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2017年7月15日 (土)

IL DEVU~魂のうた~HAKUJU場所公演

IL DEVU(イル・デーヴ)~魂のうた~HAKUJU場所公演
~鷗、時代、そして~再びイル・デーヴ小論に代えて~

ある人が、メロンが嫌いな人に「人生で1つ損をしているよ」と言った
という逸話を借りば、「IL DEVUを未だ知らないでいることは、
少なくともこんにち生みだされている声楽アンサンブル音楽の
愉悦の1つを知らないかも」と言えると思う。

今回で確か4回目のライブ公演拝聴だが、この思いは
薄れるどころか、益々確信にも似て強くなるばかりだ。

毎年のHAKUJUでの本場所ならぬライブステージの今回は、
「IL DEVU~魂のうた~」と題されたもので、
主催を企画するHAKUJU側で毎回テーマも提案してきて、
それに基づき選曲等が行われるという、いわば幸福な蜜月関係
にある組合せ公演。

あらためてIL DEVU(イル・デーヴ)を簡単にご紹介すると、
テノールの望月哲也さんと大槻孝志さん、バリトンの青山貴さんと
バス・バリトンの山下浩司さんという、オペラにリサイタルに
それぞれが大活躍されている若手というか中堅オペラ歌手に、
これまた歌手の伴奏を中心に大活躍のピアニスト河原忠之さん
という、いずれも巨漢衆によるアンサンブルユニットで、
名は間違いなく海外で人気の2004年にデビューした
「IL Divoイル・ディーヴォ)」をギャク的にいじって、
巨体ユニットとしてネーミングしたのだろう。

なんでも「体重が90kgを割ったら強制退団」を余儀なくされる
という(笑)。
2011年デビュー。CDも既に2枚リリースされ、全国各地での
コンサートはチケット前売り開始の日には完売という公演も
多々ある人気ユニットだ。

日本にはポップスのかたちではあるが、「ダーク・ダックス」、
「ボニー・ジャックス」、「デューク・エイセス」の活躍によって、
自然に男声四重唱が受け入れられ、愛されてきた幸運な土壌が
あるが、「IL DEVU」は、そこに、クラシックの名歌手による
ユニットとして新たに参入し、クラシックをベースとしたという点
では、これまでになく本格的で、しかし親しみやすい、
ユニークで貴重なユニットの誕生と言える。
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今回のテーマによる選曲は次のとおりで、最初はまずソロで
各1曲歌い(弾き)、
その後は4人で、というのはいつもと同じスタイル

Ⅰ.1曲入魂の歌
 1.河原さんのソロで、シューベルト「楽興の時」第2番による
     オープング
  2.R・シュトラウス「4つの歌」より「憩え、我が魂よ」by山下さん
  3.リスト「ペトラルカの3つのソネット」より
     「私はこの地上で天使の姿を見た」 by 大槻さん
  4.メンデルスゾーン オラトリオ「エリア」より
     「満ち足れり、主よ我が魂を受取り給え」by青山さん
  5.ヴェルディ「レクイエム」より「私は嘆く」by望月さん

Ⅱ.日本合唱界で愛され続ける二人の作曲家による、
    愛すべき魂の共演
 1.信長貴富の愛すべき魂
   男声合唱とピアノのための「新しい歌」より
  (1)きみ歌えよ (詞=谷川俊太郎)
  (2)夕焼け   (詞=高田敏子)

(休憩)

2.木下牧子の愛され続ける魂
  (1)男声合唱による10のメルヘン「愛する歌」より
   ①雪の街、②ユレル、③さびしいカシの木、
   ④犬が自分のしっぽを見て歌う歌、
   ⑤誰かが小さなベルをおす
    (いずれも詞=やなせたかし)
 
(2)鷗(詞=三好達治)…DEVU版アレンジ伴奏付き初演

Ⅲ.日本の魂の歌~昭和ソングス~
  信長貴富編曲:「男声合唱とピアノのために「時代」より
 (1)サボテンの花(財津和夫;作詞作曲)
 (2)生まれ来る子供たちのために(小田和正;作詞作曲)
 (3)時代 (中島みゆき;作詞作曲)

Ⅳ.復興そして鎮魂の歌~未来の子供たちへ~
  「花は咲く」 菅野よう子作曲、詞=岩井俊二、
編曲=森田花央里…DEVU版アレンジ初演

アンコール
1.ひばり(木下牧子~男声合唱による10のメルヘン
「愛する歌」より)
2.いのちの歌 (松村崇継作曲、作詞=Miyabi)
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ステージも真っ暗にしての河原さんによる独奏で開始する
スタイルも定着。
前半にそれぞれのソロによる歌唱を置くスタイルも。
山下さんによる格調高いR・シュトラウス。大槻さんによる、
しっとりと抒情的なリストの歌曲。
青山さんは体格だけでなく声もふくよかで豊麗な歌声。
リリックで情熱的な望月さんのヴェルディ。

テーマが「魂」だけに、ふだんではリサイタルでは歌われない
ような曲が続いた点もユニーク。
そして、「君うたえよ」と「夕焼け」は私も歌ったことがあるが、
シンプルにしてポップ的な親しみ易い曲を美しいアサンブルで
聴かせてくれて、前半は終わった。
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後半最初の木下牧子さんの5曲は、10曲からなる「愛する歌」の
後半5曲で、13日にもHAKUJUで「IL DEVU」の公演があった
のだが、そこでは前半の5曲が歌われたとのこと。
「さびしいカシの木」は有名で、IL DEVUもCDに収めているし、
合唱だけでなく、歌手もソロで歌う機会が増えて来ている。
「雪の街」などもとても美しい歌だ。
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そしてもう1曲の「鷗」は、合唱ファンには「夢みたものは」とともに
有名な曲だが、望月さんが特に気に入り、自身のリサイタルでも
個人用に作曲者に編曲してもらい歌ったほどで、
今回も本来のア・カペラ(無伴奏)を、木下さんにピアノ付きの
男声四重唱という正にIL DEVU用にアレンジしてもらっての初演
だった。
望月さんによると、自身のリサイタルでは、この「鷗」と、
信長さんの「Fragments」という特攻隊員の書き残した言葉に
基づく歌をセットで歌われたとのことで、
「鷗」も確かに「カモメ」という言葉は一言も出て来ないが、
「彼らはやっと自由になった」が何度も繰り返される点で、
望月さんは②作品に共通するメッセージを感じたという。

4人の熱唱だけでなく、この望月さんの事前の解説からも、
曲に対する深い敬愛が伝わってくるMCだった。
この一連の歌が終わると、来場されていた木下さんを
望月さんが手で客席に差し出して紹介した。
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そして次が、このコンサートのバラエティに富んだ点でも注目に
値する、財津さん、小田さん、中島さんの有名な曲。
小田さんのハイトーンについて望月さんは
「原曲より下の調性で歌います」として小田さんがいかに
ハイトーンで歌っているかを間接的に伝えたのも印象的だった。

「サボテンの花」での特に大槻さんの美しい声が素敵だったし、
「時代」での4人のハーモニーが素晴らしかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、森田花央里さんによるDEVU用のデーヴにぴったりの
素晴らしい編曲による「花は咲く」は印象的で、このいまでは
誰もが知るゆえに、曲自体の新鮮さは薄れたと想える曲
 ~むろん復興は未だ未だ未完だが~が、新しい曲として
生まれ変わったかのような新鮮な歌として歌われたのだった。

この曲を選ぶ中心になされた大槻さんによる、そのいきさつ
 ~HAKUJU(株)白寿生科学研究所代表取締役社長、
 原昭邦氏の活動も紹介しながら~の解説は非常に素晴らしく、
それだけ聞いているだけで感動したほどだった。
大槻さんの人柄が滲み出た素晴らしい解説と選曲だったと思う。
・・・・・・・・・・・・・・

アンコール1曲目は、先述の13日の公演で歌ったという木下さんの
「愛する歌」から、この日のプログラムでは入れていなかった
「ひばり」と、朝ドラの中で歌われたことがきっかけで有名になり、
今では多くの歌手により歌われるようになってきた「命の歌」が
歌われて本公演が終わった。
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終演後、サイン会があったが、私をはじめ多くの人は既に以前購入
してサインもしてもらった人が多かったようで、
プログラムへのサインOKということを私を含めて100人前後の
人がならんだ。私は青山さんと大槻さんとはFBで友人になって
いただいているし、山下さん、望月さん、河原さんともこうした
サイン会で(短いなから)何度もお話させていただいているので、
先程の中での歌唱の感想とか、今後の個々の出演についての
やりとりをそれぞれとさせていただき、会場を後にした。
https://www.toho-music.ac.jp/college/concert/concert/2017052601.html
http://www.hakujuhall.jp/syusai/101.html

参考「パセラ」
https://www.youtube.com/watch?v=gIiCat2u8tg
見上げてごらん夜の星を byイル・デーヴ
https://www.youtube.com/watch?v=XCupgJ2ccPw

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