« そして旅に出た~モノガタリとコエカラダと  コーロ・カロス公演 ユニークな合唱オペラ | トップページ | 俊友会管弦楽団 第57回定期演奏会 »

2016年10月22日 (土)

長谷川陽子さん&錦織健さん~チェロと歌のデュエット

長谷川陽子さん&錦織健さん
~チャレンジと遊び心に満ちた愉悦のコラボ

10月22日(土)の午後、
チェロの長谷川陽子さんとテノールの錦織健さん「だけ」の
デュオコンサートを東京オペラシティで聴いた。
ピアニスト無しの、本当に2人だけの異色のコンサートで、
しかもリサイタル(小)ホールではなく、コンサート(大)ホール
なのだが、2人の人気を物語り、ほぼ満員の入りだった。

なお、私は長谷川陽子さんのファンクラブ会員で、会員は皆、
長谷川さんのことを「陽子さん」と呼ばせていただいているので、
以下もそう記します。

曲は以下のとおりだが、8の陽子さん単独ステージのカサド、
9の錦織さん単独ステージでの3曲を除いた、
コラボの曲は全て(松村禎三氏門下の作曲家)柿沼唯さん
による編曲で、これがどれも見事だったことは
最初に言及しておくべきだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ピアノ伴奏が無いから、必然的に陽子さんのチェロが
その役をほぼ全て演じることになる。
「ほぼ」と書いたのは、例外の面白い設定として、
3のホフマンの舟歌と4のビゼーの曲は、
主旋律がチェロ、錦織さんが~例えば3では
「ムン、ム・ムン・ム、~ムン、ム・ムン・ム、~」等、
声による伴奏オブリガート演奏をしたのだった。

これは、この演奏会の企画を知った友人から
「どうせメロディーは全てテナーが歌うだけだろう」
と冷やかされたとき、錦織さんが「そんなこともないよ」と
「応えてしまった」ことによるチャレンジとのこと。
歌い終わると「伴奏がいかに大変か解った」
とコメントされた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5のバッハでは、まず「バッハと言えば」と錦織さんが振り、
陽子さんが(一瞬の間があり)「先日、来日しましたね」、
錦織さん「ボート競技上をづするかとか」と、
IOCのバッハ会長とつなげたのだが、間があったので、
「ボケの打合せを事前にしてあったけど~陽子さんが~
 忘れたのかと焦りました」と会場を笑わせた。

その「G線上のアリア」では、錦織さんが主旋律ながら、
終始「ルー」とスキャットで歌われて、とても印象的だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

例外を除けば、陽子さんのチェロが、ピアノを役を演じる
わけだから、それは大変な作業だ。
もちろん「ピアノの役の代わり」というような消極的意味とは
異なり、弦の重音、低く深い音からハイポジションを駆使し、
ピッツィカートも有効に取り入れた見事な編曲を、
ときにダイナミックに、ときに繊細に等々、様々に弾き分けて
錦織さんをサポートし、あるいは協奏し、複雑にして効率的にして
実に音楽的なオブリガートを創造して演奏した陽子さんは
サスガだった。

そして、前半最後の2曲は、錦織さんの衰えのない美しい声
により、日本語の歌の素晴らしさを実感させてくれるもので、
とりわけ長大な「さとうきび畑」は感銘深いものだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

休憩を挟んでの後半は、まず陽子さんによる単独ステージ
として、有名なチェロ奏者だったカサドが作曲した
無伴奏チェロ組曲を弾いた。
重和音はハイポジション、ハーモニクス(フラジオレット)全開
の難曲大曲だが、とても良い曲で、
陽子さん技巧も冴え渡って見事だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

続いて今度は錦織さんがギターを持って登場し、
3曲を1人のステージとして歌ったのだが、
1曲目の途中から客席通路に下り、
2曲目も3曲目(の途中まで)も、全ての通路を行き来して
会場の聴衆の目の前で歌う、というサービスを披露し、
やんやの大喝采を浴びた。

そして再びデュオとなり、「ふるさと」でしっとり歌った後、
2012年の共演の際に歌い、評判を呼んだという、
「いきものがかり」の「風が吹いている」で楽しさを客席に届け、
アンコールでの「ムーン・リバー」では洒落たポーズで
会場を笑わせながらも、ムーディに歌い、
錦織さん得意のジャズ・ポップナンバーである
「スタンド バイ ミー」で沸かせて、
このユニークで愉悦に満ちたコンサートを終えたのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ポップス系の歌も大好きで、性格的にも笑わせてくれる錦織さん
ゆえの面白いステージと、それを陽子さんが重音連続の
オブリガートでも格調高く見事に弾いて支えることで、
その対比、融合、展開等が生じ、正に「コラボ」の醍醐味を
味わえる演奏会となった。
今後も継続して欲しいデュオ企画だ。

演奏曲目
1.モーツァルト:ラウラに寄せる夕べの想い
2.スカルラッティ:すみれ
3.オッフェンバック:ホフマンの舟歌
4.ビゼー:「真珠採り」より “耳に残るは君の歌声”
5.J.S.バッハ:G線上のアリア
6.滝廉太郎:荒城の月
7.寺島尚彦:さとうきび畑

 (休憩)

8.チェロ独奏ステージ~カサド:無伴奏チェロ組曲
9.錦織さん単独ステージ
(1)ドニゼッティ 歌劇「ドン・パスクァーレ」より”何というやさしさ”
(2)モドゥーニョ:ヴォラーレ
(3)カプア:オー・ソレ・ミオ
10.岡野貞一:ふるさと
11.いきものがかり:風が吹いている

アンコール
1.マンシーニ ムーン・リバー
2.ベンEキング スタンド バイ ミー
https://www.japanarts.co.jp/system/up_img/inf_det_pdf_484.pdf

2人へのインタビュー
https://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=2211

« そして旅に出た~モノガタリとコエカラダと  コーロ・カロス公演 ユニークな合唱オペラ | トップページ | 俊友会管弦楽団 第57回定期演奏会 »

ブログ HomePage

Amazon DVD

Amazon 本

最近のコメント

最近のトラックバック