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2017年9月16日 (土)

SAWAKAMI OPERA クラシックコンサート

16日午後、さわかみオペラ芸術振興財団主催のコンサートを
イタリア文化会館アニェッリホールで聴いた。

最初に財団の理事長が挨拶し、イタリアに若い優秀な歌手を
留学させている活動を紹介された後、2010年にマントヴァ歌劇場
にて日本人としては初のイタリアの歌劇場音楽監督になられた
吉田裕史さん~現、ボローニャ歌劇場フィル芸術監督で、
さわかみ財団の芸術監督~も挨拶され、
①イタリアではいかに歌手が尊敬されている職業か
 (神から選ばれた人)、
②歌劇場はセリアA以下ランク別にどのくらいのオペラハウスが
  あり、歌手たちは下のランクから上のランクの歌劇場をめざし、
  役もマイナーなオペラの脇役から有名なオペラの主役までの
  間において昇っていくべく勉強していること。
  イタリアで日本人がイタリアのオペラに出演するのは、
  外人が日本で歌舞伎に出演するようなもので、
  いかに大変なことか、そうした厳しい競争の中で
  彼ら彼女たちは頑張っている、ということを述べられた。

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出演歌手は、ソプラノの岸七美子さん、梨谷桃子さん、
原璃菜子さん、バリトンの加藤史幸さん、バスの松中哲平さん、
賛助出演のテノール後田翔平さんの6人。

前半はソロで2曲ずつ。後半はソロおよび重唱を揃えた演目。
ピアノは篠宮久徳さん。

第2部からヴァイオリンの尼崎有実子さんと
チェロの黒川実咲さんが加わった(下記19を除く)。
演目については感想の後に記載する。

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このコンサートを知ったきっかけと、聴きに行った理由は
一致する。
7月の「OPERAMANIA2~ベルカントからR・シュトラウスまで」
で初めて聴いて、その実力に驚いた岸七美子さんが出演
されるから。

そのときのコメントも下記に記すが、その中で
「遠からず日本で人気歌手になる」は良い意味で訂正したい。
すなわち、この日も第1曲から圧倒的な声量で、
完成度の高い歌声を聴いてこう思ったのだ。

「岸さんは、日本のステージ(物理的なことだけでなく)に
 収まる人ではなく、世界の舞台で十分通用する歌手に
 なるに違いない、少なくともそのくらいの才能を有している」

と。控え目にいっても「世界で勝負して欲しいレベル」。

例えば、「常に気品のある声」と言うと、細めの声を連想しがち
だが、岸さんにはそれに「強さと、ほどよい肉厚の太さ」も
加わり、トーンもベルベットのような独特の色合いを伴う。
こうして書くと「後は何があるの?
(足りないものはもう無いのでは?)」と言うくらい、
多くの美質を持っている。
岸さんについてはこの日の個別ごとの感想よりも
そうした全体の印象を記し強調しておきたい。
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先日もフェイスブック内のやりとりで、Oさんが
「岸さんの進化、成長」を口にしていたし、
本日初めてご挨拶した「ぐらっぱ亭」さんも
「どんどん良くなっている。成長している」
と彼女の進化に言及されていた。

私は岸さんを知ってまだ2カ月足らずだが、
数年前から聴いてきた「ぐらっぱ亭」さんとOんが揃って
「岸さんのスケールアップ、成長、進化」に言及されて
いる点は、私のコメントより何倍重要で、意味があることだ。

・・・・・・・・・
なお、7月の「OPERAMANIA2」における私の感想は
以下のとおりだが、これに関しては
岸さんのお母様もとても喜んでくれたとのことで、
それは私にとっても思いがけない喜びでもある。

~7月に聴いた「OPERAMANIA2」の私の感想~

「この日、私にとって最大の「発見」、すなわち初めて聴いた
 歌手でまず言及しなければならない人が、
 ソプラノの岸 七美子(なみこ)さんだ。
 まだ若いと想うがその実力に驚いた。コントロールの巧みさ、
 声量、表現力、加えて個性的なトーンを持つ。
 現在、トリエステ国立歌劇場に所属というから、
 日本で歌う機会は今のところ少ないのだろうが、
 外見的にも可愛いらしく、遠からず日本で人気歌手になる
 に違いないと想像する。(中略)
 稀なほどの逸材だと強く感じ入った。今後が本当に楽しみだ」

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他の出演者の皆さんにもそれぞれ魅せられた。

梨谷桃子さんの声は確かに紛れもないソプラノの声だし、
凛とした伸びの良い見事な声だが、ベクトルというと
奇妙な言い方かもしれないが、内在する質感が、
メゾに求められるような哀愁感のある劇的であると同時に
内面的に深い意味合いを持つ曲と役が似合いそうな個性を
感じた。特に「神よ、平和を与えたまえ」が印象的。

原璃菜子さんは、前半だけ聴くと、明るいキャラの曲が
似合う印象を受けたが、第2部での「ドン・ジョヴァンニ」
での二重唱ではメゾに近いトーンによる劇的な歌唱も
十分できる人と判った。
この二重唱は特に素晴らしかった。

バリトンの加藤史幸さんは、ときにバリトンのような
重心のある声も持った人で、
有名な「私は町のなんでも屋」やトロバトーレの二重唱も
とても印象的だった。

バスの松中哲平さんは、今年(これから)イタリアに渡る
そうだが、力感あるバスで、特に「悲しい胸の思いは」が
良かった。

テノール後田翔平さんは既にだいぶ活躍されているだけに、
余裕のある歌声で、テナーだけれど中音域でも
「聴かせる」ことができる人。素敵なテナー。
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この日、全体を通して良い意味で混乱したのは、
テノールとバリトンとか、ソプラノとメゾとかの分類は、
ファンはそうしたことをいったん忘れて聴いたほうが
面白いのではないか、という事だ。

どういうことかと言うと、梨谷さんのところで書いた
「メゾに通じるベクトル」や、加藤さんのところで書いた
「バリトンを連想する色合い」など、個々の歌手には
当然ながら固有の独特の声の質感があるから、
テノールとかソプラノという「類型」は忘れて聴いたほうが
色々なことを感じ取れるのではないか、ということだ。
そうした面白い発見をしたコンサートだった。
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本演奏会は、財団主催の
「ジャパン・オペラ・フェスティバル2017」に出演のため、
留学先から一時帰国しているのだから、と、
急きょ開催が決まったようで、イタリア文化会館の
ホームページの演奏会情報にもアップされていないことも
あるのか、来場者数は少ないのが惜しい気がした。
これだけの充実した内容なのに。
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第1部
1.アルディーティ「口づけ」・・・岸 七美子
2.ガスタルドン「禁じられた音楽」・・・後田翔平
3.ドニゼッティ「永遠の愛と誠」・・・原 璃菜子
4.ビキシオ「マンマ」・・・加藤史幸
5.トスティ「最後の歌」・・・梨谷桃子
6.クルティス「泣かないお前」・・・松中哲平
7.プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より
   「私のお父さん」・・・原 璃菜子
8.ヴェルディ 歌劇「運命の力」より
   「神よ、平和を与えたまえ」・・・梨谷桃子
9.ロッシーニ 歌劇「セビリアの理髪師」より
   「私は町のなんでも屋」・・・加藤史幸
10.ヴェルディ 歌劇「海賊」より
   「初恋の頃には」・・・後田翔平
11.プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」より
   「ある晴れた日に」・・・岸 七美子

 (休憩)

第2部
12.モーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より
  「行って、無慈悲な人、行って」~原 璃菜子&後田翔平
13.ヴェルディ 歌劇「シモン・ボッカネグラ」より
   「悲しい胸の思いは」・・・松中哲平
14.ヴェルディ歌劇「仮面舞踏会」より
   「ここがあの恐ろしい場所」・・・梨谷桃子
15.プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」より
   「私の坊や」・・・岸 七美子
16.マスカーニ 歌劇「友人フリッツ」より
   「わずかな花を」・・・原 璃菜子
17.プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より
  「私のラウレッタ」~梨谷桃子&後田翔平
18.ヴェルディ歌劇「イル・トロヴァトーレ」より
  「聞いているな、夜が明けたなら」~岸 七美子&加藤史幸
19.ロッシーニ 「猫の二重唱」~梨谷桃子&松中哲平
アンコール
 ヴェルディ歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」~全員

イタリア文化会館は初めて行った。
地下2階のアニェッリホールは、ほどよい小ホールで、
音響も悪くないが、座席表がロビーに無いだけでなく、
座席の番号表示も見え難いので戸惑いを覚えた。

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