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2018年9月19日 (水)

安室奈美恵さんの引退に寄せて~We celebrate you

18日21時からの日テレ「安室奈美恵引退SP!最後の1年、最後の1日独占密着!緊急生放送」を見た。
日テレの近年にない大ヒットだ。
安室さんが全国ツァー最後の6月、東京ドームでのコメントでは、ファンやスタッフへの感謝の後、自分のことではなく、音楽全般、音楽そのものと、各人の人生、生活に関するコメントをされたことに非常に驚き、とても感動した。いわく、

「(私は)イチ音楽ファンとして、皆さんの素晴らしい毎日の中に
 常に素晴らしい音楽が溢れているよう、
 心からそう願っています。
 これからも素敵な音楽にたくさんたくさん出会ってください。
 25年間ありがとうございました。
 最後は笑顔で、みんな元気でねー! バイバーイ!!」

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こういうところが、多くの人から愛された理由なのかもしれない
と思った。
最後くらい自分自身のことだけを語ってもおかしくないのに。

また、正にラストの故郷沖縄での9月15日のコンサートは、
なんと単独ではなく、平井堅、Begin、MONGOL800、
DOUBLE、台湾からジョリン・ツァイ、ヤマピーこと山下智久さん
らとのコラボを選んだのだ。

それこそ最後くらい単独で行うのが普通と想えるのに。
「自分のフェスは6月で終わっているので、最後はコラボと
 いうかたちで、自分も楽しみたかった」と理由を語った。

そこには一種の「照れ」もあったにせよ、最後の最後は
ステージでの「孤独」より、アーティスト同士での盛り上げを
選び、実際、彼ら彼女らとの歌とダンスはカッコ良かった。

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「私は私。言う事を聞かない、生意気」と言いながら、
シャイで、喜びも涙も隠そうとしない正直さがあった。
安室さんは、誤解を恐れずに言うなら、
「普通」の延長線上にあるスタンスゆえ、多くの人から
 親近感を持って愛されたのではないか。

「普通の沖縄の女の子」が東京に出てきたが、
歌もダンスも「キレ」が良い。凄く恰好良かった。

普通の子だけど普通じゃない。
普通に感じるから、ファンは「自分も安室さん(みたい)に
なれる」と感じた。
むろんそれは「錯覚」だけれど、錯覚でないファン心理なんて
あるだろうか?

いや、「安室さんになれる」ではなく、
「安室さんなら、いつも自分といっしょにいてくれるかも
 しれない、いてくれる人に違いない」という「普通さ」。
それこそが、彼女が多くのファンを獲得した最大の要因に想える。

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1997年12月の出産前の「紅白」。
その後、(産休期間に)「忘れられてしまのではないか?」
 (復帰したとき)「受け入れてもらえるのか?」と、
強い不安を感じた。
それゆえの、復帰第一日が1998年12月の「紅白」で、
歌は1年前と同じ「CAN YOU CELEBRATE?」だったが、
嬉しさの涙で何度も歌がとぎれたのは誰もが知っている。
不安と葛藤が解消された瞬間だった。

お子さんの情報に象徴されるように、
彼女はプライヴェートをファンの前にさらさない。
「10代のころはカラオケで自分の歌もガンガン歌ってました」
「焼肉が好きです。フルーツとかはあまり食べず、
 結構ガッツリ派です」
「見逃したTV番組などをVTRで見たり、TVドラマを
 ボリボリお菓子を食べながら見ています」
「今は通販に凝っています」などの、
日常の一端は明かすが、あくまでもその程度で、
お子さんのことは語らない。

それは自分の問題であって、ファンが求めるのは
ステージでの自分の歌であり、ダンスであり、
ファッション等であることを知っているからだろう。

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シングルマザーであっても、それ以前と全く変わらない10代
であるかのように見え、行動する。
出産後も、それ以前と同じように「普通に」働くカッコ良さがあった。

ステージ人であることを誰よりも認識しつつ、しかし、
彼女は自分のことを「人とは別世界の人間」などとは
全く思っていないに違いない。
そういう「勘違い」は彼女には無い。
それゆえ「普通」であり続けられたのだろうし、
その普通さゆえ「Hero」「Heroine」になったのだ。

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彼女は言う。
「人生は一度だけだから、いつも自分らしくありたい。
 でも、芸能人は一人では何もできない。
 皆さんの人生のほうが絶対に楽しいですよ」
と笑いながら。

あるいは、
「10代は自由に振る舞った。20代は自由と仕事など。
 30代でバランスが良くなり、40代も楽しみにしている」と。

それでも、これまではファンが自分に求めているものも理解し、
振る舞ってきたに違いない。
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彼女は「永遠の10代」とも言えるし、
ため息が出るほど美しい41歳でもある。
その両面が内在している安室さんは美しい。

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引退公表後の昨年12月の最後の「紅白」では、
数日前から、かつて経験したことのないほどの高ぶり、
緊張があったというし、実際、そのリハでは笑顔が
薄れた。
それは責任感の表れに他ならない。

あの白い衣装での安室さんは驚異的なまでに美しかった。
「白と最後」という点で、山口百恵さんのラストコンサートも
一瞬連想したが、百恵さんには哀愁感と寂しさがあったのに
対して、安室さんにはむしろ「爽やかさ」が溢れていた。

歌い終わって涙が浮かんだが、それでも、
達成感からの喜びが全面に溢れていた。

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引退しても、きっとこれからも安室さんは、
これまでどおり普通に安室さんだろうし、
ファンもずっと変わらず安室さんのことを大事に思って
生活していくことだろう。

安室さんは去ったようで去っていない。
引退は残念なようで残念でない。「みんな、元気でね!」に
ファンは笑顔で応え、彼女の今後の人生を祝福する
ことだろう。
安室さんとファンたちの関係は、これからもずっと変わらない。
https://www.youtube.com/watch?v=YH4RnkpqAJU


2017年紅白
https://www.dailymotion.com/video/x6chmti

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