« 魔笛~セリフカットのナレーション進行という演出に強い不満と憤りを覚える | トップページ | 証言 »

2017年3月26日 (日)

音楽大学フェスティバルオーケストラ~マーラー6番~圧巻の終楽章

第6回音楽大学フェスティバルオーケストラの演奏会を
26日午後、東京芸術劇場で聴いた。

指揮 高関 健

曲 1 ドビュッシー「海」

  2 マーラー交響曲 第6番 イ短調

音楽大学フェスティバルは2つの演奏会形態があり、
1つは2009年に第1回が開催されて今日に至る
 「音楽大学オーケストラ・フェスティバル」で、昨年11月から
12月にかけて、その第7回が開催委された。
それは1つの演奏会で2つ、ないし3つの音大のオーケストラ
による演奏会で、それが1ヶ月から2カ月内において
ミューザ川崎と東京芸術劇場を使い、以下の9つの音大オケが
演奏するという興味深いシリーズ。

参加大学は(五十音順で)上野学園大学、国立音楽大学、
昭和音楽大学、洗足学園音楽大学、東京音楽大学、
東京芸術大学、東邦音楽大学、桐朋学園大学音楽学部、
武蔵野音楽大学。

・・・・・・・・・・・
そしてそれ以外にも個別ではなく、選抜合同オケのかたちで
 「音楽大学フェスティバルオーケストラ」として演奏会が
開かれており、今回聴いたのはそれで、この第6回公演も
これまで同様、ミューザ川崎(25日)と東京芸術劇場を使う
2回公演としている。
合同オケでの演奏会を私が聴くのは確か2回目だと思う。

個別でももちろん各音楽大学オケの演奏を知る楽しみがあるが、
こうした合同イベントももちろん賑やかで楽しい。
そして今回は特に9大学に加えて、昨年の熊本地震で
被災した九州の2つの大学=平成音楽大学と
大分県立芸術文化短期大学の学生も数名加わり、
復興支援と交流を図るかたちで編成されたとのこと。

プログラムを見ると、平成音大からはファゴットとトロンボーン
に1名ずつ、大分からはヴァイオリンとクラリネットに1名ずつ
確認できる。
その他、運営委員としても別に2名参加されている。

合同オケだから編成は大きい。
第1ヴァイオリンが18名。第2ヴァイオリンが16名、
ヴィオラが14名、チェロが12名、コントラバスは圧巻の10名だ。

そして管楽器と打楽器の各パートとハープはそれぞれ、
前半のドビュッシーと後半のマーラーで総入れ替えなので、
本当に大勢の人が参加している。

・・・・・・・・・・・・・・

前置きが長くなったが、感想を少し書いておきたい。
オケの配置は、私は好きではないが最近なぜか流行りの
対抗配置。
「海」は楽器の扱いとしては第2曲「波の戯れ」が面白く書かれて
いるし、第3曲の「海の風の対話」はよくできていると思うが、
第1曲の「海の夜明けから真昼まで」のオーケストレーションは
やや退屈だ。
終わりに出る有名で壮大な部分も唐突に登場するのが疑問で、
これがマーラーなら、そこに至る入念な仕掛けを綿密に書いた
だろうな、と想像する。
演奏も特に第3曲は良かったが、終わるやいなや3階からか、
気違いじみた絶叫的ブラヴォーが出たのには興ざめで閉口
した。
海外有名オケの演奏会でもあれほど異様な歓声はあがらない。

なお、トランペートの1番を吹いた女性は、以前聴いた合同オケ
でも吹いていて素敵な演奏をしたのを覚えている。

覚えているといえば、若い頃少しだけつきあった音大作曲科卒
の女性がこの曲がとても好きだった、
というショーモナイことを少し懐かしく思い出した。

・・・・・・・・・・・

休憩後はマーラーの6番。

第1楽章の冒頭のコントラバスは10人のわりには音が弱い。
こういうところが私が「対抗配置」を疑問に思い、
気に入らないところで、そうした「弱さ」がモロに出るのだ。
弦全体も管打に比べて弱いのはヴァイオリンが指揮者を
はさんで左右に分離されていることと無関係ではないと想う。

76小節のいわゆる「アルマのテーマ」は決然とせず、
モヤと出てメリハリが無い。展開部に入り158小節からの
印象的な部分での行進曲のリズムを刻む打楽器の音がヌルイ。
確かに打楽器はメゾフォルテだが、もっと鋭く強いくらいが良い
と思う。
要するに「アク」というデフォルメがないので、
マーラーの毒気を感じないのだ。

合奏としては立派でも全体とて「まとまり感」しか感じない
面白みの無い演奏。この楽章は気に入らなかった。

以前も書いたが、第2楽章は私はスケルツォをもってきたほうが
良いと思う。第1楽章の熱感をそのまま継続して次の楽章に
入ったほうが好ましいと思うからだが、
高関さんはアンダンテを第2楽章に置き、
第3楽章をスケルツォとした。

演奏自体はいずれも良かったが、ただ、ただアンダンテは
誠実に歌いながらもテンポの揺れが無いので、
退屈感も少し覚えた。
・・・・・・・・・・・・・・・

第4楽章の凄まじいオーケストレーションを今回の大編成の
オケは如何なく実力を発揮した熱演だった。
これこそサスガ音大のオケだと思う。一般大学はもちろん、
優秀な社会人オケでもここまでできるかどうか疑問と想える
ハイレベルな演奏と集中力。
いつもは、その効果に疑問を感じていた「ハンマー叩き」も
奏者が優秀なのか、ハンマーとその台がよくてきているのか、
とても効果的に響き、プロアマ問わず、ライブや録音も含めて、
これまで聴いた中で一番「よい叩き」だったと感じたし、
この終楽章全体も文句なく素晴らしかった。

後半が始まる前に場内アナンスで
 「演奏後の余韻を楽しんでいただきたく、拍手は指揮者が
  動いてからでお願いします」という、最近はやりの、
ある意味情けないアナウンスが功を奏してか、
直後の絶叫は無くで良かった。

・・・・・・・・・・・・
マーラーの中でも、この6番のオーケストレーションの凄さは
抜きん出ている。
R・シュトラウスも遠く及ばないほどの圧倒的な楽想、楽章。
特に地獄の連続のような終楽章は凄まじい。

それでも疑問に想う点は少なくとも3つほど有る。
1つは第1楽章と終楽章で使われるカウベルの使い方だ。

いずれも出て来るのが唐突すぎるし、
消え去るのも唐突の感があり、ストーリーテラーたるマーラー
の力量を感じさせてくれない。

なお、今回の演奏では、客席右手舞台ソデの扉を開けて、
演奏したが、第1楽章では扉とステージのギリギリなところでの
演奏と、奥での(客席からは見えない位置での)演奏とに
使い分けていたのは面白かった。

2点目は終楽章のハンマーで、有名な「ネタ」の割りには
響きのインパクトでその効果に疑問を持っていたが、
先述のとおり、今日の演奏はとても素晴らしく、
 「初めて効果的であることを知った」と褒めたい。

3点目は終楽章の最後の最後の部分。
ケタタマシイ強奏の連続で来たのに、急に静かになるのだが
 (練習番号165=790小節目)、いささか急過ぎ、
もっと静けさに至る仕掛けが欲しい気がしてならない。
もちろんこの唐突感がマーラーの狙いでもあるのだろうけれど、
もっとたっぷりとした平原のような静けさを創って
もらいたかったと感じる。

なお、この日の演奏では終わりから3小節前の「ff」の一撃は、
特にパーカッションが完璧に揃い見事だった。
さすが音大オケだ。
・・・・・・・・・・・・・・

なお余談だが、アンケート用紙の中で「その他」のところに
次のように書いておいた。

 「コンマスが後から独立して入場する必要なし。
  お客に拍手を2回もさせるな。拍手は指揮者にだけでよい。
  コンマスのイスも他の団員と同じでよい。
  黒イスにする必要がありますか?
  海外の有名一流オケほど、こうした2点はしないですよ。
  国内の三流オケこそしたがる。
  音大オケこそ、率先して係る悪習を断ち切ってください」

« 魔笛~セリフカットのナレーション進行という演出に強い不満と憤りを覚える | トップページ | 証言 »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック