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2014年9月 5日 (金)

N響チャリティコンサート HOPE NHKホール   大江 馨さん  小林沙羅さん  宮里直樹さん   石井楓子さん

NHKとNHK交響楽団、NHK厚生文化事業団による
毎年のコンサートで、若い演奏家を招いてのもの。

NHK厚生事業団は、福祉の分野で地道に活動を続けている
グループを支援するために1989年「わかば基金」を発足
させたとのこと。
その事業の1つであるN響チャリティコンサート「HOPE」を
NHKホールで聴いた。

直接的には、小林沙羅さんが出演されるから、
ということがキッカケではあるが。


1.N響の演奏で、
  チャイコフスキー 歌劇「エフゲニー・オネーギン」から
  ポロネーズ

2.プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調
   ソロ=大江 馨

 (休憩)

3.プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」から
  「冷たい手を」「わたしの名はミミ」「愛らしい乙女よ」
   ソプラノ=小林沙羅  テノール=宮里直樹

4.チャイコフスキー ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調
    ソロ=石井楓子


  感想

1.尾高さん指揮で「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ

 NHKホールでN響を聴くのは久しぶりだが、それにしても、
 N響がこのホールをメインとして演奏しなければならない
 ことに深く同情する。
 N響をこんなに「可哀そうだ」と思ったのは初めて。
 今の日本では各地に音響の良いホールはどんどん誕生
 している。市民会館だって良いホールがあるくらいだ。
 NHKホールは今や日本で最も音響の悪いホールの1つと
 言って間違いない。
 全国の良質な施設から、これからもどんどん置いていかれる
 だろう。


2.プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲~大江 馨さんのソロ

 昨年の音コンで優勝したまだ20歳の人で、現在、
 桐朋のソリストデュプロマコース特待生と慶応法学部に
 通っている。繊細な曲を巧みに繊細に弾いた。
 今度は「たくましい曲」をどう弾くか聴いてみたい。


3.「ラ・ボエーム」より~宮里直樹さん&小林沙羅さん
 
 宮里さんが「冷たい手を」、沙羅さんが「私の名はミミ」、
 2人で「愛らしい乙女よ」

 宮里さんを聴くのは3回目。以前も書いたが「ピュアで
 伸びやかな声」の持ち主。
 屈託のない素直な声はとても素敵だが、
 これでもう少し「良い意味でのアクの強さ」があればなあ~
  と思う。

 沙羅さんのミミは初めて聴いた。
 たぶんそんなに歌ったことはないはずで、丁寧にまとめた。
 これをオペラの舞台で歌う場合、演技と感情移入で
 どう変化するか興味深い。
 この役を得意としているベテラン歌手からしたら
  「まだまだ青い」かもしれないし、
 ドイツ語のアリアのときのような果敢で自在な
 フレージングとまでは至っていないが、
 その分「どう変化、成長するか」という今後の
  「余白の楽しみ」「のりしろへの期待」が在ると言える。

 なお、演奏後の何度かのカーテンコールのとき、
 この日の3組中、この組みだけにおいて、
 マロさんはじめN響の人達が足でドンドンと
  「足によるブラヴォー」を贈っていて、
 尾高さんも一層ニコニコしていたのが印象的だった。


4.チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番~石井楓子さんのソロ
 
 大江さんと同じく、昨年の音コン優勝者。桐朋の学生。
 この曲をもはや完全に手中に収め、
  「自分の得意な曲」として、1つのミスタッチもないほど完璧に
 堂々と弾き終えた。
 そういう点では新人とは言えぬほど立派で見事な演奏。

 けれど~~言うまでもなく、この位弾ける人は日本人を含めて
 世界にはたくさんいる。
 その中で、「この曲では石井さんがいいね」と言われるためには
 何が足りないか?

 ①例えば弱音の魅力
  例えば、第1楽章の192小節からのハ短調の哀愁ある旋律を
   「なんであんなに大きい音で弾くの?」という批判は
  容易にできる。
  あの部分はほとんど聞こえなくてもよい位のところだ。
  弱音による魅力が足りないのだ。
  この部分に限らず、全曲においてメゾフォルテ以上の音で
  弾いていた、という感があった。

 ②例えばアゴーキグあるいはルパート
  上記①の部分でも言えるが、一途に弾き過ぎている。
  例えば、終楽章の、さあこれから最後の雄大な歌を、
  というところに入る直前の、ピアノソロによる16分音符に
  続いて3連符で昇り降りする短いカデンツ
   (243小節~251小節)で、
  「なんであんなに機械のようなインテンポでガムシャラに
   弾かなければいけないの?
  この部分も「音楽」なんだぜ」、と言いたくなる。

  また、ドラマを創る、という点でも甘いし弱い。
  例えば、第1楽章の388小節から始まるオケとピアノによる
  印象的な対話進行の部分だ(~408小節)。
 
 だから、「巧いなあ、凄いなあ」と「感心はする」が、
  「感動とはちょっと違う」のだ。

 「もうちょっと、色を付けてもいいんじゃないですか?」
  と言いたくなる。

 いくら巨大なホールで、N響相手でも、もっと「好きに」
  やってもよかった。
 とはいえ、今後に注目。


なお、最近のN響には知人はいなかったけれど、
みなとみらい21オケで弦トレーナーで来てくれているMさんは
N響のヴィオラ奏者で、今日も出演されていた。

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