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2014年10月19日 (日)

ドン・ジョヴァンニ 新国立劇場~充実の公演  カルメラ・レミージョ、アガ・ミコライの名唱     新国立初登場の鷲尾麻衣さんも健闘

新国立劇場で「ドン・ジョヴァンニ」を観、聴いた。
とても充実した公演だった。
後述のとおり、2011年11月の二期会公演で省略された
アリアも今回ちゃんと歌われたのも良かった。

主な出演者は以下のとおり。

指揮  ラルフ・ヴァイケルト

管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団

合唱  新国立劇場合唱団

チェンバロ 石野真穂

演出    グリシャ・アサガロフ

美術・衣装 ルイジ・ペーレゴ

舞台監督  斉藤美穂


ドン・ジョヴァンニ  アドリアン・エレート

騎士長        妻屋秀和

レポレッロ      マルコ・ヴィンコ

ドンナ・アンナ    カルメラ・レミージョ

ドン・オッターヴィオ パオロ・ファナーレ

ドンナ・エルヴィーラ アガ・ミコライ

マゼット        町 英和

ツェルリーナ     鷲尾麻衣


なお、カヴァーには有名な日本の歌手が揃っていたので、
一応その名前も付記しておきたい。

ドン・ジョヴァンニ  与那城 敬

騎士長        長谷川 顕

レポレッロ       畠山 茂

ドンナ・アンナ    吉田珠代

ドン・オッターヴィオ 鈴木 准

ドンナ・エルヴィーラ 増田のり子

マゼット        近藤 圭

ツェルリーナ     三宅理恵

ドン・ジョヴァンニ~新国立劇場公演を観、聴いて~充実の公演

どうしょうもないほど おふざけの男を題材にして、
この壮大な音楽を31歳で書き、36歳の少し手前で死んだ
モーツァトとは、いったい何者だったのか?

第一幕では重唱を中心にドラマの概要を提示する。ここで、仮に

 「ふ~ん、この内容でさしものモーツァルトでも、どう幕引きを
  創るのだろう?」

と疑問を抱いたり、

 「女性はこんな内容の物語に怒らないのか?
  侮辱、屈辱と感じないのか?」

などと、女性客に対して不可思議な感想を持ったとしても、
後半の幕に入って、登場人物がそれぞれ心の内を珠玉のアリアで
歌い綴られるのを聴き、観衆、聴衆はモーツァルトの魂胆に
してやられた、と思うことになる。

第二幕で「女たらし」の主人公以外の登場人物の各人が、
それぞれの思いを情感あふれる歌により吐露することで、
この物語は単に「ただの女狂いの男の物語」では無い事を
決定づける。

そして、「石像」の登場と最後通牒というかたちで、
モーツァルトはこの物語を一気に引き締める。

この慄然とするほどの最後の警告シーンは、
不道徳で不誠実な男に対する戒めだけ止まらず、
あたかも人間の原罪そのものへの問いかけのように
聴衆1人1人の胸に刺してくるようでもある。

女たらしが地獄に落ちたところで、
この物語を終えてもよいと想えるが、
そこはエンタの天才モーツァルト。

ドン・ジョヴァンニ以外の登場人物同士が問いかけやら
今後のことやらを賑やかに語らい、このオペラは終わる。

 なんというオペラ、なんという音楽だろう!

生前、カール・ベームさんはこう語ったことがあった。

 「もし私がタイムスリップして、ウィーンの道端で
  ベートーヴェンにバッタリ会ったとしたら、
  敬意を込めて深々と彼におじぎをするだろう。
  そしてもし、モーツァルトにバッタリ会ったとしたら、
  私はその場で卒倒(気絶)してしまうに違いない」

このベームさんの言葉をあらためて思いだして聴いていた。

ロッシーニが言った「唯一の音楽家」が、
デモーニッシュな炎と、瑞々し蒸留水という矛盾した要素を
混ぜたような、純然たる渾然たる矛盾を孕み、しかし同時に
とてつもなく整然とした音楽として創り上げたオペラだ、
と思った。

出演者は皆さん良かった。

特にドンナ・アンナを歌ったカルメラ・レミージョさんは
凛とした気品ある声で「Crudele? Ah!,no
 (私が残酷ですって?それは違います)」を歌い、
聴衆を深い感動に誘った。
この歌声を聴くだけでも足を運ぶ価値はあった。

主役のアドリアン・エレートさんは二枚目で巧く、

騎士長を何度も歌われてきた妻屋秀和さんも
いつみながら格調高く、好調だ。

ドンナ・エルヴィーラ役のアガ・ミコライさんは
美しく温かい声で大人の歌の魅力を湛えていた。

レポレッロ役のマルコ・ヴィンコさんはエレート氏との
やりとりが巧く楽しめたし、

マゼット役の町英和さんもとても「らしい」感があって良かった。

ドン・オッターヴィオ役のパオロ・ファナーレさんは、
特に巧いというわけでもなく声量もそれほど無いのだが、
とても個性的な声で、聴衆に強く印象付けるタイプの歌手で、
とても印象的だった。

そして、新国立劇場オペラ研修所第7期生にして
本公演待望の初登場の鷲尾麻衣さんが、
とても丁寧にして果敢な歌と演技が素敵で、
1幕の「ぶって、ぶって、大好きなマゼット」では可憐さを、
2幕の「Vedrai,carino(ほら見て、愛おしい人)
  (特効薬で治してあげる)」では、
技巧による歌い回しではなく、
マゼットに対する誠実で優しい心からの歌として歌われ、
その瑞々しい声とともに聴衆を魅了した。


なお、3年前の二期会公演では残念ながらカットされた
2つのアリア~第1幕での、ドン・オッターヴィオが歌う
美しいト長調のアリア「彼女の心の安らぎこそが
 (彼女こそ私の宝)(Dalla sua pace)」と、
②第2幕でドンナ・エルヴィーナが歌う難しい名アリア
 「なんというヒドイことを(なんという、ふしだらな)
  (In quali eccessi,o Numi)」は
今回歌われたので、良かった。


グリシャ・アサガロフ氏による演出は、
もう1人の歴史的色男であるカサノヴァにも置き換えて、
舞台をセビリアからヴェネツィアとしたものだが、
地域性云々よりは、余計な現代的読み替えはせず、
シンプルにて効率的な品のある舞台演出で
とても好感が持てた。

全体として、とても充実した公演だと思った。


 参考
2011年11月23日付けで、私は
二期会公演「ドン・ジョヴァンニ」について以下のように
書いている。

 プラハでの世界初演での版より、翌年の4月における
 ウィーンでの上演に際して追加されたアリアは、
 加えて演奏されたほうが楽しいに決まっているし、
 今、世界の潮流としてはそうなっている。
 その3つのアリアのうちの特に次の2つは
 今回演奏されなかった
 (歌われなかった)のだが、実に残念なことだった。

 ①第1幕第14場での、ドン・オッターヴィオ(テノール)が歌う
   美しいト長調のアリア
  「彼女こそ私の宝(Dalla sua pace)」
  (第10曲aとされているもの)
 ②第2幕第10場でドンナ・エルヴィーナ(ソプラノ)が歌う難しい
  名アリア「なんという、ふしだらな(In quali eccessi,o Numi)」
  (第21曲b)

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