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2015年1月 3日 (土)

第58回 NHK ニューイヤーオペラコンサート   初出場者に対する不公平な扱いに憤りを覚える 個別の感想は初出場者を中心に書く

まず、同日夜、フェイスブックに書いたことをそのまま紹介
したい。

  フェイスブックに書いたこと

NHKニューイヤーオペラ~初出場者の扱いの不公平性について

NHKニューイヤーオペラの詳しい感想は後日ブログに書くとして、
FBには(にも)過去1~2回書いたので「またか」と思われる
だろうけれど、今回もメチャ気になったので(憤慨したので)書く。

ここ2~3年、NHKは初出場者を「ワンオブ」で歌わせる傾向が
ある。
5年くらい前までは初出場者にもたっぷり単独でアリアを
歌わせていたのに。

しかも今回は複数の初出場者に対して「格差」を付けて
歌わせたようなところがあった。

 以下個々に思い返してみよう。

トップバッターの西村悟さんは非の内どころの無い圧巻の歌唱で、
初々しさと同時にもはやベテランの風格さえあった。

この感じで、他の初出演の皆さんにも たっぷり歌わせるといいな
と思った。 …ところが、である。


グノーの「ファウスト」での三重唱では、小川里美さんの良さが
感じられる内容ではあったが、やはり単独のアリアではないので、
残念というか「ちょっと可哀そう感」があった。
単独のアリアを聴いてみたかった。

悪い意味での極めつけはその三重唱での山本耕平さんの
扱いだ。「歌ったの?」というくらい聞かせ場所の無い役割。
「まあ、あとで、ソロで登場するのだろうな」と思った。
けれど、結局それは無かった。


田村麻子さんは英語のアリアを単独で歌ったが、
イタリアオペラが似合いそうな声に感じた。

鳥木弥生さんは
①「カヴァレリア・ルスティカーナ」での与儀さんがメインの
 シーンにちょい役+②「リゴレット」の四重唱の1人として歌い、
それなりに存在感を感じたものの、
やはり単独アリアを聴いてみたかった。

もう1人の初出場者、上江隼人さんもその四重唱の1人
としての役だけで、全く物足りなかった。
彼がではなく、そういう扱い自体に対する感想として、だ。


若いこれからの立場ゆえ、ご本人たちは言いたくても
言えないだろうから、
もし私が、山本耕平さんや上江隼人さんだったら、
彼らの代わりに?独り言を言うとしたなら、
  激怒してこう言うだろう。

   「二度と出るか!」

重唱でももちろん重要な役所はあるが、
今回はいずれもそれはベテランの方に割り当てられていた。


西村さんと田村さんのソロを歌わせた扱いに対して、
山本さんと上江さんの扱いはあまりにもヒドイものだったし、
小川さんと鳥木さんに対しても決して良さを全国にPR
できる役を与えたとは言えなかった。


正直、私は西村さんは一頭地抜けている、新人とは
言えない力量はあると思う。
けれど、そういう各人=私を含む素人聴衆がどう感じるかは
 「全員、公平な扱いで聴かせていただくこと、
すなわち初出場者全員がそれぞれ単独アリアを聴いて
感じること前提とする」と思う。

私は別の場で彼を過去3回聴いているから、
そういう感想が言えるけれど、
この日会場にいた、あるいはTVで鑑賞していた聴衆で、
初出場者の6人を初めて聴く人々にとっては、
全く平等のスチェーションで聴き比べるということはできない、
そういう内容だった。

個々の出演者に関する聴衆の感想は、
出演される各人を聴いてから判断を聴衆にゆだねるべき
なのに、まるで
  「NHKは自分たちで最初から初出場者における
   ランク付けをした上で歌わせた」
かのような印象を受ける。

こうした扱いは、明らかに不当だし、
聴衆に対するサービスという点でも不親切、不適切極まりない。


このコンサートに個人的に期待するのは、
初出場者をどんどん紹介して、毎年増員して
むしろそういう歌手をメインにした放送なのだが、
それがムリなら、少なくとも初出場者の中で
扱いに差を出すようなことだけはして欲しくない。

ソロを歌えなかった初出場者に対して、
聴衆はあまり印象に残らないだけでなく
 (それだけならまだしも)
「たいしたことないな」などと誤解を与えるような
放送なら、出さないほうがいい。

そういう
  「軽い扱いで初出場者を出すことは止めてもらいたい」
と強く憤る。


 以上

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  ここからは、ブログとして書く。

ここ7年ほど毎年会場で観、聴いていたのだが、
今回はテレビでの鑑賞。

なので、以下は会場で聴いていたら、もう少し違う感想に
なったかもしれないということは当然前提とさせていただく。

また、今回は初出場の歌手と、2回目の出演となった歌手を
メインに感想を書き、3回目以上ご出演されている歌手
については、特に印象的だった歌手について書く。

 そうする理由も後述する。

その前に、司会ではNHK局アナの高橋美鈴さんの声が
ソフトで素晴らしい。
久しぶりにTVで拝見したが、
終始笑顔を絶やさないこのアナウンサーは素敵。

 Ⅰ.初出場者ついての感想~登場順に

1.西村悟さん~プッチーニ 歌劇「トゥーランドット」から
   「誰も寝てはならぬ」
 コンサートの冒頭を飾ったのは福井敬さんではなく、
 若きテナー 西村悟さん。
 豊かな声量。艶のある余裕のある声。
 柔らかなフレージング。実に素晴らしい。
 全国でこの日 初めて彼を聴いた人々に衝撃が走ったに
 違いない。全国にファンが急増するだろう。

2.5組目に登場したのがソプラノの小川里美さんと
  テノールの山本耕平さん
  グノーの歌劇「ファウスト」から三重唱
   「逃げろ、逃げろ」を妻屋秀和さんと歌ったのだが、
 冒頭、フェイスブック記載文に書いたとおり、
 小川さんは少しは聴かせ場面があったが、物足りなく、
 ソロを聴きたかったし、
 山本さんの扱いについては論外的にヒドく、
 彼に対して非礼、失礼極まりないと思う。

 てっきり、後でまた登場し、ソロを歌うかと思った。

3.メゾ・ソプラノの鳥木弥生さんは8組目の
 マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の
 与儀さんがメインの曲に少しと、
 11組目の「リゴレット」の四重唱の1人として出た。
 それなりの存在感は感じたが、やはりソロを聴きたかった。
 扱いに対し、とても不満だ。

4.ソプラノの田村麻子さんは10組目の
 ストラビンスキーの歌劇「道楽者のなりゆき」から
   「夜よ、静かに」を歌った。
 英語の歌だが、イタリアオペラが似合いそうな声に感じた。
 大柄で存在感ある外見も印象的。

5.残る1人、バリトンの上江隼人さんは、
 11組目の「リゴレット」の四重唱「美しい乙女よ」の1人
 として出ただけ。
 山本さん同様、感想が書ける内容ではない。全く物足りない。
 彼が、ではなく、そうした扱いが、だ。

 山本さん同様、上江さんに対する扱いも論外で、
 非礼、失礼極まりない。

Ⅱ.昨年に続き今回で2回目の出演の歌手について~登場順に

1.カウンター・テナーの藤木大地さんは
 ヘンデルの歌劇「リナルド」から「風よ、旋風よ」を
 鈴木雅明さん指揮、バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏で
 歌った。
 でもゴメンナサイ。
 どうもカウンター・テナーのかたは音程がフラつく感が
 終始気になる人やケースが多いのだが、
 彼のこの歌も正にそうだったので、全く楽しめなかった。

2.メゾ・ソプラノの山下牧子さんは同歌劇から
   「私は戦いを挑み」を歌った。
 メゾでときどき感じる声のコントロールの甘さが皆無。
 凄く上手い人だと思う。
 この曲でのチェンバロの長大なソロも印象的だった。

3.もう1人はテノールの与儀 巧さんで、
 マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から
 乾杯の歌「酒をたたえて」を歌った。
 艶のある明るい声で、とても良かった。


Ⅲ.3回以上出演されている歌手で、
  特に良くも悪くも印象的だった歌手を登場順に記載

1.レハールの喜歌劇「ジュディッタ」から「熱き口づけ」
  中嶋彰子さん。
 メゾのような声。難しい歌。歌以外のことで申し訳ないが、
 メイク、衣装、演出が「濃さ」を強調していたように感じたが、
 気品という点では疑問を感じた。

2.プッチーニ 歌劇「ボエーム」から「私の名はミミ」
 砂川涼子さんが歌ったミミのアリア。
 声にも意思にも「強さ」が内在する、とても上手い歌唱。
 模範的でさえあると思う。

 でも…~孤独感を感じさせてくれかったのはなぜだろう?

 あの歌唱は、「私は既に十分しあわせです」、と
 言っているように私には聞こえた。
 あの段階でのミミは、幸せとはとても言えない段階だと
 思うのだが。
 
 以前 聴いたフラットリさんには「それ」があった。
 砂川さんは決して技術的にフラットリさんに負けている
 わけではないと思うが、
 フラットリさんに感じ、砂川さんに感じなかったのは
 その「寂しさの表出」だったのだと思う。


3.同じく「ボエーム」から「冷たい手を」
 望月哲也さんの声は軽やかすぎて私は正直
 あまり好きではないが、
 彼の声はロドルフォには割と合っていると思う。

 けれど、良く言えば若々しいのだが、
 悪く言うと「何であんなに力んで歌うのだろう?」。
 まるで「学生がコンクールを受けているような歌唱」に聞えた。

4.バスの妻屋さんがグノーの歌劇「ファウスト」から
 「金の子牛の歌」を歌ったが、
 フランス語の発音が分かり易くてさすがだった。

5.テノールの村上敏明さんが7組目で
 レオンカヴァルロの歌劇「道化師」から
  「衣装をつけろ」を情熱的に歌った。

6.11回連続出演というメゾ・ソプラノの林美智子さんが、
 バーバーの歌劇「ヴァネッサ」から
  「冬はすぐそこまで」という珍しい作品を歌った。
 一時期、林さんはパッとしない歌が多かったと感じている
 のだが、この歌は彼女に合っている感があり、
 なかなか良かった。

7.ソプラノの幸田浩子さんが
 ヴェルディの歌劇「リゴレット」から
  「慕わしい人の名は」を歌った。
 本当に可憐でチャーミング。技術も立派だが、
 四重唱「美しい乙女よ」も含めて、
 実に魅力的な歌唱であり、歌手だとあらためて強く感じた。

 彼女について、技術的な弱点を言う人もたまにいるようだが、
 その意見には私は全く気にしないし与(くみ)しないし、
 同意しない。

 彼女に幾つか弱点があっても、それをカヴァーして
 余りある魅力が彼女には在るのだ。

 逆に、弱点が少ない歌手が仮に100人いたとして、
 その中の99人は幸田さんほどの魅力を持ち得てなどいない
 だろうと容易に想像し得る。
 そのくらい、幸田さんには絶大な魅力があるのだ。

8.テノールの常連 福井 敬さんが
  同「リゴレット」から有名なアリア女心の歌
  「風の中の羽のように」を歌った。
 上手い。確かに素晴らしい。文句の言い様が無い。

 けれど、それを承知でこの際、敢えて言うなら、
 福井敬さんや林美智子さんは、ここ何年も十分活躍されて
 いるし、特に福井さんはこのコンサートでも毎回、
 素晴らしい歌を聴かせてくれるが、でももう、
 このコンサートでは(出なくて)いいと思う。

 このコンサートでは後進に譲るべきだと思う。
 もっとも、自分からはそういうことは言い難い業界
 なのだろうけれど。


9.バリトンの堀内康雄さんは
 ベリリーニの歌劇「清教徒」から「命をかけて」を歌った。
 堂々とした感があって良かった。


10.個人的には久々感のあるソプラノの森 麻季さんが、
 マオヤベーアの歌劇「ディノラ」から「影の歌」という
 私には珍しい曲を歌った。
 面白い曲で、彼女のコロラトゥーラの声質に
 とても合っている曲だと思う。
 選曲が良かった、というところ。

11.もはや中堅というよりベテランの感のある
 テノールの錦織 健さんが、ドニゼッティの
 歌劇「愛の妙薬」から有名なアリア「人知れぬ涙」を
 歌ったのだが、
 押しつけるような息苦しさを感じる発声、歌唱で、
 一体どうしたことだろう?
 あまり良く無かった。

12.ソロの最後として、メゾの藤村実穂子さんが、
 チャイコフスキーの歌劇「ジャンヌ・ダルク」から
  「森よ、さようなら」という、私にとっては珍しい曲を
 歌った。
 ムラの無い、安定した声質。技術。素晴らしい。
 やはり例外的に優れた歌手だと思う。
 というか、そういう域にご自身の精進で行かれている歌手
 だと思う。素晴らしい。


Ⅳ.合唱について
(1)開幕を飾った、ムソルグスキーの
 歌劇「ボリス・ゴドノフ」から「ボリス皇帝に栄光あれ」
 について、フェウスブックの友人~といっても私より
 ずっと年長の人生の大先輩だが~が、
  「今回のニューイヤーは恋がテーマというのに、
   この合唱曲というのは腑に落ちない」と
 コメントされていたのが「なるほど」だし、愉快だった。

(2)グノーの「ファウスト」で合唱が登場してからの演出が
 良かった。

(3)歌劇「道化師」から「鐘の合唱」(レオンカヴァルロ作曲)
 も楽しかった。


Ⅴ.NHKニューイヤーオペラコンサートに対する私の希望。

 1.初出演の歌手の選出と扱いについて

冒頭のFBのところでも書いたが、このコンサートは
基本的には、初出演等、若い歌手を積極的に紹介する
コンサートであって欲しい。

若い人、あるいは40代でも初出場者をどんどん出演させて、
むしろそういう歌手をメインにして欲しいのだが、
それがムリと言うのなら、
少なくとも初出場者の中で扱いに差を出すようなことだけは
して欲しくない。

下記3にまとめたとおり、ちゃんと歌わせて欲しい。


 2.過去数回出演している歌手をNHKが選ぶ際の要望

過去数回出演されている歌手の中から選出する際は、
知名度で選ぶのではなく、下記3のとおり、
前年にとても活躍したことを絶対条件にして欲しい。
こんなことは実は当たり前のことだと思うのだが。


 3.選出基準について

出演する歌手全員がソロを歌うのが好ましいが、
どうしてもオペラの部分場面でのみの出演とする場合等
における「基準」があると視聴者に判り易いと思う。例えば、

 (1)「初出場の人」には
  ①アリアをちゃんと歌わせる、または
  ②オペラ部分での重唱で出る場合はその中で
    重きを置く役を与える。

 (2)「数回既に出演経験がある人」は、
     知名度で選ぶのではなく、
  ①この1年間で、オペラやリサイタル等少なくとも
    5回(以上)はステージに出た人、または
  ②海外の歌劇場(来日公演含む)で話題になった人。

  というように。
  こうした明確な基準により選んで欲しい。

なぜなら、とても活躍していているのに、
未だこのコンサートに出演経験が無い優秀な歌手が
たくさんいるからだ。

そういう状況、業界なのだから、
活動が希薄すなわち年間でそれほど活躍しなかった人を
もし出すケースがあるとしたら、明らかにおかしい。

もし、普段熱心なステージ活動をしていないで、
こうした全国的な有名なコンサートに選ばれたことをよしとして
名前を再度売り込んで来るようなケースがあるとしたら、
厳に戒められるべきだと思う。


 最後に、指揮をした広上淳一さん。

曲の多くで、「入り」が揃っていない演奏が多かったのは
残念というより、問題だと思う。

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