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2014年10月 5日 (日)

マーラー 交響曲第8番 千人の交響曲     神奈川県民ホール開館40周年記念イベント  合唱の健闘 指揮者に不満 休憩はナンセンス

神奈川県民ホールのリニューアルと
開館40周年記念のイベントとして、
マーラーの交響曲第8番「千人」が同ホールで演奏された。

良い演奏だったか?と問われれば「悪くはない。
特に 「合唱はよく歌っていた」、とまで言ったところで、
しばし止まってしまう。

作品を再現する際のデザイン全体の輪郭が明白でなかった演奏
同様、感想を言おうにも、何とも曖昧な複雑な印象を受けるもの
だった。

不満の最大の原因、理由は下記に記すとおり指揮者にある。

それと、最初に言及しておくが、
いかなる 「演奏上の都合による」 のかは知らないが、
第一部と第二部の間に20分のインターミッション(休憩)を
置いたのはナンセンスだ。
かつて一度も見たことも聞いたこともない措置で驚いた。
あり得ない措置だと思う。


指揮  現田茂夫

管弦楽 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ソプラノⅠ 罪深き女     横山恵子

ソプラノⅡ 悔悟する女    並河寿美

ソプラノⅢ 栄光の聖母    菅 英三子

アルトⅠ サマリアの女    竹本節子

アルトⅡ エジプトのマリア   小野和歌子

テノール マリアを崇める博士 水口 聡

バリトン 恍惚の神父     宮本益光

バス 深淵の神父       ジョン・ハオ


合唱

県民ホール特別合唱団
湘南市民コール
洋光台男声合唱団
神奈川県立湘南高等学校合唱部
神奈川県立大和西高等学校合唱部
神奈川県立海老名高等学校合唱部

児童合唱
 小田原少年少女合唱隊


感想

1.指揮者について
現田氏は良くも悪くも 「鋭角を創らない人」だ。
指揮棒を持たないのは構わないが、
これだけメリハリを付けず、ただフワフワと流れていくだけの
マーラーは珍しい。

彼が振った昨年のTAMA21響での3番もそうだった。

何を考えてマーラーを指揮しているのか全く理解できない。
 「熱」が全く無いのだ。

静かに流れるところはまだ良いとして、小節線というか、
クッキリとしたラインが見えて欲しいところでも、
ナヨっとした曖昧なまま過ぎていく。

マーラーがあれほど詳細に書き込んでいるのに、
現田氏は全て無視して無作為を貫いた。

あれだけ「何もしない」のは指揮者としての仕事をしていない、
という事と同じだ。

「オファーが来たから振った」という感じで、
「千人」に心底共感はしていないのだ、と思う。

当人は否定するかもしれないが、
少なくともそう感じてしまう演奏だった。
聴衆がそう感じた事で、これは指揮者の仕事としては失敗である。

私は「怒り」を覚えたほどだ。


2.合唱について
男声が充実していないといけない曲。
その点、特に男声の数を充実させた総勢500人を超える
合唱団連合はよく歌っていたが、
祈りと技術のバランスの難しさを感じさせもした。

すなわち、よく歌ってはいるのだが、
「ちゃんと歌う」ことばかりが聞こえてきてしまい、
個々の心からの没頭というか、祈りを感じさせるまでの陶酔感、
高揚感にはもうひと息という感じだった。


3.ソリストについて

(1)まず座る位置について
ソリスト8人中、最後近くにステージ外で歌う1人を除き、
7人は終始ステージにいるわけだが、
この巨大な編成の曲では、7人がどこにならぶかという問題
がある。

すなわち、ステージの一番前=オケの前、
指揮者とほぼ平行に客席と向かい合うようにならんで
歌う(座る)か、
あるいは、オケの後ろ=合唱団の前で歌うか(座るか)、
の2種が代表的だろう。

この日は後者で、オケと合唱の間では、
ドミンゴ級の声量の人が7人揃わない限り、
なかなか声量の点で、厳しいものがある。

やはり結論から言えば、オケの前=ステージ最前列に
ならぶようにしたほうが良い。
それを痛感したコンサートだった。


(2)デキについて
8人のソリストは良かった人とそうでない人の差が大きかった。
横山さんと並河さんを1、2で揃えたのは正解。

第一部での効果。特に並河さんは、第二部後半でのソロを含めて
充実しており、ルチア・ポップさんを思いだす。

男声ではバスのジョン・ハオさんが健闘していた。

ソプラノⅢの栄光の聖母は、ご存じのとおり第二部の
終わり近くだけに登場するというチョイ役だが、
2階左側で歌った菅さんは清らかな声でとても良かった。

問題はテナーで、
この曲では晴れ晴れとした開放的な声が欲しいが、
太めな声というのは別に構わないとしても、
終始、詰まったような苦しげな声で、
音程も悪いところが多々あった。
これはミスキャストだった。


4.その他
なお、バンダ2階左側での演奏。
合唱団は開演15分前くらいから入場を開始し、
オケが入ったところで、開演に先立ち、
黒岩知事が指揮台に登場して挨拶した。

指揮台に無造作に乗ったのは違和感があった。
もっとも彼に「指揮台の重み」などは理解できないだろう
から、あまりとやかく言う気は無い。

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