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2017年10月 7日 (土)

マタイ受難曲~合唱団「鯨」創立50周年記念第69回定期演奏会

1967年12月に故・芥川也寸志さんによって設立、命名
された合唱団「鯨」による「マタイ受難曲」を7日午後、
東京芸術劇場大ホールで拝聴した。

「鯨」を拝聴したのは初めて。また、CDも含めて
「マタイ」を聴いたのも久しぶりだが、夜のOBオケの練習と
それに先立つ、来年以降の選曲や指揮者等の検討をメイン
としたパートリーダー会議の関係で、全曲は聴けず、
第1部全曲と休憩後の第2部が始まって数曲までしか
聴けなかったが、それでも満足度は大きい。

今更ながらにあらためて偉大な曲だと深く感じ入った。
死ぬまでに一度は歌いたい曲、とさえ思った。
長大さにたじろいでいる場合ではない。人生は短いのだから。

演奏でまず言及しなければならないのが
福音史家(エヴァンゲリスト)の畑 儀文(よしふみ)さん。
私的にはこの役の理想的な最高の声。
これ以上考えられないくらいエヴァンゲリストに相応しい
素晴らしい美声。

イエス役の多田羅迪夫さんもさすがと言うべき魅力的な声。
アルトの栗林朋子さんもこれぞバッハのアルトと思えるほどの
印象的な声と歌唱。
テノールの望月哲也さん、ソプラノの松原有奈さん、
バスの宇野徹哉さんもそれぞれの端正に歌われ、
立派だった。

今回初めて拝聴した昔から有名な「鯨」の今回の出演人数は、
ソプラノ45名、アルト41名、テノール19名、バス27名の、
合計132名。
テノールが少ないのは多くの日本の合唱団で見られる現象だが、
それにもかかわらず、この団のテナーパートは
とりわけ美しかった。

第27曲b「稲妻も雷鳴も」のフーガの迫力は見事。
ただ、第1曲合唱の最後の和音が
dur(長調)なのだかmoll(短調)なのだかはっきりしない、
ぼやけた和音になったのは気になった。
第1テナーか第2アルト(または両パート)のGisの音が
低すぎたのだろう。

2群に分かれるオケの、1993年に発足した
クライネス・コンツェルトハウス管弦楽団は「鯨」との共演は
8年連続8回目とのこと。
質感の美しい優秀なオケ。
プログラムのヴィオラに長谷川弥生さんの名がある。
チェロの長谷川陽子さんのお姉さん。

指揮は1980年からこの合唱団の常任指揮者を務めている
黒岩英臣さん。「鯨とのマタイ」は今回で4回目とのこと。
冒頭から劇場的なドラマとしての熱い演奏で開始。
今年75歳の黒岩さんは敬虔なクリスチャンで、
外見は気品を感じさせる紳士的な指揮者だが、
結構「熱い演奏」をされることは実は昔から知っていた。

私事になるが、1980年、大学3年次、大学混声合唱団の
学生指揮者をやらせていただいたとき、
オケとの合同曲を振っていただいた(ヴェルディ「聖歌四篇」)。
あのころの黒岩さんは修道院生活から現世に復帰
(1976年)してまだ4年しか経っていないころだった。
あれ以来、お話はしていないが、
機会があればご挨拶しに行きたい。

なお、プログラムの終わり近くに、参加団員全員の
一言コメントが掲載されていて面白い。幾つか挙げると、

ソプラノAさん「鯨入団初演がマタイ、今回が最後のマタイです」
Oさん「二度目のマタイ。今回は暗譜に挑戦しようと思う」
Hさん「7歳で始めた合唱、たくさんの思いを込めて歌います」
Fさん「マタイを聴いて入団を決意、夢のマタイに挑戦」
Yさん「マタイを聴いて入団。さて雷鳴は、終曲の安らぎは…」

アルトKさん「数十曲歌ってきた中でマタイが一番(受)難曲です」
Sさん「深い安息のうちに眠る亡き母に捧げるマタイの調べ」
Tさん「マタイを歌って退団でき鯨に感謝、末永く栄光あれ!」
Hさん「悲しい出来事の多い昨今、心に響くマタイを」

テノールUさん「終曲の美しさに涙、この感動を皆に届けたい」

バスOさん「2000年のマタイで入団、二度目の至福」
Kさん「早逝した永遠の旅人、息子に祈りを込めて…」
Sさん「今は亡き友と歌う受難曲、バッハのマタイ」
Tさん「今年失った2人の友にこの歌を届けたい」
Fさん「56年ぶりのマタイ。ボーイソプラノはバスに」等々。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出演者
指揮 黒岩英臣
畑 儀文   テノール(福音史家)
多田羅迪夫  バス(イエス)
松原有奈   ソプラノ(アリア、女中Ⅰ、ピラトの妻)
栗林朋子   アルト(アリア、女中Ⅱ、証人Ⅰ)
望月哲也   テノール(アリア、証人Ⅱ、祭司長Ⅰ)
宇野徹哉   バス(アリア、ユダ、ペテロ、ピラト、
            大祭司、祭司長Ⅱ)
クライネス・コンツェルトハウス管弦楽団
ゆりがおか児童合唱団 合唱指揮(指導)藤井大輔
合唱団 鯨 合唱指揮(指導)松村 努
http://kujira.org/

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