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2018年11月21日 (水)

ゴーン逮捕 内部通報以前のガバナンスの問題

取締役報酬額の有価証券報告書虚偽記載という
子供だましの手法に驚く。
バレないわけないでしょ。
今まで外部に出なかったことこそ問題。

西川広人(さいかわ ひろと)社長は憤っていたが、
社長を含む取締役会メンバーが(その中の誰も)
知らなかったはずはない。

少なくとも財務担当役員は100%知っていたはずだし、
内部通報も恐らくその周辺、あるいは内部監査や総務を含む
幹部クラスからのものだろうし、もしかしたら、
社長を含む役員の誰かが、部長級の幹部社員に通報を
促したのかもしれない。
独裁体制で自分らが直接動けなかったとしても、
調査開始の口実になるので。

言われているように「司法取引」すなわち、
事情を知っていた役員や部長級幹部に対して、
地検特捜部が、
「君らと法人の違法性は問わない、あるいは、
 刑事責任は問わないから、ちゃんと正直に全部言いなさい」
としたのはあり得ると思う。
いずれにしても、本来企業にあるべき、とりわけ上場会社に
無くてはならないガバナンスがまるで無かった、と言える。
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日産は監査役会設置会社なので、
監査役(会)は何をしていたのか?

同社の会計監査人である監査法人である
新日本有限責任監査法人は何をしていたのか?

役員報酬をチェックできない監査法人は
監査法人とは言えない。
「公認会計士が1人もいなかったんですね」
と皮肉を言われても反論できない。

しかも、添付した2018年3月期の有価証券報告書45ページ
を見ると、公認会計士33名を含む78名の体制で
日産グループの監査をしていたことが判る。
何をしていたのか?

今後、当然、検察により監査法人の責任も追及されるだろう。
「グルだった(本当は知っていた)のではないですか?」と。
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もし、監査法人が本当に気づかなかったとして、
考えられるのは、逮捕された2人と、財務担当役員ら
ごく少数の人間だけで、社内に知られないような形で
報酬を支払い、得ていた、
財務部門は虚偽記載の資料を監査法人に提出していた
 (これはたぶん事実だろう)
というとになるが、その場合は日産自体に損害を与えた
ことになり、本来もっと得られたはずの配当の観点からは
株主に対する重大な法令違反をしていたことになる。

株主代表訴訟は当然起きるだろう。

金融商品取引法違反以外にも、業務上横領や特別背任
といった容疑に加え、当然、脱税ということも出てくる
だろう。
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添付した有価証券報告書表紙と目次を除いた1ページに
経理部連結会計グループとあるが、このグループ長が
さすがに怖くなって「クーデター」に動いたのかもしれない。

同報告書の44ページ記載のゴーン氏の年間報酬
7億35百万円は虚偽記載。しかも、それに対しても、
今年6月の株主総会でもゴーン会長の報酬案に43%が反対
していたという。

ちなみに西川社長も4億99百万を得ている。
昔の日本の企業常識ではあり得ない額だ。
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有価証券報告書に先立つ株主総会の招集通知も
当然虚偽記載していたことになる。
添付書した今年6月の総会招集通知この16ページに
記載の取締役15名の年報酬15億6600万円というのも
虚偽で、ゴーン氏1人だけでも、それ以上に
受け取っていたことになる。

結果論として21ページに記載の
監査法人による監査報告書と、
22ページに記載の監査役会の監査報告書も
適正なものではないことになる。完全な違法行為だ。
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ゴーン氏の業績を讃える人も少なくないが、
2万人を削減してのことで、それだけの犠牲に立っている
ことを忘れてはダメだ。
それが無くでV字回復させたなら別だが。

「ゴーン神話」と言っても、
「彼が来てから国内販売網はズタズタにされ、
 売れそうな車種以外は切り捨てるなど、
 目先の数字だけを追い、コストカットと、
 ルノーや三菱自動車との3社連合によるシナジー効果で
 数字の見ばえを良くしてきただけだ」
という人もいる。
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今後、日産もルノーも三菱自動車もどうなっていくかは
誰にも判らないだろう。
ただ、遅きに失したにしても、この「クーデター」により
ウミを出し切ることで、
ガバナンス体制が健全で堅固なものになれば、
同社グループにとって好ましいことだし、そうしよう、
としての内部通報、社内調査、地検特捜部への情報提供
だったのだろう。
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有価証券報告書
https://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FR/2017/fr2017.pdf

株主総会招集通知
https://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/SHAREHOLDER/2017/shousyu2017.pdf

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追記
日産による、ルノーへの逆襲、ということかも
ゴーン氏のルノーCEOの任期は2018年までだったが、
今年2月、フランス政府はゴーン氏に3つの条件を提示し、
CEOの任期を2022年まで延長することを認めた。
3つの条件とは以下。
(1)ルノーと日産の関係を不可逆的なものにする
(2)ゴーン氏の後継者を育てる
(3)ルノーの中期計画を達成する

そして、実はこの3条件に加え、2022年までに
ルノーと日産の統合を進めるという密約もあった、
とされる。

任期延長の話が出る前までは、ゴーンはむしろ
それに反対し、日産の自主性を重んじるコメントを
していたが、CEOの任期延長を勝ち取るために
フランス政府に譲歩したのではないか、と、
西川社長らが疑心暗鬼に陥った、との説が説得力を
持ち始めている。

そうだとすると、やはりこれは、
日産がルノーの子会社になることを阻止したい経営陣による
ゴーン排除の「クーデター」ということになる。

フランスは「陰謀だ」と騒いでいるようだが、
 陰謀、大いに結構だ。

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