んでいる人たちもたくさんいらっしゃると思うので、そのぶんこの児童相談所がどういう場所なのかも含めて、丁寧な説明は必要だったのかなと思います」
https://grapee.jp/576887

2018年12月21日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、100人の住人にアンケートを実施。賛成73人、反対16人、どちらでもないが11人だった。

追記
都会における地元意識に関する感想
居住する土地、地域を愛する感情は微笑ましいことだが、そのプライドが行き過ぎると、今、港区南青山で起きている見苦しい騒動になりかねない。土地、地域というものは、それ以外で暮らしている人からしたら関心外が普通だろう。ブランドといっても、時代の変化もある。例えば、昔はともかく、今どき「田園調布」を自慢する人も、そこに憧れる人もほとんどいないのではないか?ブランド意識というプライドそのものも、第三者から見ると、ひどく滑稽に感じることさえある。
敢えて失礼を承知で言えば、私の南青山に関する心象は「中途半端」だ。都内に限って言っても、中央区銀座のような徹底した高級感も無ければ、文京区本郷のような文化の薫りも無い。豊島区池袋のような下町感を残した多種多様な雑多さも無い。渋谷区円山町や新宿区歌舞伎町の猥雑さが無いのは仮によしとしても、世田谷区千歳烏山や豊島区東長崎、品川区の戸越銀座や旗の台、江東区の森下や砂町銀座などといった、良き下町風情を感じさせてくれる文化も無い。あるのは高級感を気取った中途半端さ。敬意も愛情も感じない。これが私の南青山に対する独断と偏見だ。
畢竟、土地へのプライド意識とは他者からみたらその程度のもので、他者に必要以上に優位性を強調したところで、多くの場合、他者からしたら「別に」「それがどうした」という域を出ないだろうと想像できる。
私の場合は、信州や富士山麓や岩手山付近等々、自然に抱かれた美しい土地に憧れるから、大都会に中には格別プライドを持つほどの地域は見出しにくい。都会における地域愛、地元愛は内に秘めておいたほうがよろしいかと思う。


南青山「児童相談所排斥運動」で露呈した、根深い偏見と悲しき現実
2018年12月24日の現代ビジネス~原田隆之氏
「くだらない「選民意識」で勝手に自分をレベルの高い特別な存在と思い込み、「レベルの低い人」を見下す姿勢には嫌悪感しかない。レベルが低いのは、一体どっちのほうだろう」
われわれのなかの「2つの顔」
おそらくは、反対運動をしている人々も、結愛ちゃんの事件のときは、みな悲しみ憤っただろうし、普段は善良な市民であるのだろう。
しかし、それは自分に火の粉が降りかからない限りにおいてであり、ニュースには涙を流しても、いざそれが自分の身の周りのこととなると、極端な偏見を顕わにしてまったく別の顔を見せる。
これは、多分彼らが特別な悪人だからではなく、われわれも同じような状況に置かれたとき、大なり小なりに同じような反応を見せるのかもしれない。
http://news.line.me/issue/oa-gendaibusiness/f53b286ee8bf

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