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2016年9月12日 (月)

田中彩子さんソプラノ・リサイタル 紀尾井ホール

田中彩子さんソプラノ・リサイタル紀尾井
 ~守ってあげたい本能をくすぐる繊細な個性

昨年に続き、ウィーン在住のソプラノ歌手 田中彩子さんが
紀尾井ホールでリサイタルを行った。
ピアノ伴奏は作曲家 加藤昌則さんが担ったが、
後述するように、日本語が「たどたどしい?」田中さんにとって、
加藤さんがMC担当も兼ねての秀逸なフォローしたので、
この人選は最適だったと思う。

終演後のサイン会では昨年以上の聴衆がならんだ。
目算だが200人はならんだと思う。
ウィーン在住で主に欧州で歌っているが、
CDだけでなくフォトエッセイを出版、
TBS「情熱大陸」出演もあってか、確実に国内のファンを
増やしている。

それは典型的美人いや稀に見る美形なのに、
話す地声幼い声なので驚かされたり、
もはやドイツ語が母国語に近い状態ゆえ、
日本でのステージ上でのトークの覚束(おぼつか)なさ、
危うさに聴衆は一瞬戸惑いを覚えるが、
結局ステージでの歌声と流麗さとのギャップに魅了され、
「守ってあげたい」感を老若男女問わず
聴衆に抱かすためなのかもしれない。


華麗なるコロラトゥーラとウィーンの調べ

1.モーツァルト 鳥たちよ、毎年 K.307

2.アーン クロリスへ

3.フランス民謡 キラキラ星変奏曲

4.ピアノソロ ドビュッシー アラベスク第1番

5.モーツァルト ラウダーテ・ドミヌム

6.フロトー 歌劇「マルタ」より「夏の名残の薔薇」

7.モーツァルト 歌劇「魔笛」より夜の女王のアリア

 (休憩)

8.J・シュトラウスⅡ 皇帝円舞曲

9.レオポルド・モーツァルト 貧しいなりの満足

10.フリース モーツァルトの子守唄

11.フランク・クサーヴァー・モーツァルト ため息

12.シューベルト アヴェ・マリア

13.ピアノソロ 加藤昌則 NHK-FM「鍵盤のつばさ」テーマ曲

14. J・シュトラウスⅡ ウィーンの森の物語

15.サウンド・オブ・ミュージック

16. J・シュトラウスⅡ 春の声

アンコール
エーデルワイス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一定の音域以上での自在で軽やかな声、
美しく繊細なガラス工芸品のようなある種の危うささえ
孕むかのような個性的な質感の声。

美点秀逸な点とともに、現時点の弱点も隠さず
素直に楽しみながらステージから客席に声を投じる。

10数年間のドイツ語圏での生活から丁寧語での
舞台挨拶の幼さ、ぎこちなさを、国内7カ所でのツァーで
ピアノ伴奏を受け持った作曲家 加藤昌則さんが
MC担当も兼ねての秀逸なフォローをしてくれたことで、
聴衆を一層楽しませた。

なお、7公演中、4公演は事前にソウルドアウト
状態(だった)という。
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最後の「春の声」はおそらく彼女が最も得意としている曲
の1つで、正に独壇場。本当に上手く素敵。
「サウンド・オブ・ミュージック」からテーマ曲や
アンコールでの「エーデルワイス」も美しく魅力的。

シューベルトの「アヴェ・マリア」は
情感や艶を出すことよりも、ひたすら誠実に歌うことで
独特の哀愁感、孤独感さえ出ていて個性的だった。

「魔笛」からの「復讐」のアリアは、軽々と声が出てしまう
ことがかえって迫真さと緊迫感を削いでいる感じがした。
課題と言えると思う。

個性的な「守ってあげたい系の美形歌手」の
今後の成長が楽しみだ。

終演後のサイン会では、「フェイスブックでお世話になっている~」
と挨拶する前に、「お疲れ様でした」とサインしていただく
最新フォトエッセイを差し出した瞬間、
彼女のほうから「あっ」としてすぐ気付いてくれた。
もちろんちゃんと
「フェイスブックで友人になっていただいている伊藤です」
と挨拶したが。

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