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2017年6月14日 (水)

中嶋朋子が誘う「音楽劇紀行」第三夜

初拝聴サラ・オレインさんと森谷真理さん~HAKUJU

<中嶋朋子が誘う「音楽劇紀行」第三夜>をHAKUJUで聴いた。
演出家の田尾下 哲さんが総合プロデュースし、
女優の中嶋朋子さんが「案内人」を務める全6回シリーズで、
統一副題が「バロック・オペラからミュージカルへ
 ~音楽劇の歴史を追う~」とする、
その3回目がこの日の公演で「ロマン派オペラⅠ
 ~イタリア・オペラ」という内容。

もっとも私は前2回を見ていなので、今回が初拝聴。

中嶋朋子さんによる一人芝居(独白)の形式により進行し、
その流れの中で歌手が歌うというスタイル。

キャストと演奏曲は以下のとおり。
曲目の( )は歌った歌手名。

田尾下哲(総合プロデューサー)、中嶋朋子(案内人)、

加藤昌則(ピアノ演奏&音楽監督)、長屋晃一(台本)

森谷真理(ソプラノ)、与那城敬(バリトン)、

鈴木准(テノール) 、サラ・オレイン(アーティスト)

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第1部

1.ドニゼッティ「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」(鈴木さん)

2.ロッシーニ「セミラーミデ」より「麗しい光が」(森谷さん)
 (この1~2がロマン派オペラⅠ~イタリア・オペラ)

3.ヘンデル「タメルラーノ」(バロック・オペラ) より
   「力強く嬉々として死を臨みたい」(鈴木さん)

4.モーツァルト「フィガロの結婚」(古典オペラ)より
  (1)「何たることだ!直ちに行って」(森谷&鈴木&与那城)
  (2)「あなたはもう訴訟に勝っただと!」(与那城さん)

5.ビゼー「真珠採り」(ロマン派オペラⅡ)より
   「聖なる神殿の奥深く」(鈴木さん&与那城さん)

・・・・・・・・

第2部
6.レオンカヴァッロ「道化師」より「こんな時間に」
   (森谷さん&与那城さん)

7.プッチーニ「ラ・ボエーム」より
   「ミミ! ここならあなたに会えると思って」
   (森谷さん&与那城さん)
  (この6~7がロマン派オペラⅠ~イタリア・オペラ)

8.レハール「微笑みの国」(オペレッタ)より
   「君はわが心のすべて」(鈴木さん)

9.ロイド=ウェバー「オペラ座の怪人」より
   「スィング・オブ・ミー」(オレインさん)

10.バーンスタイン「ウェストサイド物語」より
   「ひとつの心」(オレインさん&与那城さん)
   (この9~10がミュージカル)

11.ヴェルディ「リゴレット」より
   「そうだ、復讐だ!恐ろしい復讐だ」
    (森谷さん&与那城さん)

12.ヴェルディ「ナブッコ」より
   「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」
   (森谷&与那城&鈴木&オレイン)

追加寸劇(下記のとおり)

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加藤さんがゆったりテンポで「行け、わが想いよ~」をBGM調に
弾く中、中嶋朋子さんのユーモアを交えながらの独白は
特別面白いというわけでもなく、字幕は無いし、
確固たるテーマの割には(前2回は知らないが少なくとも今回は)
選曲の統一感(コンセプト)においても、いささか散漫な気がした。

それらを補って余りあるのが歌手の歌声。
特に与那城さんが絶好調だったし、この日、
生では初めて聴いた森谷さんは、たぶんしっとりとした歌も
コロラトゥーラの曲も、どんな曲想も歌える人に感じた。
声質が細すぎず、ドラマティックな場面でも繊細な場面でも
良い意味で器用に歌われた。
今売れっ子だけのことはある優秀なソプラノだと思う。

鈴木さんは第1曲のネモリーノのアリアから以前にも増して
ヴィブラートが多い歌唱で少し驚いた。
その分、エスプレッシーヴォは利いているが、
ストレートで澄んだ声で歌われることの多いこのアリア
なのと、鈴木さん自身が正にピュアな声の持ち主のはず
なので、余計に驚いた。

そして、Eテレ「おとなの基礎英語」やNKKドラマ10
「お母さん、娘をやめていいですか?」の主題歌
 「Little Doll」でも話題となった才女サラ・オレインさんは
2つのミュージカルをとても端正に美しく歌って
十分素敵だった。

・・・・・・・・・・・・・・

このように、歌には満足しながらも、正直、構成や進行、
選曲の統一感に疑問を感じて、このまま終わるのだろうな、
と思ったら、最後にある種の「ドンデン返し」が待っていた。

11の「行け、わが想いよ~」が中嶋さんの朗読主体で、
4人の歌手はテーマをハミングするだけで「おかしいな?」と
思っていたら、本当の最後として、寸劇が加えられたのだ。

プログラムをよく読むと、「過去2回とも最後は
加藤昌則さん作曲による寸劇が上演され」とヒントは
書いてあったのだが、正に「新作」が披露された。

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台本=長屋晃一、作曲=加藤昌則の~「愛の「妙」薬」。
4人の歌手が、ステージだけでなく、左右両通路も使っての
日本語による喜劇調の寸劇。
森谷さんと与那城さんのカップル、鈴木さんとオレインさんの
カップルが、「妙薬」でチワゲンカ状態になるが、
結局は元のサヤに収まる、という、たわいもないものだが、
音楽も含めてユーモラスで、これがこの夜、一番「受けた」
と言ってよいほどの傑作終演となったのだった。
とても面白いコンサートだった。4回以降も期待したい。
http://www.hakujuhall.jp/syusai/97.html

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