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2018年10月31日 (水)

小林由佳さん~「独演コンサート」

来年1月のバッティストーニ指揮の「千人」のソリストの一人
でもあるメゾソプラノの小林由佳さんのリサイタルを聴いた。

日本声楽家協会主催のシリーズ企画「独演コンサート」の
第128回の出演者。
会場はいつもの日暮里サニーホールコンサートサロン。
ピアノは朴令鈴(ぱくりんりん)さん。

私はこれまで小林由佳さんの歌声は、2年前の赤坂での
リサイタルのほか、オペラも含めて度々拝聴してきた。
特に昨年の東京二期会公演「ばらの騎士」でオクタヴィアンに
抜擢され、見事に大役を果たしたことは、彼女にとっても
エポックメイキングな挑戦だったに違いない。
素晴らしい歌声と公演だった。

この日の独演コンサートで由佳さんは「ゲーテに寄す」と題して、
ゲーテの詩に基づく歌曲、あるいはゲーテゆかりの人の関する歌曲、
あるいは由佳さんがイメージとしてゲーテを想起する歌曲などを
選んだことが特徴なのと、加えて、それらの歌曲やアリアに関して
第1部はドイツ語の歌、第2部ではフランス語の歌、として
披露したことも良いアイデアだったと思う。

演奏曲は以下のとおり。

 第1部

1.モーツァルト「すみれ」

2.シューベルト
 (1)ミューズの子
 (2)ガニュメート
 (3)糸を紡ぐグレートヒェン
 (4)魔王

3.シューマン
 (1)愛の歌
 (2)ズライカの歌
 (3)ミニヨン

  (休憩)

 第2部

1.トマ 歌劇「ミニヨン」より
   「知っている、故郷を?」(君よ知るや南の国)

2.オッフェンバック 歌劇「ホフマン物語」より
   「見ろ、震える弓の下で」

3.マスネ 歌劇「ウェルテル」より「手紙の歌」

4.ベルリオーズ 劇的音楽「ファウストの劫罰」より
   「激しい炎のような愛は」

アンコール シューベルト「楽に寄す」

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小林由佳さんの声は、メゾといっても明るく豪快な声なので、
私にはソプラノ・ドラマティコのイメージが強い。
このことは以前も書いた。
深い豊麗なトーンというメゾのイメージより、
明るく伸びやかで直裁的に飛んで行く声。

「すみれ」では正にその明るく伸びやかな声。
「ミューズの子」は元気な歌唱と言っても失礼には
 ならないだろう。
「糸を紡ぐグレートヒェン」は強い声で迫力十分。
そして前半のハイライトとも言える「魔王」は4人の声の使い分け
に工夫が見られたが、後半はむしろそうした要素より、
登場人物の親子にとって急がねばならない状況、という
全体の流れを重視した感のある歌唱だった。
前半最後の「ミニヨン」は情熱的でとても素敵。

休憩後の第2部は第1部にも増して充実した内容で、
私が特に感動したのはまず第2部冒頭の
 「君よ知るや南の国」。
情感、迫力いずれも見事。
「身よ、震える弓の下で」は声量豊かな「大きな歌」。

そして、後半1曲目とともに「ウェルテル」の「手紙の歌」も
この日の白眉と言ってよく、
劇的な要素のよく出たドラマティックな歌唱だった。

プログラム最後の「愛に燃え上がる炎が」も情感豊かに
歌って素敵だった。

アンコールは私の大好きな曲、シューベルトの
「An die Musik」。
これはメゾらしいしっとりとした、しかし格調高い歌声。

由佳さんは特に男性にとても人気のある人で、
会場の8割は男性客で、2曲目からアンコ-ルに至る
ほぼ全曲で、男性数名からの「ヴラヴォー」が
連続したのだった。

来年1月の「千人」は私は合唱で出る予定なので、
共演させていただくことが今からとても楽しみだ。

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