中央フィルハーモニア管弦楽団 第70回定演 素晴らしかったマーラーの交響曲第1番
中央フィルハーモニア管弦楽団 第70回定演
~創立50周年記念
素晴らしかったマーラーの1番。
もはやこの曲はアマオケでも古典だ。
すみだトリフォニーホール
指揮 鈴木織衛(おりえ)
曲
1.ベートーヴェン ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための協奏曲
ピアノ&指揮=鈴木織衛
ヴァイオリン=二宮 純
チェロ=宮澤 等
(休憩)
2.マーラー 交響曲 第1番
何のきっかけだったか覚えてないのだが、
数年前から~都合がつく日時の回の~中央フィルの演奏会に
行くようになった。
今でこそ別のオケを通じて知り合いになったホルニストが
同オケにいるが、それ以前に特に知人友人がいたわけでも
ないから、きっと演目が気に入るなど、キッカケは、
いわば気まぐれで聴かせていただくようになったのだと思う。
そして、中央フィルの演奏会に行くと、毎回、
なぜかホッとするような、アットホーム感を覚えるのが不思議で、
とりたてて、例えば都内ベスト3に入るオケとか、
そういうわけでもないのに、今では私にとって
「都合がつけばぜひ聴いてみたいオケの1つ」になっている。
今回は50周年記念ということで、プログラムも今回の指揮者や
ソリストのほか2人の団員が寄稿しているが、その中に、
「とにかく仲が良いオケ。ツンツンしているアマアオケも
あるが中央フィルは違う」
という会話がなされているのを読み、その雰囲気が
これまでの演奏会に確実に出ていることを
~内情を知らない私でも~感じとっていた事に
あらためて合点がいった次第だ。
もっとも、2年前のドボルザーク8番他の演奏会のとき(以前)は、
先述のとおり、ヘタではないが、特別なレベルの高さを
感じたわけではなかったので、今回、マーラーの第1交響曲を
やると聞き、大いに関心と応援の心情が湧いていたいっぽう、
正直、「大丈夫かなあ~」という危惧も皆無では無かったことを
正直に述べておこう。
そして結果はどうだったか~
想像を遥かに超えた素晴らしい演奏だった。
もちろん、要所々々に~例えば、ヴィオラパートには
N響ヴィオラ奏者でアマオケの指揮もされる御法川雄矢さんが
参加されていたり等、プロも数名助っ人参加はあるものの、
基本的は当然 正団員が中心であり、木管も金管も
各パートのトップ奏者はほぼ破たんなく、立派な演奏を
されていたし、各楽章速めのテンポの中、
アンサンブルとしても極めて完成度が高い仕上がりを提示
した演奏となったのだった。
演奏後にかつてないほど盛大な拍手と歓声が続いたことは
言うまでもない。
正直、失礼ながら、ここまで高いレベルで演奏するとは
思わなかった。
プログラムには、2年前のラフマニノフの第2交響曲を
やったときから、「中央フィルは変わった」と対談で出てくる
ので、自分がドボルザークを聴いた次の回から、
「大変貌を遂げた」ようだ。とても素晴らしい飛躍だ。
ちなみに、私がこの曲を初めてオケで弾いたのは
今から30年以上前の1981年だが、あの頃は
~個人的に私自身がヘタなヴァイオリン奏者だった
ということを横に置いても~
まだまだアマオケで、マーラーの1番をやることは
結構大変な時代だったと思う。
昨今では、5番を高いレベルでやれるアマオケが増えてきて
いるが、あの頃は他団も含めて、全体的には未だ
そこまでは到達していな時代だったと思う。
そのことを思えば、中央フィル自体の大躍進、
レベルアップを祝いたいということに留まらず、
アマオケ全体にとっても、マーラーの、
少なくとも第1交響曲はもはや「古典」、
スタンダードナンバーとして演奏できる時代になったのだな、
という感慨を覚える、
なお、プログラムの前半は、
ベートーヴェンの三重協奏曲という、アマオケはまずやらない、
プロでも演目に乗るのは結構珍しい曲が演奏されたのも、
とても良い選曲アイデアだったと思うし、
指揮者=鈴木織衛さんのピアノ、
ヴァイオリンとチェロも普段からトレーナーとして指導している
二宮純さん、宮澤等さんという気心の知れたソリストに
よるものなのが、中央フィルらしかったし、
演奏も宮澤さんのダイナミックンなチェロと、
音量はやや小さいながら完璧な音程で律義に弾かれた
二宮さんのヴァイオリン演奏等、とても良い演奏だった。
なお、その二宮さんと宮澤さんは、当然の如く、
後半のマーラーの演奏にも1奏者として、
それぞれのパートの後ろのほうに座って演奏されていた。
満員のすみだトリフォニーホールを沸かせた記念すべき
50周年にふさわしい、素晴らしい演奏会となったことを
心から祝したい。
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