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2018年1月14日 (日)

玉ちゃんが吹いたブラームスの4番~感傷的な思い出

私は大学時代3年次まで合唱を、4年にオケに移り、
卒業後はずっとOB管弦楽団でヴァイオリンを弾いて
います。ときどき、OB合唱団等で歌ってもいます。

1年生次、当時3年生でオケでフルートを吹いていた
Tさん(以下、玉ちゃん)という女性奏者がその年の定演で
吹いたブラームスの交響曲第4番の演奏が今でも記憶に
あります。

前日のゲネだったと思いますが、私やオケ1年生などの
降り番の友人らとそのリハを聴く中、第4楽章の97小節から
105小節にかけての、フルートのあの印象的な長いソロの部分
 ~2分の3拍子、実質は4分の拍子、曲想的には無拍子の
様な場面~が来た際、玉ちゃんは実に見事に吹いたのでした。

単に破綻が無いだけでなく、しっとりと情感を込めて、
ブラームスが「espressivo」と書いたとおりに吹き、
それは見事なものでした。

思わず、私たち数人は、顔を見合わせて誰からともなく
「うまいね」と感嘆したものでした。
40年近く前のことですが、あの「名演」を今でもはっきりと
覚えています。

それだけなら、感傷的に思い出すこともないのですが、
なぜか玉ちゃんは私によく声をかけてきてくれました。

当時、仮コー(仮講堂)という、今は立派な建物に替わって
いる場所に、古びた小さな体育館風集会所があった
のですが、そこで私がボーッとしていると、
「何してるの?」と玉ちゃんが声をかけてくることが
何度かありました。

組織上は同じ音楽部所属とはいえ、
オケ3年の女性と合唱団1年の男性ですから、
普通は(本来は)それほど接点が無いほうが普通だと
思いますが、なぜか玉ちゃんはよく声をかけてくれました。

とはいえ、毎回とりとめもない話をしただけだったと
思いますし、いわんやその後、カップルになったわけでも
ない。
都度なにげに会話していただけ。今考えても不思議です。

自慢にもなりませんが、私は女性から優しくされた記憶の
ほとんど無い人生を送ってきましたが、それゆえ一層、
あの玉ちゃんの「優しさ」を、
彼女のブラームスの演奏と共に忘れ難く感じています。

2006年、玉ちゃんが乳ガンが元で亡くなられた、
という訃報が届きました。
当時、「どうして卒業後、一度も会わなかった、会えなかった
 のだろう?」と悔んだものでした。

今でも時折フッと、あの見事な哀愁感漂う演奏と、
「何してるの?」という声を思い出し、
無性に玉ちゃんに会いたくなるときがあります。

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