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2017年6月 4日 (日)

コーア・リヒト 第2回演奏会

混声合唱団の「コーア・リヒト」の第2回演奏会を4日午後、
浜離宮朝日ホールで聴いた。プログラムによると、
安藤常光さん指導の下、「幸せや希望を聴衆の皆さんと共有
できるよう表現力豊かな演奏を目指す」というコンセプトで、
2014年3月に設立され、今回は2015年9月の第1回演奏会
に次ぐもの。安藤氏の言葉を加えると
「歌う人も聴く人もみんなが幸せになれる合唱団」を
掲げての結成とのこと。

ソプラノ=11名、アルト=10名、テノール=7名、
バス=6名、とバランスも良い。

指揮はもちろんバリトン歌手でもある安藤常光さん。
最近、TVのカラオケ勝ち抜き番組にも出ていたし、
以前は東京コーラスも指導、オペラの演出、教育、
マルチで活躍されている。

曲は以下のとおり

1.武満徹 混声合唱のための「うたⅠ、Ⅱ」より
 (1)○と△の歌 (2)島へ (3)小さな空

2.ブルックナー モテット集より
 (1)Locus iste (2)Os iusti

3.廣瀬量平「海鳥の詩」(詩=更科源蔵) ピアノ=片野敦子
 (1)オロロン鳥 (2)エトピリカ (3)海鵜 (4)北の海鳥

(休憩)

4.バッハ モテット第1番「歌え、主に向かって新しい歌を」BWV225
   オルガン=片野敦子 チェロ=福原明音

5.高田三郎 水のいのち (詩=高野喜久雄) ピアノ=野間春美
 (1)雨 (2)水たまり (3)川 (4)海 (5)海よ

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このように、実にヴァラエティに富んだ、というか、
曲想がまるで違う曲がならぶので、聴く側は面白いが、
歌う側としてはきっと大変だったに違いない。

1曲目の出だしから、総和としての響きが清々しく美しい。
1人1人の基礎力が高いことは容易に想像がつく。
ユニークだったのは、1の武満の3曲と、2のブルックナーの
2曲を交互に歌ったことだ。

すなわち最初は「○と△の歌」、次いで「Locus iste」、
その次は「島へ」というように。
それぞれ別に歌っても良いとは思ったが、面白い試みだった。
この2曲は無伴奏。

武満で感じたことは、非常に真面目で真摯な合唱だし、
美しい響きなのだが、指揮者が拍を明瞭に振るその分、
やや楷書的となり、流動感はあまり感じなかったこと。
もう少し草書的な流れがあっても良かったとは思う。

でも、たぶん、それは安藤氏の狙いというか、
まだできて間もない合唱団ということもあり、
キチンと合唱する根本姿勢をつくっている段階ゆえ
かもしれない。

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ブルックナーのモテットは響きが美しいし、
和として聴こえて来る言葉も明瞭ながら、
ラテン語の個々の単語としての意味合いというか
1つの単語が「立って浮かび上がる」点がやや薄い感じが
した。この曲では旋律としての流れは丁寧だったが、
1つ1つの単語の粒立ちがもっとあれば、なお良かったと想う。

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片野敦子さんのピアノ演奏とともに演奏された前半最後の
「海鳥の歌」はとても充実していた。
特に2曲目の「エトピリカ」は①流れ、②子音の明瞭さ、
③音量の増減(強弱)のいずれも素晴らしかったし、
「海鵜」も良く、「北の海鳥」では自在で自由な伸び伸びと
した感情の発露があり見事で素晴らしかった。
これらの要素が1曲目の「オロロン鳥」にもあれば
更に良かった。

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休憩後のバッハでは、片野さんがオルガンを弾き、
チェロの福原明音さんのオブリガート演奏を加えての演奏。
この曲では1曲目の速いパッセージは見事に流れて行き、
かかる流動感は武満やブルックナーでは感じられなかった
もので、曲想が違うから、と言えばそうだが、
まるで別の合唱団のように変化したのが面白かった。

これも安藤さんの狙いに違いないし、成功していたと思う。
なお、この曲だけ、テノールがソプラノとアルトの間に移動
しての演奏。その狙いは理解できたし、効果的だったと思う。

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最後は言わずと知れた名曲。
ピアノは野間春美さんに替わっての演奏。
1曲目の「雨」は弱音に徹した繊細な演奏。
有名な「川」は腰の座った演奏で全体のエネルギーは立派
だったが、欲を言えば、弱音で開始して欲しいフレーズが
あったり、柔軟なメリハリがやや足りない感じもしたが、
それも恐らく安藤さんの今回考えに基づくものなのだろうと
想像する。

同じ傾向は終曲でこれまた有名な「海よ」にも感じた。
「海よ」では様々な場面設定が為され、それが展開していく
面白さと難しさがあるのだが、全体の歌い込みは立派ながら、
細やかな音量変化は敢えて今回は注力していないように
想えた。

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このように「水のいのち」全体しての熱い歌い込みは見事
ながら、ディティールの歌い分けに馴染んでいる人には、
やや単一の色合いに想えたかもしれない、
そういう演奏だった。
それは、たぶん、終始、「キュー」を明確に出し、
情熱的に大きな動作で指揮する安藤さんのコンセプト
によるものだろうし、そういう意味では指揮者の求めに
十分答えられた演奏、合唱だったと言えるだろう。

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アンコールでは木下牧子さんの「夢みたものは」が
終始弱音で繊細に歌われ、
最後は同じ作曲家の「鷗(かもめ)」が颯爽と歌われ
素晴らしかった。
この「鷗」はプログラムによると、普段の練習の中でも
注力する特別な歌となっているようで、
いわば「オハコ」、団としての愛唱歌的存在として
今後も歌い繋いでいく曲のようだ。

この「鷗」を歌っている様子から、
団員は皆この合唱団が好きで楽しくてしょうがなんだろうなあ、
ということがよく伝わってきた。
コンセプトである「幸せや希望を聴衆の皆さんと共有できる、
歌う人も聴く人もみんなが幸せになれる」ことが
最も象徴的に表れていたのがこの「鷗」だったかもしれない。

なお、今回、合唱団が暗譜で歌ったのは武満と
「水のいのち」とアンコール2曲。
今後の活動も楽しみにしたい。
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/20170604.pdf

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