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2015年9月11日 (金)

清水理恵さん初リサイタル~自信に満ちた歌声

ソプラノ歌手で、藤原歌劇団員の清水理恵さんが、
初リサイタルを東京文化会館小ホールで開催された。

ピアノは八木智子さん

第1部

1.私はジャスミンの花  ヴィヴァルディ

2.もしも私はできないなら ベッリーニ

3.フィレンツェの花売娘  ロッシーニ

4.さくら横ちょう     別宮貞雄 詩=加藤周一

5.たんぽぽ        中田喜直 詩=三好達治

6.海ほおずきと少年    中田喜直 詩=岸田矜子

7.モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」 モーツァルト
 (1)喜べ、その喜びをあらわせよ
 (2)良き昼の光は輝き
 (3)聖処女の冠よ
 (4)アレルヤ

 (休憩)

第2部
1.春の声  J・シュトラウス

2.歌劇「ロメオとジュリエット」より「私は夢に生きたい」 グノー

3.ピアノのソロで、
  歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲  マスカーニ

4.歌劇「夢遊病の女」より「あぁ、信じられない」 ベッリーニ

5.歌劇「椿姫」より「あぁ、そはかの人か~花から花へ
    ~ ヴェルディ

アンコール
1.ヨハン・シィトラウス喜歌劇「こうもり」より
2.プッチーニ歌劇「ジャンニ・スニッキ」より「私のお父さん」
3.オー・ソレ・ミオ


いきなりヘンな言い方をするようだが、
これほどまでに自分を信じ切って自信を持って歌う歌手が
どれだけいるだろう?
いや、もう何年も活動されているかたなら当たり前の事
であっても、初リサイタルにおいて、だ。

もちろん、清水さんはいわゆる「新人」ではない。
2005年の日伊声楽コンソルソ第2位、
2009年の東京音楽コンクール声楽部門第1位といった
堂々たる受賞歴のほか、
既に多く野ステージを経験されてきているかただ。

だが、やはり、初リサイタルとなれば、
それなりの心理的負担はあっただろう。

これまで数人の初リサイタルを拝聴させていただく機会が
あったが、高い力量のかたでも結構ガチガチになるシーンを
見てきたので、こんなに堂々と楽しげに初リサイタルの
ステージをこなす歌手は記憶に無いくらいだ。

それは胸が空(す)くぐらい清々しく晴れがましい歌いっぷりで、
聴衆にはそうした彼女の堂々とした歌声と心が伝わるので、
必然、会場は湧きかえることになる。

どうやら、彼女にとっての初リサイタルは、心理的負担どころか
待ちに待った待望の「わくわくの」コンサートだったのだろうし、
実際、そうした見事な内容となったのだった。

そうした堂々たる真骨頂の歌唱は後半のステージで体験
したのだが、それはほとんどエンタの域と言ってよいほどで、
これをベテラン歌手がやるのなら驚かないが、
初リサイタルでやってのけるのだから恐れ入る。お見事。
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もっとも、青いドレスで登場した前半の感想は違った。
後半のステージを知ったうえで振りかえるなら、
前半は控えめといえ、後半に入る前の休憩時間、
 「さて、前半の感想をどう書こうか?」と考えていたとき、
フと、配布されたチラシを見ると、ヤノフスキーとN響で
進行中の東京春祭ワーグナー・シリーズの「指輪」より、
来年の公演である「ジークフリート」に
唯一の日本人歌手として出演されるのを知った。

唯一の日本人という事も目出つことだが、
それよりも彼女の役柄が「森の小鳥」役であることが、
とても合点がいったのだ。
 「なるほど、あの役なら似合うだろうなあ」と。

清水さんは大柄だし、声量も強さもあるが、
質感としてはむしろ重たいものではなく、
軽やかに空を空間をサーッと歌声が飛んでいく、
そうした心象を前半では受けたのだった。
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だが、赤いドレスで登場した後半で、
そのイメージは「良い意味で裏切られた」。

冒頭に書いたように、清水さんは自分の特性を
しっかり把握し、どういう曲が自分に合っていているのか、
もっと~敢えて失礼を承知で~下世話な言い方をするなら、
どういう曲を歌えば聴衆に強く自分をPRできるか、
を正確に掴(つか)み取る才能があるのだ。
それはアーティストにとってとても大事な才能だと思う。

とにかく、後半の「春の声」、「私は夢に生きたい」、
「あぁ、信じられない」、
「あぁ、そはかの人か~花から花へ~」は
どれも自身の声の特徴を100%いや120%も200%も
生かしきった歌唱だったし、単に堂々としているだけでなく、
ベッリーニ「夢遊病の女」からの「あぁ、信じられない」では
しっとりとした抒情性、情感も豊かだったし、

アンコールの中の1曲「私のお父さん」は、
舞台での歌というよりアンコール・ピースとして
速めのテンポで歌ったのだが、
それでも声自体の伸びやかさに加え、
「a comperar l’anello!」とか
「ma per buttarmi in Arno!」の節では
瞬間、寂しげな表情の声に変えることを忘れないのだ。

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前半では、日本語の歌ではもう少し日本語に
明晰さが欲しいな、とか、
トーンにもう少し色の変化、パレットの数か増えるといいな、
ということは感じたが、それは遠からず克服されることだろう。

とにかく、こんなに自信に満ちた歌声を聴衆に届け、
楽しませてくらたのだから、初リサイタルとしては
十二分過ぎるくらい立派だっだ。
おめでとうございます!
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ピアノの八木さんは、モーツァルトで指が先んじるというか、
つんのめって進行するところが散見され気になったが、
全体としては清水さんとの波長を上手く合わせていたと思う。
ソロでの「カヴァレリア・ルスティカーナ」からの間奏曲は、
ゆったりと抒情的に弾き、とても素晴らしい演奏だった。

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