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2016年5月 5日 (木)

マーラー 「千人」~ブルーメン・フィルハーモニー~NPO法人「おんがくの共同作業場」 設立15周年記念公演

NPO法人「おんがくの共同作業場」主催、設立15周年記念として東京芸術劇場で演奏されたマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」を聴いた。

演奏者は以下のとおり。

指揮=ジェフリー・リンク 管弦楽=ブルーメン・フィルハーモニー
合唱=新星合唱団、東京オラトリオ研究会、東京ライエンコーア、小平コーラス・アカデミー、立川コーラス・アカデミー
児童合唱=FCT郡山少年少女合唱団、多摩グリーンロタキッド・クラブ、オーケストラとうたう杜の歌・こども合唱団、三鷹中央学園三鷹市立第三小学校
(ソリスト)
第1ソプラノ(大いなる罪の女)=國光ともこ
第2ソプラノ(懺悔する女)=朴 瑛実
第3ソプラノ(栄光の聖母)=見角悠代
第1アルト(サマリアの女)=増田弥生
第2アルト(エジプトのマリア)=清水華澄
テノール(聖母マリアを崇拝する博士)=望月哲也
バリトン(法悦の隠者)=大井哲也
バス(瞑想する隠者)=青山 貴


マーラー「千人」~合唱とオケ間の音量のバランスに問題を感じた。

合唱団の問題点
第1部は指揮者が速めのテンポでグイグイ進めていった。オケは優秀。特に弦。
児童合唱も良かったが、大人の大合唱が、人数ほど声量が核となって芯あるものとして届いて来ない。

オケが優秀な分、声が負けている。これはもちろんオケ、指揮者に責任がある。
こんなにオケが合唱を考慮することなく遠慮なく容赦なくガンガン「千人」を演奏するオケは珍しい。
むろんこれは批判的な皮肉で言っている。合唱が弱いなら、オケは音量を配慮しないといけない。

むろん第一義的には合唱に問題がある。1例をあげると、

第1部の「練習番号38」のところ。Accende が「Ac’」 と「アッ(ク)」をカンマで一瞬切って(止めて)、次の小節=「ccende」に入るのだが、この「アッ(ク)」がよく聞こえない。
ここは絶対に聞こえさせなければならない部分、というか、普通は聞こえるところだ。
指揮者の切り方が悪いということもあるだろが、合唱の総体として音の集中、集約ができていない、ということだろう。

私は1986年に山田一雄さん指揮、新交響楽団による「千人」で第2コーラスの一員として歌わせていただいたのだが、そのリハで、山田先生が、「アッ(ク)、ハレー彗星」と言って笑わせたのを懐かしく思いだす。
ちょうどその年はハレー彗星が飛来する年だったのだ。

第2部では、
冒頭から落ち着いた丁寧な演奏ではあるが、例えば、「練習番号29」の1小節前の第2コーラスのバスがEs-B-Esと3つに分かれての和音=言葉は「schützt」も、和音で聞こえてこない。
ここはPPであっても、クッキリ音程だけを発すれば和音に聞こえるはずである。

女声も、例えば「練習番号56」から児童合唱が出、同57から女声が出て、掛け合いながら進む部分で、女声がまるで浮き出て来ない。
第1と第2いっしょの演奏=女声全員による合唱なのに。

児童合唱
とても良かった。第1部も第2部も旋律自体は単純ながら、単発的に独立して出る部分がほとんどなので、全体を把握していないと出れないし、実際、先述のヤマカズさんとの1986年のリハでもそういう問題は生じたのだが、この本番での児童合唱は暗譜でキリッと爽やかに歌っていて、とても良かった。

ソリスト
第1部も第2部とも安定して良かったのは青山さん。

女声では第1部では増田さん。清水さんが小さく見えるくらい大柄な体格からの豊かな声。

第2部ではその清水華澄さん。特に「練習番号128」からの歌唱は声量の振り幅や強弱のニュアンスを含めすこぶる音楽的な見事な歌唱。
終わり近くだけ出る栄光の聖母をオルガン席の横=ステージ上で歌った見角さんは爽やかな声で良かった。もっと聴きたかった。

テナーの望月さんは私の好みではこの曲だと声が細すぎて物足りない。この曲はヘルデン系のテナーが歌ったほうがよいと思う。実際、望月さんの声はあまり聞こえてこなかった。たとえば、第2部の「練習番号84」からPで歌い始め、同87からメインとしてFFで「Höchste~」と歌い出すところからもあまり明瞭ではなかった。「練習番号176」の「Blikket auf」~はもう少し良かったけれど。

指揮者
あまりテンポを動かさない人だが、終わり近く、最後の大合唱に入る、「練習番号213」の「Alles Vergngliche」に入る直前=1小節前では、瞬間全音が区切られるのが常だが、第1のアルトと第2のソプラノとアルトが「B」の音で伸ばすのを強調するため、完全にその3声の「B」だけを長めに保って(裸にして)から「練習番号213」に入ったのは印象的だった。

オケ
先述のとおり、とても優秀。コンマスもとても上手い人だった。

金管バンダ
この曲では、全ての大合唱が「hin-an!」と終わったところ「練習番号218」からのステージおよびステージ外のバンダによる演奏の音量がもし弱いと、あるいはバンダが遠すぎると、せっかく合唱が盛り上がって終わった音響が台無しになり、シラケタ空間(残音)になる危険があるし、そういうライブを幾つか実際に聴いているが、今回は、3階という遠い位置のバンダにもかかわらず、ステージ上の金管も含めて、バンダもとても立派に演奏し、合唱によるエンディングを受け止めて大音響のままエンドにもっていったので、とても良かった。
優秀な金管群だった。
お疲れ様でした。

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