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2013年12月29日 (日)

宮本文昭 指揮 東京シティ・フィルハーモニック 第九特別演奏会 宮里直樹さんの今後に注目  醍醐園佳さん&加納悦子さん&河野克典さん

応援している醍醐園佳さんが出演されるということで出かけた。
優れたメゾの加納悦子さん、
9月に聴いて感心した宮里直樹さん、
1月に「冬の旅」を聴く予定の河野克典さんが出演されることも
大きな関心事だ。

年の瀬の東京文化会館は、宮本さんの人気もあってか
5階まで満員盛況でめでたい。

指揮 宮本文昭

管弦楽 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

合唱 東京シティ・フィル・コーア

 ソプラノ  醍醐園佳

 メゾ・ソプラノ 加納悦子

 テノール 宮里直樹

 バリトン  河野克典


宮本さん、出てくるとき、手を前に重ねて、
 「まいどどうも」、という感じで面白かった。

指揮棒を持たず、横や斜めに腕を振るなど、
明らかに小澤征爾さんを手本にしている。

全体的に両手というより両腕を大きく使う指揮ぶり。
クレッシェンドなどで腕を垂直に上げるポーズは
何度もやっていて印象的。

演奏は「メリハリの効いた指示、指揮」で、なかなか楽しめた。

少なくとも最初から指揮者で来ている50歳前後の
多くの人の良く言えば慣れた、悪く言えば凡庸でありきたりの
内容より、ずっと良かったし、楽しめた。

楽章別に書く前に、全体としてはメリハリ、すなわち、
クレッシェンド、ディミヌエンドの徹底、
楽器では特にチェロ、コントラバスのメリハリ、
コントラファゴットの重点注力等が挙げられる。

また、速めにたたみ込むところと、間合いをとって
タップリとやるところとの対比が良く出ていたのだ。

もっとも、そうした部分的(ディティールにおける)工夫の
 「それ以外のところ」では、
平凡に音が移行していってしまい、平凡さを感じるところも
多々あったことは記載しておきたい。

 
第1楽章
出だしは落ち着いて良い。218から250くらいまで、
ややバテたかとでも、301から338は迫力。
確かにここがヤマ場。

427から452までのポコアポコクレッシェンドでの
チェロとコンバスのピッツィカートの音量増加はOK。


第2楽章
速いテンポだが、冒頭の5小節目のティンパニは、
その直前一瞬の間を作って叩いたのが印象的。
すなわち、4小節目を長めの休止符としたのだ。

トリオでのホルンソロの8分音符は~東響の感想でも
書いたが~やはり鬼門で、ここもあまりよくなかった。
エンディング4小節前の全休止もあわてず余裕をもって、
最後の3小節を演奏したのは正解。


第3楽章
2小節目と6小節目のクレッシェンド、とても良い。
25小節からのニ長調3拍子からは、
第2ヴァイオリンとヴィオラによる旋律と、コンバスとが
うまく掛け合っていないような印象。

後半のホルンは4番のソロを含めてやや統一感や精度を欠く印象。
でも指揮者の熱さは最後まで在った。


第4楽章
冒頭の指揮、全く気張らず何気に開始したのが印象的。
珍しいケース。
65から68では譜面どおり音量の増減をしない演奏が主だが、
フルトヴェングラーなどわずかな例で、
クレッシェンド+ディミヌエンドの例があるが、
意外なことに宮本さんはその増減をやった。

92からのチェロとコンバスで静かに開始する歓喜のテーマ
の出は、直前に間を置かず=間髪いれずにすぐに出たのは
かえって印象的。それに「賛成はしない」が。

115小節の4拍目からコントラファゴットを用いていたが、
とても有意義有効に響いていた。
とても優秀な奏者のようで、先に書くと、
行進曲風のテナーソロのその序奏でのコントラファゴットの音は、
バスドラム(大太鼓)にも増して充実した音がしていた。

この楽章で、あれ?と思ったのは、
525小節から542小節~543からの合唱だけによる
歓喜の歌の直前、ホルンのシンコペーションでのつなぎのリズム
で、オーボエとファゴットが奏していない3か所で、
ホルンが8分音符をそれぞれ1つ減らして演奏していたような
不思議な感じがした。気のせいかもしれないが。

543小節からの合唱では、「streng geteilt」の語を
特に強調して歌わせていた。

626の3拍目からのヴィオラ、フツート&クラ&ファゴットでの
印象的な部分では、ヴィオラに特に弱くは弾かせず、
きちんと聴かせていたのは正解だと思う。

合唱の「Ihr stÜrzt nieder」のstÜrztの子音は
先日の東響コーラス同様、明瞭で良かった。

655からの4分の6のアレグロは速いテンポ。


オケについての感想
1975年創立とは思えないほど、まるで昨年発足したかのような
元気で初々しさのあるオケという印象で好感を覚えた。

コンマスのベテラン 戸澤哲夫さんは安心感を抱かせる
素晴らしいコンマス。
ボーイングも、ありがちなものより、もう少し自然体の
アップダウンを用いていた。
例えば、第1楽章の469小節からのホルンソロに入る直前は、
アップダウンまたはダウンダウンにして、
469からのP(弱音)はアップで入るオケがほとんどだと思うが、
戸澤さんはアップアップにして、469小節はダウンボウで
入っていった。
なるほど、敢えてアップからせずとも、Pで静かに伸ばして
いけばよいだけのこと、と言えばそうなのだ。

ヴィオラのトップは女性で、とても大きな動作でリードしていた。

ところで、プログラムのメンバー名簿を見ると、
ヴィオラは5名しか書いておらず、副首席の印がある人はいるが
首席が空席のよう。
この日は5人以上出ていたし、コントラバスも名簿には
4人しか名前が記載されていないが、ステージには7人した。
都度エキストラで補強しているのだろうか?
そのへんのことは知らない。

ソリスト
河野さんによるバリトンソロの呼びかけ。
高音と低音で違うニュアンスを出す歌手。
歓喜の主旋律に入ってからは、宮本さんが速めのテンポで、
しかも木管と弦のピッツィカートを大きめの音で奏させたので、
河野さんがそのテンポをつかみきれずに少し慌てていた感じが
したし、ズレが生じていたのは残念だった。

加納さん
要所 要所で聞こえてくる声の充実感はさすが。

醍醐さん
ドレスと同じような青い色の様なシャープなイメージの声で、
強さもある。
終わり近くの四重唱の醍醐さんのHの音、伸びきっていた声。

ただ、782から始まる部分で、「binden wieder」で
 「den」で上の音に上がったそのAの音、788と
790(以降も同様)のFisの音が短くなる感じがした。

もちろん、788のZauber のber、790のwiederのderは
音楽的には(たぶん発声的にも)短めの音で切れて良いし、
特に後者はカンマが打ってあるからなおさらではあるので、
とても大変な要求かもしれないが、
それを音符どおりの長さで歌えたらもっと良かったと思う。

それでも、満員の聴衆にあらためて醍醐さんがPRされたと思う
ので良かった。

宮里さんの声、とても良い。ピュアで良く通る声。
第九のテナーのソロは、単純な旋律なのに、
古今東西いまいち「この声、この人」という演奏(録音含む)に
なかなか出会わないのだが、
宮里さんはあと数回歌ったら「この人」になるかも、と思った。
832小節からの四重唱でも、特に宮里さんの声が目立っていた。


合唱
藤丸崇浩(たかひろ)氏指導の東京シティ・フィル・コーアは、
2001年1月発足とのこと。藤丸氏のもとなかなかよく訓練
されていて、オケの音量が少ないところでの子音の明瞭さなど
とても立派。
迫力=声量も充実していた。

第3楽章の前に入場して、立ったまま。
特別多人数というのでないのに座らないケースは
最近では少なくなっているように想うし、
客席から見た感じでも、立ったまま待つ状況というのは
あまり良い感じがしない。
 「大変さ感」を感じてしまうので。

プログラムの記載によると、ソプラノ 19名、アルト 39名、
テノール 16名、バス 26名、と、アルトが多いのが特徴。
合唱全体の内声の厚み、安定感の秘密が
ここにあるのかもしれない。

オケがフォルテのところでは、発音発声の明瞭さが弱まる
のが残念だった。ボケた感じになってしまっていた。

なお、会場で、二期会の高 丈二理事長夫妻を見かけた。
オペラでは何度もお見かけしているが、
こうしたコンサートでは初めて。
宮里さんの関係なのか、そのへんはよく判らないが。

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