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2014年4月27日 (日)

蝶々夫人~東京二期会公演 演出by栗山昌良  圧巻の木下美穂子さん 素敵な小林由佳さん 繊細な哀愁の腰越満美さんも見事

二期会が「蝶々夫人」を初演したのは1957年という。
出演者の名前を(一部)書くと、伊藤京子さん、宮原卓也さん、
畑中良輔さん、立川清登さん、大橋国一さん、といった、
故人となられたかたも含めて懐かしい名前がならぶ。

そしてそのとき演出をしたのが、今回と同じ 栗山昌良氏という。

プログラムには 栗山昌良 二期会オペラ演出史 が掲載されて
いる。

今回の指揮は、1983年生まれで、
ヴェルディ音楽院に学び、27歳のとき、
ミラノ・スカラ座にデビューした ダニエーレ・ルスティオーニ

私は23日の公演と、27日の公演を観た。

主なキャストは以下のとおり

指揮  ダニエーレ・ルスティオーニ

管弦楽 東京都交響楽団

合唱  二期会合唱団

演出  栗山昌良

       23(水)、26(土)  24(木)、27(日)

蝶々夫人   腰越満美       木下美穂子

スズキ     永井和子       小林由佳

ケート      佐々木弐奈      谷原めぐみ

ピンカートン  水船桂太郎      樋口達哉

シャープレス  福島明也       泉 良平

ゴロー     牧川修一        栗原 剛

ヤマドリ    畠山 茂         鹿野由之

ボンゾ     峰 茂樹         佐藤泰弘

神官      馬場眞二        渥美史生


23日の公演では、
なんといっても 腰越さんの美しさが印象的だった。

そして27日公演。
圧巻の木下美穂子さん。呆然とするほど うまかった。
完璧な高貴なまでの歌唱。
世界のどこのオペラハウスでもこの役で通じるな、と思った。

いや、彼女の歌唱を聴いたら、ガイジンのヴィブラートの
歌唱など今後は聴きたくない。
今日の木下さんのおかげで、このオペラの良さを初めて堪能した。

この有名なオペラには以前からある種の「ムリ」を感じていた。
日本人女性のけな気さとか、秘めた熱い信じる気持とかを、
最初から軽く扱い、異国での「遊び」としての結婚をして
しまうピンカートンに、戦後の占領下の日本と重なるからだ。

要するに「女性蔑視思想」がベースとして存在する作品なので、
どうも好きになれないできたし、
ガイジンによる似合わない和服とイタリア語という、
二重三重の違和感が絶えずついてまわる作品だと思ってきた。
しかし、今日の木下さんのおかげで、
このオペラの良さを初めて堪能したのだ。

 「偉大な演奏は、作品の弱点を超えて、他者を感動させる」
ということは、器楽、管弦楽においても言えることだが、
声楽、歌手についても、ジェシー・ノーマンとか、
ごく一部の人にしか例は無いが、存在することは事実であり、
この公演での木下さんが正にそれだった。

 「完成度が高い」とはこういうことを言うのだ、と思う。

これだけ歌える木下さんのCDが未だ出て無いとは、
信じられない。

もう一度言おう。
今日の木下さんのおかげで、このオペラの良さを初めて堪能した。

The JADE 樋口達哉さんも相変わらず惚れ惚れする
素晴らしい声。
偶然だが、業界では少数派と想われる武蔵野音大出身者による
蝶々とピンカートンだった。

スズキ役の小林由佳さんのカッコ良さ。
誠実な蝶々思いの優しさが随所に出ていて見事だったし、
第3幕での三重唱も素晴らしかった。
ポスト永井さんとしてのスズキの役を完全に印象付けた。

演出の見事さ美しさとともに一生忘れ難い公演となった。

終演後の客席の興奮度も凄かった。
こんなに沸きに沸いた公演はあまり記憶に無いほど。

両組共通として、都響も立派だった。
2月の「ドン・カルロ」も良かったので、
既に美しいオペラトーンを獲得している、と言える。
陽気なイケメン イタリア人指揮者の指導が良かったようだ。


なお、テノールの高田正人さんによる23日の公演に関する
感想が素晴らしいし、勉強になるので、以下、転載紹介
させていただく。

ご本人に特に了解を得ていないが、親しいので大丈夫だと思う。

 「二期会「蝶々夫人」の初日を見てきました。
  まずはルスティオーニ率いる都響がのっけから
  洗練されたイタリアみたいな音。
  そして幕が開いた時の舞台の美しさ。
  開始30秒で見に来て良かったと思いました。
 
  栗山演出は本当に美しい。
  日本の美しさ、日本人の美しさ。
  世界中の人に見て欲しいしプッチーニにも見て欲しい。

  スズキの永井和子さんが陰に日向に蝶々さんを支え
  その美しさを照射します。
  栗山先生が口癖のように仰る、
   「周りの人が照らす色で主役が決まるんだよ。
    主役は立ってるだけでいい。」
  という言葉の意味がよく分かります。

  僕は蝶々さんの自害の前に、スズキが蝶々さんと
  お辞儀をし合う場面でいつも泣いてしまいます。
  お辞儀のなかに何百という言葉のやり取りが詰まって
  いるのです。

  カーテンコールではスズキへの蝶々さんに負けぬ
  大きな拍手とブラーヴァの声で二度泣き。
  本当に世界一のスズキ。

  ゴローの牧川修一先生も立ち居振る舞いが
  古き日本の粋を感じさせます。
  ベテランで引き締まる舞台。

  昨今若い人ばかりでキャストを組む公演が増えましたが、
  こういう若手、中堅、ベテランが一つの舞台に乗る公演は
  やはり奥行きがあっていいです。

  隠れた殊勲賞は字幕。イタリア語のニュアンスを損なうこと
  なく、美しい日本語への意訳も素晴らしかった。
  僕が見た中では一番の字幕。「春で満たしたいの。
  大地は私が流した涙をお花で返してくれた」という訳が
  印象的。
  見に来る9割の人はイタリア語分からないのだから
  字幕の役割は重要です。

  そして何より腰越満美さんの蝶々夫人。
  蝶々さんの美しさ、可憐さ、悲しさ、強さ、そして気高さ。
  全てを兼ね備えています。
  歌唱も絶品で、オペラがオペラであるべき所以を
  舞台に咲かせます。

  このプロダクション、スカラとかメト売り込めばいいのに。
  特別価格公演だし、全ての方に見ていただきたい公演」

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