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2018年4月26日 (木)

クラシックと「兼業」脚光~23日日経新聞夕刊より

本23日、日本経済新聞夕刊の文化欄に標記のタイトル、
副題で「会社員・医師・准教授、ある時は音楽家」として
3人が紹介されている。
  更に本文に先立つ「小見出し」にはこうある。
「クラシックの世界でプロとして音楽と別の仕事を両立する
  「兼業音楽家」が存在感を増している。
 時間の制約をプラスに転化する「二刀流」の存在が
 クラシック界に新風を吹き込んでいる」、と。

まず指揮者として知られつつある坂入健司郎さん29歳。
慶大卒業後「ぴあ」に入社。在学中、フェドセーエフの
来日のたびに楽屋を訪ね気に入られ、「弟子」になったという。
東京ユヴェントスフィル他、いろいろ振り始めている。
私も来る9月、彼の指揮で「千人」を歌う予定だ。
先日、決起大会で振る姿に初めて接したが、
パッションが伝わる気鋭と感じた。


もう一人は1980年代後半からピアノ演奏の評判が新聞などで
取り上げられるも当時から「医師になります」と宣言していて、
実際今も医師だが、年に10回から20回リサイタル等演奏活動を
しているという上杉春雄さん。
私も昔、リリースされたCDを購入して拝聴している。
上杉さんは言う。
 「中途半端な兼業はダメ。聴衆は医者の音楽を聴きに
  来るわけではない、と肝に銘じている」。


そしてソプラノ歌手の武井涼子さん。
小学生のころから合唱をやり、音大に行くか悩んだが、
東大に進学。卒業後は広告代理店等で働いた後、
35歳でMBA(経営学博士号)取得を目的に米国留学。
そのときジュリアード音楽院の先生に声を認められて
レッスンを受け、帰国後、2012年には二期会の試験に合格。
今はグロービス経営大学院の准教授としてマーケティングを
教えながら歌手活動をしている。
「マーケティングの考え方はコンサートでお客様に
 いかに喜んでもらえるかを考えることと共通する。
  (逆に)歌で培った表現力や創造性はビジネスにも
 生きる」、としながらも、
「歌のレベルが落ちた時は辞める時」という覚悟のもと、
歌うことを忘れないという。


音楽評論家の鈴木敦史氏は、
「兼業の音楽家には恐れを知らない自由な発想があり、
 やりたい音楽を追求できる強みがある」と述べている。

なるほど、色々な意味で妥協や選曲を含めて意に沿わない曲を
演奏するということもプロ音楽家よりは少ないだろう。

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係る「兼業」を「プロとアマチュア。この2つの間の存在」として
しまうことは安直過ぎるかもしれない。
ましてや「兼業なんて中途半端で覚悟が足りない、甘い」と
否定することは避けたい。

人によっては様々な事情で、プロに専念専心する道に
行けなかった人だって少なくないだろうから。

3者に絶対的に共通することは「音楽が好き」ということ。
アマの多くは(あるいは何割かは)、
「音楽の世界で生きられたら最高だっただろうけれど、
 そこまでの才能はないし」という認識は程度の差こそあれ
共通するだろうし、あるいは才能があっても
他にもやりたいことがあった、とか、
「プロは必ずしも演奏したい曲ではない曲も演奏することに
 なるから、その道は選択しなかった」等々の理由から、
敢えてプロにならなかったという人もいるかもしれない。

「兼業」の人も、事情や状況で「違うビジネスの場」に進むも、
「どうしても音楽、それもアマ活動ではなく、プロ活動としての
場を希望する」として頑張ってきていると想像する。

「いったんは諦めた道かもしれないが、それでも
 自分の才能や夢を信じ直して兼業に挑む人」を
私は否定したくない。

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プロの道に行くべく音大等で真剣に学び、卒業後も
オーディション等に挑み続けながら道を開いている人は
本当に心から尊敬するし、実際、私は声楽家を中心に
少なくない人を直接知っていて、応援もしている。
実際はとても大変だろうけれど、そういう頑張りはファンには
自ずと伝わる。
それゆえに、人や組織等の状況に極力甘えないかたちで
チャレンジし続ける「プロ」は本当に素晴らしい。

それはそれとして、係る「兼業」も、各人が安易な安直な
中途半端を排して真剣に「両立」「二刀流」で邁進しようと
しているのなら、「あり」だと私は思うし、応援したいと思う。

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