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2014年3月24日 (月)

中野雄さんが語る丸山眞男と音楽

東京フルトヴェングラー研究会主催で、中野雄さんを招いて
 「丸山眞男とフルトヴェングラー」と題した講演を聴いた。
とても盛況で、ざっと見、100人近くは参加していたように想う。
多くは私より年長、すなわち60歳以上、70歳前後の男性だ。

1999年に出版された「丸山眞男 音楽との対話」(文春新書)
の他、色々なところで中野さんの著述は読んで来た。

また、中野さんは、たびたび 朝日カルチャー講座で、
若い音楽家による(紹介を兼ねた)レクチャー講座を企画し、
それに同伴出席されているので、お見かけする機会は
これまでも複数あったが、この日パッと見、正直
 「少し老けられたかな」と思って、やや心配になった。
1932年生まれの82歳(になったか、なられる お歳)だから
しかたがないだろうけれど。

丸山ゼミ生としての弟子であり、互いに音楽好きである
ことから、学問とは別に音楽をとおして長く深い親交が
あった中野さんの話を直に聴く良い機会だった。

この日の内容は戦後最大の知識人の1人、
丸山眞男氏と音楽、丸山さんとフルトヴェングラーに
ついてだけでなく、丸山氏は57歳で東大教授を
自主退職した後、公の仕事に付かず、TV等も出なかったのに
直接彼を知らない人からも丸山氏の著作を読んだことで
今でも多くの人から慕われている点は、
録音でファンになった今も多くいるフルトヴェングラーファン
に似ていること、
2人とも独学の大家だった点、探求心とか人間の器、
ゲシュタルト効果、
教え諭すことが巧いアリストテレスのタイプと、
対話や座談などを重んじて議論を深めるプラトンタイプ
 ~丸山さんは実は後者ゆえ教授職の地位に
こだわらなかったこと、
そして人生とか人の世の嫉妬心とか多岐に渡って
面白かった。


後援最後での質疑応答や、終了後のレストランでの
話題の中心は、
 「ナチス時代のドイツの留まったフルトヴェングラーに
  対する丸山氏の意見」で、
私も中野さんも、多くの出席者も、丸山さんがその点に
関しては、「彼はドイツを出るべきだった」との考えを
やや意外がり、なぜそう考えたのか、ということに
対する興味だった。
このことは、弟子である中野さんは昔から何度も
  「やりあった」そうだ。

私が想像するに、丸山氏とすれば、戦後、
あんなに厳しい「非ナチ化審理」を受けるくらいなら
  「ドイツを出て欲しかった」という希望的意見
だったのではないか、と思う。


その他では、丸山氏は、小林秀雄の「モーツァルト」と
「本居宣長」は否定していたこと。

天敵の吉本隆明については「彼は僕の書はよく読んでいる」
と、そういう態度はむしろ褒めていたということは面白かった。


もう1つ面白かったのは、中野さんは今、
新垣隆さんを守る会の最高顧問をされているとのことで、
中野さんのお人柄らしく、それは良かったと思った。

あと、中野さんは学生のとき、東大オケのコンマスをされて
いたことは初めて知った。
また、中野さんは1931年生まれで私の父と同じ、
中野さんは松本市生まれ、父は塩尻市生まれ
という点でも親近感を抱いた。


そして、もう1つ。
音大卒か否かと音楽あるいは演奏者の理解度合いは
別問題という事
先述の中野さんの講演の中で、中野さんの著作
 「丸山眞男 音楽との対話」が出版された際、
某新聞の書評ではこう書かれたという。いわく~

 「音大出でない丸山眞男が音楽について語り、
  その思い出等を、やはり音大出でない中野氏が書いて
  出版するとは~」と、
 茶化すような書評だったと中野さんから聞いて
 とても驚いた。

終演後、中野さんを含む20名くらいでの懇親会で、
私はこの点についてこう言った。

 「この本を一読すれば、丸山眞男さん、そして
  中野さんが、音大の学生や音大卒のたぶん
  ほとんどの人より、よほどフルトヴェングラーについて
  よく聴き、知り、理解している、ということは
  すぐに解るはず。
  それを、音大出でないからどうとかいうこと書くなんて、
  ジャーナリズムの浅はかさを感じます。
  その程度の土壌があるということと、
  あの佐村河内騒動は無関係ではないと思います」、と。

こう付けくわえてもいいだろう。

 「アマチュアという言葉は、元は「音楽を愛する人」を
  語源としている。その意味や精神においては、
  プロもノンプロも基本的には同じだ。いや、それどころか
  演奏を聴いて、
   「あなたたち、本当にその音楽を愛して
    演奏しているのですか?と言いたくなる様な
   「プロの演奏」だって、決して珍しくはないですよ」と。

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